Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


最後まで切れない赤い糸~第二部~ #8

主な登場人物
・新井椿…真二と亜美の娘。顔立ちが真二と似て凛々しく、整っている。現在16歳。
・横山陽菜…横山と亜美香の娘。亜美香に似て美人。現役アイドル。現在16歳。
・宮城湊…猟牙の息子。顔が異常なくらい整っており、大人気。現在16歳。
・立花林檎…莉子の娘。林檎と可愛らしい名前で有名。美人。現在16歳。
・桜木淳平…イケメン&人気キャラで少しチャラい。椿の元カレ。現在16歳。

第八章 『悪魔に優しい安らぎを』

「──ちゃんっ…」

「グゥ...グゥ...Zzz」

「──ちゃんっ…、椿ちゃんっ!」

「んはっ…!」

誰もいないはずの過去の理科室に響き渡った私の名前…。
いったい誰だというんだ、こんな教室で──…。

「……は、はい?」

ゆっくり顔をあげると、そこには中腰で不安げに見下げる女の子の姿。
誰この子、初めてみた…。つかなんで私の名前知ってるの…?

「よかったぁ、気を失ってるんじゃないかと思ってたぁ…」

女の子はため息をついた後、胸をなでおろした。
そうとう私を心配してくれていたみたいだ…。

女の子はクルンッと巻かれた毛先を指で巻きながら──…

「もぉっ、本当に心配したんだからねっ?」

と、頬をふくれさしながら言った。

「…あぁ、ごめん」

私は後頭部をポリポリとかきながら呟いた。
そして、女の子はスッ...と手を差し伸べて──…

「ほらっ、立てるっ?」

と、微笑んでくれた。…その笑顔はまるで女神。

「う、うん…、立てるよ…」

差し伸べられた手をギュッと握って、重い尻を上げた。
立つと、女の子はニコッと笑って赤茶色の髪をフワッとさせながら──…

「はじめましてだよねっ?あっ、私は違うけどさっ…」

と言うと、こう続けた。

「私の名前は美川桃華って言うの。」

その時の笑顔はまるで本当に天使か女神が微笑んでいるように、
穢れなき美しい笑顔だった…。

なんだかこの笑顔を見ると、しぜんに私も──…

「わ、私の名前は…新井椿です…」

とっさに自分を名乗った。…こんなの初めてだ。

「あぁっ、椿ちゃんの事は知ってるよっ♪有名だしっ」

「えっ、ゆ、有名?私がぁ?」

「うんっ!ほらっ、いつも仲良し3人組みでいるでしょっ?」

「……あぁ」

あぁ、、やっぱりそれか…。
結局私は二人の飾りじゃないか……。

「あの、起こしてくれてありがとう。でも、もう行くわ」

「えっ、待って!もう少し──…」

「放してよ!」

────パシィッ…!!!

「あっ……」

ふいに出た私の手…。
どこもぶってないけど、思いっきり振り払った腕…。

だが、そんなのにも動じず美川さんは…

「いやっ、違うのっ…。その、もう今日の授業終わったよ?(汗)」

「……へっ?」

その話を聞いて私は目が点になった──…。
美川さんの話によると、放課後、隣の図書室に用意があったらしく、
たまたま通りかかったところ、私が寝てるのが見えたんだそう…。

…つか

(マジかよぉ…)

うわー、一時間も出ずにずっとここで寝てたの私…。
閉じ込められてたらどうするつもりだったらんだろ、私…(汗)

「あっ、そういえば茶髪の男の子が探してたよっ?椿はどこだーって♡」

「あぁぁぁぁぁあっ!そうだったぁ!」

淳平に迎えに来てもらう約束だった…!
目立たないように門の外で待ってすぐ帰るつもりだったのに…(汗)

「もう学校中探し回ってたよ?椿ぃ~椿ぃ~って…」

「あっ、ありがとう!」

────ガラッ!!!!!

私は慌てて教室から飛び出した。
いや、酷くびっくりしたっていうか早く探さなくちゃやばい…。
もし…、仮にもし二人にバレたらどんな事になるかっ…

「はぁっ…はぁっ…、あっ、じゅんぺっ──…」

教室前で淳平を見つけたが…

「なあ、椿見なかったっ?」

「えっ?見てねーけど?つか今日ずっといなかったなぁ…」

「はぁ?そんなはずねーよ、だって椿は今日俺と…」

「わー、わー、わー!!!淳平っ!」

私は慌てて淳平の腕を引っ張った。
危うかった、ちょうど二人に言いかけてたとこみたいだ。

「…椿、どこ行ってたの?」

キョトンとした顔で尋ねる陽菜。

「そーだよ、どこにいたんだ?皆心配してたぞ?」

「うっ、うんっ、ごめん…。」

「それよりどーした?この顔のあとはぁー…」

頬についたかたを優しくなでる湊。
…やめて、こんな事したら陽菜になんて思われるか──…

「本当だっ、大丈夫っ?椿っ…」

「えっ…?」

陽菜は慌てて私に駆け寄ってきた。

「う、うん、ただのかただし…。早く帰ろう?淳平…」

「お、おう」

「あっ、待って!椿!今日は二人で帰らないっ?」

「…え?」

突然の陽菜の誘い、そして魅惑の笑顔…。
陽菜は鞄を片手にニコッと微笑みながら歩み寄ってきて…

「私、椿と最近話せてなかったから話したいことあるんだ」

と、言った。

どうしよう……

ドクッ、ドクッ、ドクッ、ドクッ……

心臓が速くなっていく──…

「ねえ、いいでしょ?」

陽菜は顔色一つ変えず、ずっと微笑んでいる。
もう、腹をくくるしかない…。

「…うん、いいよ。私も話せてないなって思ってたし」

こう答えた。

「じゃ決まり!行こう!椿っ♪」

陽菜はいつもと変わらない笑顔で私の手を握った。
この手がどんな意味を表すかも知らずに私はただただその手を見ていた──。


※実話ではありません(続く)

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2013/05/28 15:21
続き気になります!
アバター
2013/05/28 01:34
陽菜ちゃん・・・。



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