Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


最後まで切れない赤い糸 #24

主な登場人物
・皆川亜美…すべて平凡な女の子。中学1年生の頃、猟牙と出会う。
・皆川亜美香…近所で美人と有名な亜美の妹。すべて亜美より上。
・宮城猟牙…中学校の頃、亜美を引き寄せた男子。皆の人気者。真二の幼馴染。
・高橋凪…スポーツ万能で、皆の人気者。一部の男子からはモテモテ。
・立花莉子…男子から人気のクラスのマドンナ。猟牙と仲がいい。
・新井真二…いきなり亜美に告白してきた男。人気のある男子。猟牙と幼馴染。
・横山秀司…真二の友達で、同級生。亜美香のことが好き。

第二十四章 『分からなかった奥底の気持ち』

プルルルル…、プルルル…♪

『はい、もしもし...?』

私はあの話を聞いてから、凪に電話をかけていた。

「あっ、凪....、そのっ...話がっ...あるんだけど──」

『ちょうどよかった、私も話...あるんだ。』

その声を聞いて、私は覚悟した。
「凪はきっと言うつもりなんだ──」...と。
心を震わせて、凪に答えた。

「うん...、じゃあ時計台の下で待ち合わせね....」

『わかった』

そのまま電話は切れた。
時計台の下から見える景色は透き通った青色の海が広がっていた。
そんな綺麗な青が私の今の目には闇の色のように見えたんだ───。

「はぁ...」

とうとうくる...やってくる....。
凪との別れ、凪との本気のぶつかり合い...。

私は両手で顔を覆い、深いため息をついた。
もうそろそろ待ち合わせの時間になる。体が震えて止まらない。
走馬灯のように蘇っていく凪と過ごした過去...記憶...。

いくら手を伸ばしても、その過去は闇に消えていき、戻れない。
もしかしたら....許してもらえるんじゃ....?そんなの考えちゃダメだ。

「亜美、お待たせ」

後ろから聞こえていつもと変わらない声──。
でも、いつも聞いていたはずの言葉は私の心の耳をふさがせた。
聞きたくなかった、見たくなかったこの日、この時...。

でも、私もいつも通り、変わらず振り返った。小さく、微笑みながら....。
凪は寂しそうな顔をしながらそこに棒立ちしている──。

ねぇ...、凪...。あなたもわかっていたんだよね...?
あなたの気持ちを私に告げる日が来るって事を──...。

「亜美...あのさ...私──」

「ねえっ!!」

あっ....、ついやってしまった....。
凪が告げようとした気持ち...止めてしまった──。
体が勝手に...いや、口が勝手に動いたんだ。

「何...?」

凪は少し目をそらしてたずねる。

「きっ、昨日のテレビ見たっ...!?」

私は空気の入換えをするかのように、話題を出した。
凪は少しため息交じりの声で──

「何の?」

と、言った。
私は動揺しながら手を激しく動かして説明した。

「そっ、そのっ、ほら!お笑いのさ~....」

私は言うほどお笑いが好きじゃないのにこんな話題を入れた。
こんな空気を換えるにはもってこいの話題だと思ったんだ。

でも、凪は呆れるように私を見て──

「昨日お笑いなんてやってなかったよ」

と、冷たい声で答えた。
その冷たい声はまるでナイフのように私の胸に刺さった。
凪はお笑いが大好きでいつもチェックしているんだった...忘れてた。

「あっ、あははっ...、そうだっけ?録画してたからかなー?」

逃げようと思った...、でも──

「亜美ってお笑い録る主義なんてなかったよね?」

と、言った。
もう私は何もいえなくなった。
その質問に私は小さく呼吸するかのように──

うん...

と、小さく、小さく答えるしかできなかった。
凪はため息を混じらせて、一歩私の前に出た。
凪は本当に一枚私より上手だなって思った瞬間だった。

凪はいつもと変わらない声で私に言った...本当に、いつもと変わらない声で──

「新井君と付き合ってたよ」

────と。.....うん、わかってた、知ってる。
....ていうか、さっき知ったんだよ、それ。どういう反応すればいいの?

目が涙でぼやけてきた。

「しっ、知ってる...」

そう答えながら私は目を右手でこすった。

凪は再び、同じトーンで

「.....なんでわざわざ私がここに来たかわかる?」

そう尋ねた....私に...尋ねたんだ。
凪の目を見ると、凪の目はまっすぐでゆるいでいなかった。
きっと、凪の中の決心という物をあらわしていたんだろう。

「もう親友じゃなくなってもいい」...という決心を──。

「....真二君と別れてほしいってことなら...断るよ」

私もハッキリと答えた。けして揺るぎがない声と、目で。
だが、凪はまるでそんな私を嘲笑うかのように「フッ」と鼻で笑って──

「ずいぶんとハッキリ言うんだね。前まで宮城君と迷ってたくせに」

「そっ、それはっ──」

──あ...れ...?私、今なに言おうとしたの...?
ううん、待って...。私今ここで何を言い訳できるというの.....?
凪の言ったことは何一つとして間違っていないじゃないの。

私は唇をかみ締めて、凪の前に棒立ちになった。
履いている真っ赤なスカートをギュッ...っと力強く握り締めて──。

「.....何も言い返せないの?」

そう尋ねた凪に何も言い返せなくなると、凪は呆れたように
ため息をつき、胸の前に腕を組みながら──

「そんなんで新井君を諦められない。」

と、まるで宣戦布告するかのように言ってきた。
いや、これは完全なる宣戦布告だ。

「私も...そう思うよ....」

でも言い返せるワケないじゃん...迷っていたのは事実で、
その過去は塗り替える事も、消す事も、何もできないんだから──。

「亜美、愛するならちゃんと愛してあげてほしい。」

「えっ...?」

凪の声はなんだか急に優しくなったように感じた....。

「新井君のこと、愛してるっていえる?叫べる?」

「えっ!?さっ、叫ぶって...」

「私はいけるよ」

そういうと、凪は綺麗に広がる海のほうを向いて──

新井君ー!!大好きだよー!!

そう叫んだ凪は私のほうを振り返ってまさに、どや顔をした。
凪の愛は本物だと確信した瞬間、私は体が勝手に海のほうへむいていた。

そして、勝手に口がひらいていき───

真二君!!!愛してるー!!ずっと、ずっと、一緒にいたいー!!

叫び終わった瞬間、われに戻って顔が赤くなって止まらなかった。
だが、凪の顔を見ると凪の顔は微笑んでいた。
そして、私の頭に手を「ポン」とのせて──

「できるじゃん」

と、笑って見せた。

「うんっ...////」

その瞬間、私は嬉しさと感動を同時に手に入れたんだ──。

「頑張りなよ」

「うんっ...」


※実話ではありません(続く)




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