「電話」
- カテゴリ:自作小説
- 2009/08/03 22:24:30
夜。
窓の向こうに、まあるい満月を見つけた。
黒い画用紙に、コンパスで正確な円を書き、そこを綺麗にくりぬいたような。
それくらいの、ち密な美しさだった。
どうしてもこの感動を伝えたくて分かち合いたくて、棚の上にあった電話を持ち出し、
膝の上に載せて窓の隣に座った。
慣れた手つきで、番号を押す。
月に見とれながらも淀みなく動く指に、番号の持ち主との付き合いの長さを感じた。
――――もしもし。
イチ、ニ、サン。
ヨン回目のコールで、慣れ親しんだ声が聴こえた。
「月が綺麗だよ」
今の感情をすぐ言葉にする。
名乗らない事を向こう側は咎めない。
それは相手の持つ携帯の液晶画面に、登録された自分の名前と電話番号が表示されたとかじゃなく、もっと別の、着信音から分かるような繋がりが二人にはあるから。
――――偶然。今からそのことで、こっちも電話をしようと思ったんだ。
「まあるい満月。そっちも綺麗なんだ」
至極当然の事を言ったように思うだろうけど、それは違う。
今宵の月が美しいと思うかは、個々の感性。
二人はそれが同じで、全く逆で。だからこそ、今日まで付き合ってこれた。
闇夜に浮かぶ月を見上げる。
雲も星も無い、ただ真っ暗の空間に凛と光を放つ今日の月。
電話の向こうの空模様は此処からは分からないけれど、きっと、どんな天気でも今日この月は美しいだろう。
受話器の向こう、耳に届く穏やかな声。
静かな世界に身を委ねながら、二人は繋がっている。
田舎なんで、月や星が良く見えるんですよね。
少し前に見た満月をイメージして書いた小説です。
そういえば月なんて、たぶん数ヶ月ぐらい見てないです。星も同じく。。
こんな関係のひとがいたら・・いいですねd('∀'o)
そうですか?
ありがとうございます^^
二人の関係は友情でも恋愛でも、男同志でも女同志でも男女でもとれるように書いたつもりです。
続きは……どうだろ~、書けるかなぁ。
二人の関係をもっと知りたくなっちゃうよ~~。。
続きがあればいいな。。^^