最後まで切れない赤い糸~第二部~ #14
- カテゴリ:自作小説
- 2013/06/05 17:07:04
主な登場人物
・新井椿…真二と亜美の娘。顔立ちが真二と似て凛々しく、整っている。現在16歳。
・横山陽菜…横山と亜美香の娘。亜美香に似て美人。現役アイドル。現在16歳。
・宮城湊…猟牙の息子。顔が異常なくらい整っており、大人気。現在16歳。
・立花林檎…莉子の娘。林檎と可愛らしい名前で有名。美人。現在16歳。
・桜木淳平…イケメン&人気キャラで少しチャラい。椿の元カレ。現在16歳。
・美川桃華…突然椿の前に現れた美少女。まだ謎が多い。現在16歳。
第十四章 『薄れていく視界』
───ザァァァァァァァアッ.....
雨が降ってきた。どしゃぶりの雨だ…。
真っ暗な夜空にはまったく星が見えない。
「……」
私は公園のブランコに腰をかけた。
ブランコはずぶ濡れで、お尻が濡れたけど…そんなの気にしない。
というか今はそんなとこに気が回らない。
「…雨か」
激しく振る雨の中、私は一人ブランコをゆっくり揺らしながら呟く。
あぁ、神様お願い。このまま私を雨と共に流してください…。
汚れを洗い流すように…私の汚れた心も洗い流してください…。
「っ……」
いくら濡れても、濡れても、私の体をつたって流れていく水を見ても…
私の汚れた心が清らかにはならない──…。
今まで育ててきてくれた母を見たあの時の私の目…
今までまるでもう一人の親のように見守ってくれたおじさんを見て思った心…
私は最低な人間なんだと思う…。
母の幸せを祝福しようとは思えなかった──。
「…バカみたい」
グルグル同じ事を考えてもたどり着く答えは同じ。
結局私はあの二人の幸せを願えないし、笑顔で「おめでとう」なんて言えない。
どっちかと言うと、「ふざけんな」とか「出て行く」の一言しか言えないと思う…。
あの二人の幸せそうな笑顔はまるでナイフのように…
私の汚れた心に何度も刻み、刺し殺すように何度も刺した。
「うち来る?」
あの淳平の言葉…どんだけ救われた事だろうか…。
私には淳平がいる、そうだ、淳平のとこで暮らさせてもらって…
二人は幸せに暮らせばいい。
私はいなくなって、陽菜と湊は幸せになって──…
淳平と私も幸せに結ばれる…
最高のシナリオじゃないか…
「…ははっ、私ってば天才だね…」
大きな雨音にかきけされながらも、私はそう呟いた。
「あれっ!?椿っ!?」
「…へっ?」
後ろから聞こえた聞きなれた声…。
大好きだった…明るくて私まで明るくさせてくれる声…
「…湊っ」
「…うわ、何してんだよ、濡れるぞ!?」
湊は駆けつけ、大きなビニール傘を私に差し出した。
自分の背中がずぶ濡れになるくらい、私のほうに傾けながら…
もう、こういうのやめてほしい。
「…大丈夫だよ。わざと濡れてるんだし」
「んだよ、なんかあったのか?」
湊はしゃがんで私の顔をのぞきこむように尋ねた。
だが、私は逆の方向を向いて──…
「別に何もないよ。早く帰ろう」
といって立ち上がり、先先歩いていった。
私の決意は固まっている。
いまから帰って荷物まとめて淳平の家に行く。
今はそれだけしか頭になかった──…。
いつの間にか私の頭と心の中に「許す」という言葉がなくなっていた。
※実話ではありません(続く)

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- ⋈ふぅღ
- 2013/06/05 23:16
- 家出しちゃうなんて・・・。
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