Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


最後まで切れない赤い糸 #27

主な登場人物
・皆川亜美…すべて平凡な女の子。中学1年生の頃、猟牙と出会う。
・皆川亜美香…近所で美人と有名な亜美の妹。すべて亜美より上。
・宮城猟牙…中学校の頃、亜美を引き寄せた男子。皆の人気者。真二の幼馴染。
・高橋凪…スポーツ万能で、皆の人気者。一部の男子からはモテモテ。
・立花莉子…男子から人気のクラスのマドンナ。猟牙と仲がいい。
・新井真二…いきなり亜美に告白してきた男。人気のある男子。猟牙と幼馴染。
・横山秀司…真二の友達で、同級生。亜美香のことが好き。

第二十七章 『手を伸ばしても...』

目を開けると、真っ白な天井に、左右に置かれたカーテン...。
一瞬でどこだか理解した...、ここは、病室だ。
.....そうか、私、倒れたんだった。

「ぃっ.....!」

なんだか頭が痛い...、倒れた時に討ったのかな...。
左右を見渡すが、誰もいないし、人気もない...個室なのかな?
亜美香...亜美香はどこに行ったの?横山君も...帰ったのかな...?

「うっ....」

とにかく、今はあまり動き回らないほうがいいみたいだ。
私の腕には点滴が打たれている。きっと栄養が足りてないとかだろうけど。

───ガラッ。

「っ....!」

ドアの開く音が聞こえた。
すばやい速さで近づく足音.....
そして、左のカーテンの前でその足音は途絶えた。

───シャッ。

「お姉ちゃんっ!!!」

入ってきていたのは、亜美香だったようだ。

「あぁ、亜美香...。」

「よかった、目覚ましてくれて...!」

亜美香はなんでこんな元気なんだろう...?真二君のあんな姿見たのに──。
なんでこんなに...笑っているの...?

「はいっ、栄養足りてないみたいだからパンを──」

「ねえ、真二君はどうなったの?」

「えっ...?」

亜美香は一瞬固まった。だが、すぐに笑顔を取り戻して──

「意識取り戻したよ。だから、お姉ちゃんも栄養とって動けるように──」

───バサッ!!!

私は慌てて点滴を抜いて、真二君の病室に向かった。
亜美香は慌てて追いかけてきていたが、そんなのも無視して──。

───ガラッ!!

「真二君っ──」

ドアの開く音と共に名前を大きく呼ぶとそこにはもう──

「先生、急いでください!!大変ですっ...!」

「あぁ、わかってる!!すぐに用意しにいくぞ!!」

「はいっ!!」

慌てる看護師と、医者の姿──。
元気そうに無邪気に笑う真二君の姿は...どこにもない。

「あ....れ...?」

私は呆然として、立ちすくんでいた。
亜美香の嬉しそうなあの言葉はなんででてきた──?

「お姉ちゃん、速いよっ...」

亜美香は追いついてきたみたい。
すぐに真二君の姿が目に入ったみたいで──

「え...?う...そ....」

そう呟き、唖然としている...。
どうやら意識を取り戻していたのは本当のようだ。

「真二君...」

私は真二君に駆け寄って、手を握った。
すると、少し真二君の手はピクリと動いた。

「真二君っ!!」

「ぅ......」

真二君は少し声を出し、そして薄く目を開けた。
本当に薄くだ──。

「真二君、分かる!?亜美だよ!!」

「あぁ...亜美...ちゃ...ん...」

そう呟くと、やわらかく微笑んだ。
必死に精一杯手を握り返してくれた──。

「真二君....」

真二君は必死に何か言っている様子....
耳を傾けると、真二君はただ一言こういっていた。

「ごめんね」

そう小声で小さく呟くと、握ってくれていた手はすぐに外れ、
あいていた目もパタリと閉じていった──。

「え....?」

ピーーーーーーーー。

「嘘、待って.....」

なんで真二君は謝ったの?「ごめんね」ってなんで言った?
わからない、わからない、わからない、わからない、わからない、わからない──

「おっ、お姉ちゃん!?しっかりして、大丈夫だよ!!」

───ガラッ!!!!

「先生っ、新井先輩を助けてください!!」

「最善は尽くします、では、出てください...」

「はい」

私達は病室の外に出された。
体が固まって動かない...瞬きさえ忘れそうだ。
真二君の言った最後の一言が頭から離れない。

「ごめんね」

そう呟いて、一粒の涙を流した真二君。
その刹那、真二君の笑顔はもう──、二度と見れない気がした。


※実話ではありません(続く)


アバター
2013/08/16 17:13
真二君・・・・・・・。
アバター
2013/05/12 14:15
新井君!!!
生きてよ!!!



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