最後まで切れない赤い糸 #28
- カテゴリ:自作小説
- 2013/05/13 17:29:49
主な登場人物
・皆川亜美…すべて平凡な女の子。中学1年生の頃、猟牙と出会う。
・皆川亜美香…近所で美人と有名な亜美の妹。すべて亜美より上。
・宮城猟牙…中学校の頃、亜美を引き寄せた男子。皆の人気者。真二の幼馴染。
・高橋凪…スポーツ万能で、皆の人気者。一部の男子からはモテモテ。
・立花莉子…男子から人気のクラスのマドンナ。猟牙と仲がいい。
・新井真二…いきなり亜美に告白してきた男。人気のある男子。猟牙と幼馴染。
・横山秀司…真二の友達で、同級生。亜美香のことが好き。
第二十八章 『もう触れられない手』
「…ただいまの時刻午後8:00..ご臨終です。」
「──え?」
医者は時計を見ながら時刻を呟き、「ご臨終」と呟いた。
私は耳を疑い、体全身が震えきった。
「やだっ...新井先輩っ...!!」
冷え切った真二君の体を激しくさすって体を崩しながら涙を流す亜美香。
私はただただそこにたちすくんでいた──。
真二君の冷え切った体にさえ近づかず、入り口で立ちすくんでいる。
医者は私に近づいてきて深く頭を下げて──
「すみませんでした...、助けられなくて...。」
そう鼻声で言った...、顔を見ると、目が赤くなっていた。
医者も悲しいのだろうか...?この人はなぜ悲しんでいるの...?
「あの...、なんで泣いているんですか....?」
とっさに投げかけた質問。
医者は鼻を必死にすすらせながら───
「すみませんでした」
とだけ一言伝えて病室を後にした──。
周りにいた看護師達だって皆出て行った──。
亜美香は相変わらず真二君の隣で泣き崩れている。
「…亜美香」
私は亜美香の隣に立った──。
私はなんでだろう...?真二君の冷え切った手に触れても、真っ白になった顔を見ても──
一粒も涙が出ず、呆然として立っていた──。なんでだろう....?
今──、何が起こっている──?
「お姉ちゃっ──」
「真二君、どうしたの?早く起きてよ...」
「っ!?」
亜美香は驚いた表情で私を見ている──。
私は冷え切った真二君の体を何度も何度もさすって──
「早く起きてよ!!椿が寂しがるよっ──!?」
そう言った。....本当に壊れるんじゃないかというくらいさすった。
でも──、答えが変わるわけじゃない。結末は変わらない。
「真二君ってば!!!!」
何度呼びかけても、真二君はもう──、「何?」と笑顔で振り向いてくれない。
何度私が泣いても、微笑んで優しく撫でてくれる手はもう──、ない。
「うっ....、うっ....」
そう自覚した瞬間、私はやっと涙が出た──。
信じられないほどの多い涙だ。きっと溜め込んでいた分だろう──。
もう優しく涙をぬぐってくれない真二君の服の袖を握って私は泣き崩れた。
声が枯れるくらい泣きじゃくった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁあん──!!!!」
泣きすぎて、すごく目元が真っ赤になってるのがわかった。
ヒリヒリして痛いくらいだ。....もう私にはそばにいてくれる人がいない。
寂しいってないても、怒っても、悲しくて泣いても、もう優しく微笑んでくれない。
椿の成長を一緒に見守る人だっていない───。
「お姉ちゃん...」
そこから数分間...、私はその場から離れなかった。
そして、やっと病室を出た──。
亜美香は呆然としてたちすくんでいる、私は涙を拭いていた。
「亜美香...、私これからどうすればいいんだろう?」
「えっ!?そ、それはっ──」
亜美香は答えに戸惑いながら答えた。
「一人で育てていくしかないよね...、私も助けるけど」
「亜美香...椿、どうすればいいのかな...?」
「へっ!?」
「もう...、パパがいないのよ、あの子には──...」
そう呟くと、亜美香は私の胸に抱いた椿を抱っこして答えた。
「うちの子にすればいいんじゃない?」
「えっ──?」
※実話ではありません(続く)
真二君・・・もう涙ですね。