最後まで切れない赤い糸~第二部~ #4
- カテゴリ:自作小説
- 2013/05/20 23:19:13
主な登場人物
・新井椿…真二と亜美の娘。顔立ちが真二と似て凛々しく、整っている。現在16歳。
・横山陽菜…横山と亜美香の娘。亜美香に似て美人。現役アイドル。現在16歳。
・宮城湊…猟牙の息子。顔が異常なくらい整っており、大人気。現在16歳。
・立花林檎…莉子の娘。林檎と可愛らしい名前で有名。美人。現在16歳。
・桜木淳平…イケメン&人気キャラで少しチャラい。椿の元カレ。現在16歳。
第四章 『淳平の本音』
「好きだ」
「えっ…?」
唐突的な言葉の後に重い沈黙が続く──。
淳平はさっきのように「冗談」と言って笑わない…。
「じゅ、淳平、やめてよ、嘘はさぁ…」
「本気だって言ってんだろ」
そういって、真剣なまなざしを私にまっすぐ向けた。
偽りのない目…、これは本当に本気なのだろうか…?
「ごっ、ごめん、まだ動揺してて…」
「そりゃそうだよな、当たり前だ」
そうため息をまじらせながら呟き、頭を抱える。
「…ごめん、まだ嘘だとしか思えなくって」
「そりゃ当然だ、謝るな。…でも信じてほしい」
「っ……!」
その時の淳平の表情は真剣そのもので、汚れた要素なんて見えない。
…まさか本当に純粋に私のこと好きでいてくれてるの…?
「っ…、ごめん、少し考えさせてほしい──。」
「当たり前だ、ゆっくり考えてくれ。…じゃ」
「うん、バイバイ…」
私の家の近所で淳平と別れた。
まだ全然状況がつかめていないし、つかめるわけがない…。
「あれっ?椿ぃ?」
「えっ?」
後ろから聞こえた太くて明るい声──。
一瞬で分かる特徴的な声。
「湊…」
「どうした?こんな時間に帰りか?」
「えっ、ああ、ちょっと遊んでてー…」
「えっ!?お前が夜遊びぃ!?」
「なっ、変ないいかたやめてよっ!!////」
そういって軽く叩くと、港は無邪気に笑いながら…
「冗談だっつーの」
と言った。少しドキッとした…。
湊の笑顔はいつも私の心を小さな鈴を鳴らすように揺らす。
「っ…、じゃ…、帰るわ…」
「はぁ?どーせ家隣なんだから一緒に帰ろうぜ」
「へっ…?」
「”へっ”じゃねーよ…。当たり前だろ?ほれ、鞄かせよ」
そういって私の鞄を担ぎ、大きな背中を私に向けた…。
…ダメだ、もう…耐えられない。…今まで気づかないふりしていた気持ち…。
「ねえ、湊っ…」
隠し切っていた私の気持ち…。
「何?」
ずっと振りむかない背中をみつめてただ気持ちを隠していた。
でも、今なら言える気がする───…
「私っ…私ねっ…」
「あれっ?椿?」
後ろから聞こえた美声…。その声も聞きなれているためかすぐ分かる。
「…陽菜」
「おっ、湊も!どーしたの二人そろってー」
「別に?たまたまあっただけだよ」
「そうなの?椿」
私のほうを見て確認するように尋ねた。
…そうだった、たまたま会っただけで待ってくれてたワケじゃないんだ。
…もしかしたら湊は陽菜を待っていたの…かも…?
「偶然だし、一緒に帰ろうよ~」
「ああ、ほら椿行くぞー」
ダメだ、二人の顔を直視できない…。
私のうつむいた視線から見えるのは陽菜の毛先のカールと細い足。
お似合いの二人が並ぶ足…。
これ以上、二人を見てられない───。
「ごめん、用事思い出したから先帰ってて…」
「えっ?でも、椿っ…」
「いいからっ!」
怒鳴った私はその場から逃げるように立ち去った…。
どこに向かってるのかもわからず、ただただがむしゃらに走った──。
二人の姿が振り向いても見えなくなるくらい遠く走っていった……。
「はぁっ、はぁっ…」
足をピタッと止めて、顔をあげ、初めに目に入った場所は…
「…カフェ?」
私はしぜんと吸い込まれるように店内に入った──。
木製でできたカントリーなお店で、家具もすべて木製、器も木製だった。
「すごい…」
さっきの記憶が飛ぶほど落ち着くお店で、しぜんと微笑みがこぼれる。
幸せそうに笑いながら食べる家族、幸せそうに笑う恋人達…。
幸せな顔が店内にいっぱい広がっていた。
「いらっしゃいませ…」
メガネをかけた頭がボサボサの店員が声をかけてきた──。
なんだかすごく前髪がうっとおしそうだ…。きればいいのに。
「あの、何名様ですか…?」
「あっ、いっ、一名です!」
「では、こちらの席へどうぞ…」
案内された場所は前のカウンター席だった。
すごくかわいい木彫りの小さなクマがおかれており、心が癒される。
「うわぁ…」
まるで小さな森に迷い込んだ主人公の気分だ。
「メニューが決まりましたら…」
そういって小さなメニュー表を渡された。
そこには未知の世界が広がっていた───。
一見普通のオムライスやトーストのメニューなのだが…
名前、見た目、すべてがなんだか不思議なのだ。
「…じゃ、じゃあハニートーストを…」
「かしこまりました」
店員は厨房に入って数分後ハニートーストを持ってきた。
「お待たせしました、ハニートーストです」
数枚重ねられたトーストにたっぷり塗りたくられたハチミツ。
とてもシンプルなハニートーストだ。
「…むぐ」
一口食べると、それはまさに食べたことのない味だった。
おいしすぎる、おいしすぎてほっぺがおちるとはこのことだ。
「…すごい」
なんだかすごく心が癒された、すべてを忘れることができた。
「…あの、お会計」
「ああ、お会計はいらないですよ…」
「え?」
「…桜木さんのおごりだそうです」
「…えっ!?淳平ここにいるんですか!?」
「あぁ、ここの息子さんなんで──。」
「…え?」
…淳平がこのカフェの息子…?
「うそぉぉぉぉぉぉぉおん!?」
※実話ではありません(続く)

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- ぱち公
- 2013/05/21 23:04
- 続き気になります!
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- ⋈ふぅღ
- 2013/05/20 23:43
- ええええ!?
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