最後まで切れない赤い糸~第二部~ #17
- カテゴリ:自作小説
- 2013/06/10 22:34:28
主な登場人物
・新井椿…真二と亜美の娘。顔立ちが真二と似て凛々しく、整っている。現在16歳。
・横山陽菜…横山と亜美香の娘。亜美香に似て美人。現役アイドル。現在16歳。
・宮城湊…猟牙の息子。顔が異常なくらい整っており、大人気。現在16歳。
・立花林檎…莉子の娘。林檎と可愛らしい名前で有名。美人。現在16歳。
・桜木淳平…イケメン&人気キャラで少しチャラい。椿の元カレ。現在16歳。
・美川桃華…突然椿の前に現れた美少女。まだ謎が多い。現在16歳。
第十七章 『聞こえた泣き声の先』
淳平の視点──。
「……」
「グスッ、グスッ…」
木製の大きなドアの先から聞こえるとても小さな泣き声。
本当に小さな声だが、俺の耳にはしっかり聞こえたし、届いた。
俺はどうすればいいんだ…?
「このまま帰れ」
とか声をかけてやればいいのか…?
俺の動かない右手を動かして、2回ドアをノックすればいいのか──?
どうすればいいのかわからねぇ…
「…ちきしょー」
俺は結局何もできず、1階に下りた──。
マジで情けない、やっとまた手に入ったのに……
また何もできなかった──。
…またあの頃と同じだ。
何も出来ず、俺たちの関係は幕を閉じる──。
椿の泣き声…耳より、心に刺さった。
俺の言葉がまたナイフのように椿を刺したんじゃないかと思うと…
体が大きな岩に潰されるような気持ちになる。
───ギィ...ギィ....
「…ん?」
階段を下りる音が聞こえてきた。
一歩、一歩、気味悪い音を立ててゆっくりこっちへ向かってくる。
「…淳平、ちょっといいかな?」
「え?」
椿は目を真っ赤に腫らして、俺に近づいてきた。
こんなのは初めてだった…椿はいつも俺に隠れて泣いていたから──。
「お、おう…、なんか飲むか?」
「うん、おねがい…」
椿は苦しそうにしながらゆっくりカウンターに腰をかけた。
俺は真っ白なコーヒーカップを手に取り、ハチミツティーを注いだ。
「…ほれ」
「ありがとう」
椿はニコッと微笑み、そっとカップを口に近づけた。
「…大丈夫か?」
「え?…あぁ、うん大丈夫っ」
そう言って椿はまた笑う。俺をまっすぐ見て笑う。
…なんでだ?なんでそんなに無理をする…?なんでそんなに必死なんだ…?
「椿…」
「…ん?」
なんでお前はいつもそうなんだ…
「もうお前さ…」
いつもニコニコ笑ってて…周りを必死に笑顔にしようとする…
たとえ、それで自分が何十倍傷ついていようとも──…
俺、お前に一つ頼みがあるんだ、椿…
「もう、人のために笑うの…やめろよ」
「…へっ?」
これは心の底からずっと言いたかった言葉だった…
俺の中で伝えたくても、伝えれない言葉だった──…。
「…そ、そんな事ないよ?」
また無理して笑った。
右手で髪を耳にかけながら、うつむいた。
「…ごめんね、淳平。気使わせちゃって…」
また人のために言葉を発した。
…もうお前のそんな顔、見たくないんだ
椿…俺、どうしてやればいいか正直正解なんてわかんねー…
お前の気持ちだって、正直言ってわかんねー部分もあるんだ。
…でも、一つだけわかってる事がある。
「…椿、あのさ…」
「……っ」
椿はなにかを覚悟したかのように俺を見た…
今まで以上に複雑で、悲しい目で俺を…見た…。
「…あのさっ、俺っ…考えたんだけどっ…」
「…待って!?…また、繰り返すの?」
「えっ…?」
椿は両手を前に出し、俺の発言を止めた。
「…私、淳平の事好きだよ。何か誤解してるみたいだけど、好き」
「無理すんなっていって──…」
「無理じゃないから、変な気使わないでよ!人のために笑ってるのは淳平じゃん!」
「……!」
今の椿の言葉…すごく胸に響いた──。
初めて聞いた椿の本音。椿の真剣な眼差しが俺をさした。
「…うん、ごめん」
俺は終わりの一言を飲み込み、「ごめん」と呟いた。
…俺はバカだった。最初から諦めていた。
椿を幸せにできないって決め付けていたんだ。
…でも、今は胸張って言える。
「幸せにするから」
…と、これが今の俺の本音だから。
「うん、お願い」
今日初めて、椿は俺にキレイな微笑みを見せた。
裏には悲しみや憎しみが隠れていない…まっさらな笑顔だった。
※実話ではありません(続く)
拝見させていただきました!
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