Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


最後まで切れない赤い糸~第二部~ #4

主な登場人物
・新井椿…真二と亜美の娘。顔立ちが真二と似て凛々しく、整っている。現在16歳。
・横山陽菜…横山と亜美香の娘。亜美香に似て美人。現役アイドル。現在16歳。
・宮城湊…猟牙の息子。顔が異常なくらい整っており、大人気。現在16歳。
・立花林檎…莉子の娘。林檎と可愛らしい名前で有名。美人。現在16歳。
・桜木淳平…イケメン&人気キャラで少しチャラい。椿の元カレ。現在16歳。

第四章 『淳平の本音』

「好きだ」

「えっ…?」

唐突的な言葉の後に重い沈黙が続く──。
淳平はさっきのように「冗談」と言って笑わない…。

「じゅ、淳平、やめてよ、嘘はさぁ…」

「本気だって言ってんだろ」

そういって、真剣なまなざしを私にまっすぐ向けた。
偽りのない目…、これは本当に本気なのだろうか…?

「ごっ、ごめん、まだ動揺してて…」

「そりゃそうだよな、当たり前だ」

そうため息をまじらせながら呟き、頭を抱える。

「…ごめん、まだ嘘だとしか思えなくって」

「そりゃ当然だ、謝るな。…でも信じてほしい」

「っ……!」

その時の淳平の表情は真剣そのもので、汚れた要素なんて見えない。
…まさか本当に純粋に私のこと好きでいてくれてるの…?

「っ…、ごめん、少し考えさせてほしい──。」

「当たり前だ、ゆっくり考えてくれ。…じゃ」

「うん、バイバイ…」

私の家の近所で淳平と別れた。
まだ全然状況がつかめていないし、つかめるわけがない…。

「あれっ?椿ぃ?」

「えっ?」

後ろから聞こえた太くて明るい声──。
一瞬で分かる特徴的な声。

「湊…」

「どうした?こんな時間に帰りか?」

「えっ、ああ、ちょっと遊んでてー…」

「えっ!?お前が夜遊びぃ!?」

「なっ、変ないいかたやめてよっ!!////」

そういって軽く叩くと、港は無邪気に笑いながら…

「冗談だっつーの」

と言った。少しドキッとした…。
湊の笑顔はいつも私の心を小さな鈴を鳴らすように揺らす。

「っ…、じゃ…、帰るわ…」

「はぁ?どーせ家隣なんだから一緒に帰ろうぜ」

「へっ…?」

「”へっ”じゃねーよ…。当たり前だろ?ほれ、鞄かせよ」

そういって私の鞄を担ぎ、大きな背中を私に向けた…。
…ダメだ、もう…耐えられない。…今まで気づかないふりしていた気持ち…。

「ねえ、湊っ…」

隠し切っていた私の気持ち…。

「何?」

ずっと振りむかない背中をみつめてただ気持ちを隠していた。
でも、今なら言える気がする───…

「私っ…私ねっ…」

「あれっ?椿?」

後ろから聞こえた美声…。その声も聞きなれているためかすぐ分かる。

「…陽菜」

「おっ、湊も!どーしたの二人そろってー」

「別に?たまたまあっただけだよ」

「そうなの?椿」

私のほうを見て確認するように尋ねた。

…そうだった、たまたま会っただけで待ってくれてたワケじゃないんだ。
…もしかしたら湊は陽菜を待っていたの…かも…?

「偶然だし、一緒に帰ろうよ~」

「ああ、ほら椿行くぞー」

ダメだ、二人の顔を直視できない…。
私のうつむいた視線から見えるのは陽菜の毛先のカールと細い足。
お似合いの二人が並ぶ足…。

これ以上、二人を見てられない───。

「ごめん、用事思い出したから先帰ってて…」

「えっ?でも、椿っ…」

「いいからっ!」

怒鳴った私はその場から逃げるように立ち去った…。
どこに向かってるのかもわからず、ただただがむしゃらに走った──。
二人の姿が振り向いても見えなくなるくらい遠く走っていった……。

「はぁっ、はぁっ…」

足をピタッと止めて、顔をあげ、初めに目に入った場所は…

「…カフェ?」

私はしぜんと吸い込まれるように店内に入った──。
木製でできたカントリーなお店で、家具もすべて木製、器も木製だった。

「すごい…」

さっきの記憶が飛ぶほど落ち着くお店で、しぜんと微笑みがこぼれる。
幸せそうに笑いながら食べる家族、幸せそうに笑う恋人達…。
幸せな顔が店内にいっぱい広がっていた。

「いらっしゃいませ…」

メガネをかけた頭がボサボサの店員が声をかけてきた──。
なんだかすごく前髪がうっとおしそうだ…。きればいいのに。

「あの、何名様ですか…?」

「あっ、いっ、一名です!」

「では、こちらの席へどうぞ…」

案内された場所は前のカウンター席だった。
すごくかわいい木彫りの小さなクマがおかれており、心が癒される。

「うわぁ…」

まるで小さな森に迷い込んだ主人公の気分だ。

「メニューが決まりましたら…」

そういって小さなメニュー表を渡された。
そこには未知の世界が広がっていた───。

一見普通のオムライスやトーストのメニューなのだが…
名前、見た目、すべてがなんだか不思議なのだ。

「…じゃ、じゃあハニートーストを…」

「かしこまりました」

店員は厨房に入って数分後ハニートーストを持ってきた。

「お待たせしました、ハニートーストです」

数枚重ねられたトーストにたっぷり塗りたくられたハチミツ。
とてもシンプルなハニートーストだ。

「…むぐ

一口食べると、それはまさに食べたことのない味だった。
おいしすぎる、おいしすぎてほっぺがおちるとはこのことだ。

「…すごい」

なんだかすごく心が癒された、すべてを忘れることができた。

「…あの、お会計」

「ああ、お会計はいらないですよ…」

「え?」

「…桜木さんのおごりだそうです」

「…えっ!?淳平ここにいるんですか!?」

「あぁ、ここの息子さんなんで──。」

「…え?」

…淳平がこのカフェの息子…?

「うそぉぉぉぉぉぉぉおん!?」


※実話ではありません(続く)


アバター
2013/05/21 23:04
続き気になります!
アバター
2013/05/20 23:43
ええええ!?



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