【小説】夜中の音
- カテゴリ:自作小説
- 2013/05/15 10:48:44
突然の辞令で見知らぬ土地で一人暮らしをする事になった。引き継ぎ等で忙しく、住む場所を決める時間も1日しかない。人事から教えて貰った付き合いのある不動産屋を訪ねた。
「ここか…大福不動産」
商店街より奥に入った道をすすみ、周りがさびれた民家ばかりの中に、これまた築ウン十年であろうこじんまりした店構えである。住所も名前も合ってるので間違いはなさそうだが、このような不動産屋が紹介する部屋にデザイナーズマンション等はなさそうであった。
ガラスの入った木枠の扉をおそるおそる開けて中に入る。
「いらっしゃい!」
店には恰幅が良く、人のよさそうな店主がにこやかに迎えてくれた。
「すみません。スズムラ商事の高橋ですけど…」
「やぁ、スズムラ商事の方ですか。どうぞどうぞ」
おずおずしているボクに愛想よく答える店主である。
「ん~、高橋さんの条件に見合う物件はそうそう無いなあ」
店主は大きなファイルをいくつも出しながらコリコリと頭をかいている。今時、パソコンも使わないで物件を探すというのも逆にすごい。
「はぁ、すみません。なにぶんにも出せるお金が少なくて…」
ボクのような安月給では、やはり色々と我慢するしかないのだろうか。
「敷金、礼金込みでのご希望となると厳しいですなぁ~」
小さい老眼鏡を直しながら、ファイルとにらめっこする店主。しばらくするとツイっと顔をあげて言い出した。
「一つだけ、あると言えばあるんですけどね?」
あるなら、初めから言って欲しい。
「いや、実はウチの店の裏にアパートというか、まぁ住むところがあるんですよ。大家は私なんですけどね。そこなら、まぁスズムラ商事さんとの関係もございますから、ご希望の家賃でご契約できますよ」
「そうなですか?それなら、そこでお願いします」
「ん~、ただねぇ…」
「え?なにか問題でもあるんですか?」
「いや、大家は私たち老夫婦です。他に住んでる方もいらっしゃいます。ですので音というか、そういうのがね…」
「どういう事ですか?」
「高橋さんはお若いので音楽を良く聞かれるんでしょう?実は前に住んでた方も若い方で、夜中に大音量で音楽は聞く、友達と酒盛りして騒ぐとほとほと困りましてね。それから、若い方を紹介していないんですよ」
「なるほど。でも、ボクはステレオセットは持ってませんし、知らない土地で友人もいません。朝も早い仕事ですから早めに就寝を心がけてますので大丈夫かと…」
そうですか、それならと店主は部屋を見せてくれる事になった。
案内された部屋は101という部屋だった。角部屋で、6畳一間小さなコンロが一つあり、ユニットバス、ベランダ付き。少し手狭だが、あの金額でここまでの装備なら問題ない。
2階建てのアパート自体は店の真裏にありに、103に店主である大家が住んでいるそうだ。
「では、こちらがこの部屋の鍵です」
契約が無事終了した。すんなり決まってほっとした。
引っ越しも無事に済んで、2週間が過ぎた頃、仕事から戻ると部屋の中が何か淀んでいるような気がした。
もしかしたら、もともとこんな感じだったのだろうか?引っ越したばかりで環境が変化したので、こんなものかと思っていたのかもしれない。
仕事帰りで自室の鍵を開けようとした時、ちょうど103号室から店主が出てきた。
「あ、高橋さん!丁度良かった」
「はい?なんでしょうか?」
「高橋さん、困りますよ。入居するときにちゃんとお願いしたじゃないですか」
「なんのことですか?」
店主が言うには、毎日ボクの部屋に夜中の1時になると大きな音を立てながらガチャガチャと戸をあけて入る人がいる。友達を呼ぶのは構わないがもう少し静かにして欲しいと。
それを聞いたボクは思った。そんなはずはないと。
ボクの仕事は朝が早いので、夜の11時には就寝するように心がけている。お金が無いのでまだテレビも無い。夜中の1時なんて完全に夢の中だし、実際ボク自身はそんな音は聞いていない。店主は隣の部屋と勘違いしてるのではないだろうか。
兎に角、その場は謝罪をしておいた。しかし、濡れ衣を着せられたままでは癪に障る。明日は休みだし、音の正体を突き止めてやろう。何もない部屋だとはいえ、ドロボーに入られたら困る。
コーヒーを買ってきて、がぶがぶと飲みながら夜中の1時を待つことにした。念の為、武器になりそうな頑丈な傘を脇においた。
11時、ボクがいつも寝る時間だ。
12時、日付が変わった、相変わらず部屋の空気は淀んでいる。
12時30分、少し眠くなってきたのか、部屋の空気が湿っぽく感じる。
12時50分、あと10分だ。コーヒーを一口のんで、傘を握りなおした。
1時、どうなる?何か来るのか。
すると、部屋の外を誰かが歩いている音がする。あきらかに靴で歩くコツコツという音だが、異常なのは音量が大きい。
ボクの部屋の前で音が止まり、ガチャガチャと扉を開けるような音がする。鍵がかかっているから開くはずはないが、やはり音が大きい。
くそ、誰だ!ウチにきても何もないぞ。傘を持つ手に力が入る。
しばらくすると音がしなくなったのでボクは急いで傘を手に持ち、扉をあけて音の正体を確かめようと部屋から飛び出た。
しかし。
そこには誰も居なく、静寂だけが広がっていた。
さっきまでの音は誰が?
ボクの幻聴なのか。あれだけ大きな音がしていたのに。
扉を閉めて居間に戻ろうとした時に、しゃがれた男の声がした。
「なんだ、今日は起きていたのか」
つづく・・・?
とか思ったけど、あれ、違う感じだ・・・
じゃあ、『怪談レストラン』っぽい感じになるのかな?w
ゾクっとする話は好きだけど、
出来たら、しゃがれ声の男の正体は
足がある方がいいなぁ(ユーレイは苦手だから^^;)
↓ルルルさんも仰ってるけど、星新一っぽい雰囲気も出てるねーw
なんか、、星さん?筒井さん?っっってかんじで、、好きです。。
続きを〜〜ヽ(^。^)ノ
全然、小説じゃないじゃん。パクリじゃんw
ちょっとでもゾクっとしてくれたら嬉しいっすw