最後まで切れない赤い糸~第二部~ #7
- カテゴリ:自作小説
- 2013/05/27 21:28:42
主な登場人物
・新井椿…真二と亜美の娘。顔立ちが真二と似て凛々しく、整っている。現在16歳。
・横山陽菜…横山と亜美香の娘。亜美香に似て美人。現役アイドル。現在16歳。
・宮城湊…猟牙の息子。顔が異常なくらい整っており、大人気。現在16歳。
・立花林檎…莉子の娘。林檎と可愛らしい名前で有名。美人。現在16歳。
・桜木淳平…イケメン&人気キャラで少しチャラい。椿の元カレ。現在16歳。
第七章 『幸せな天使と不幸な悪魔』
「幸せそうだなっ、陽菜ちゃん♪」
「えっ、そんなんじゃないよぉ///」
陽菜は耳まで真っ赤にさせながら顔を片手で隠した。
本当に可愛らしい仕草で、男はイチコロなんだろう──…。
──きっと、湊もそうなんだろう。
「……」
「あれっ?椿ちゃんはこっち来ないのぉー?」
「えっ?」
二人に割り込んでいた男は私に声をかけてきた──。
「いつも一緒にいるのに珍しいねー」
「…そう?別にそうでもなくない?」
「えっ…」
────ガタッ!!!
私はイスから立ち上がり、その場を去った…。
あの男の言葉、あの二人の幸せそうな顔、すべてを消したくなったから。
こんな悪魔な自分がいやだ…。
不幸ってワケでもないのに…、なぜ人を憎む?なぜ人を羨む?
…その答えは二度と出ないのかもしれない。
「………」
どんどん進んでいく私の足はいつの間にか誰も使っていない教室にたどり着いた。
真っ黒なカーテンで埋め尽くされていて、真っ暗な部屋。まるで暗黒の世界のようだ。
そういえば誰かが言っていた。ここは元理科室で、昔の生徒が使っていたけど…。
古すぎて、設備とかも使えなくなって新しい教室に移したんだって…。
ちょうどいい、ここなら誰も来ないし、誰にも見られないし…。
─────ガラッ。
私は大きくて真っ白なドアを開け、中に入った。
中を見ると本当に真っ暗で、微かにカーテンから光が差し込んでいるだけ。
その光だけが頼りといってもおかしくないほどの明るさなのだ。
本当にちょうどいい教室だなぁ。
「…よいしょっ」
私真っ黒なカーテンの下にしゃがみこんで、ひざの上に顔を置いた。
そして、走馬灯のようにフラッシュバックするあの光景、あの顔、あの言葉──。
陽菜が恥ずかしそうに照れる顔、湊がみつめる視線の先…。
昔から分かっていた、結ばれるのは二人だって。
でも、追いかけたかったんだ…湊の背中を…二人の後を…。
置いていかれそうでいつもいやだった。
二人は私なんかよりいつもいつも輝いていて、人気者で…。
悔しかったんだ、私…、なんで自分だけって思ったときもあった。
…だから、淳平と付き合った。
「好きなんだ…!」
「──っ…」
…正直言って、あの時の告白は都合がいいと思った。
私にも彼氏ができれば二人となれべれる。二人に手を伸ばせる。
だから…、だから私はっ───…
「うっ…うんっ…、いいよっ、付き合うっ…」
そう答えたんだ…、間違ってるってわかっていながら。
「……っ」
あぁ、そうか、わかった…、なんで淳平と別れたか──。
全部私のせいじゃないか、すべて、私が悪かったんじゃないか…。
「俺、正直…、椿の気持ちわかんねぇー…」
あの時、すごく辛そうな顔でつぶやいた淳平…。
いつも凛々しいその目にはかすかに涙が浮かんでいた──。
その日からすれ違って、すれ違って…
「言いたいことがあるならちゃんと言えよ…」
そう言われて私は言ったんだっけ…
「…ごめん、淳平。私、淳平が好きじゃない──…」
「……別れよう」
そうだ、私が分かれを切り出した。
あの時の淳平の表情は微かに微笑んでいたけど、やっぱり目は微笑んではいなかった。
…ごめん、ごめん淳平…。
淳平には迷惑ばっかかけてきた──。
だから次はもう、絶対に…傷つけたりはしない。
「…別れないよ、淳平」
こうやって私が誓ったとき…、あの二人は何してたのだろうか?
───陽菜の視線。
「なあ、陽菜っ、なんであんな事いったんだよっ…!?」
「え?何がっ…?」
「何がじゃねーよ!俺とお前がいつ付き合ったんだよ!?」
「…いつって、昨日でしょ?」
「付き合ってねーよ!」
「…じゃあ、今から付き合えばいいじゃん♡」
「…は?」
「湊の事、好きだよっ…」
スッ…と伸ばした私のつま先は、そっと湊の唇まで届いた。
※実話ではありません(続く)

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- *aiko*
- 2013/08/17 15:56
- 陽菜・・・・・・・、君ってマジの悪魔ですか?w
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- ぱち公
- 2013/05/27 22:57
- 続きすっごく気になります!!!
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