最後まで切れない赤い糸 #22
- カテゴリ:自作小説
- 2013/05/07 18:23:15
主な登場人物
・皆川亜美…すべて平凡な女の子。中学1年生の頃、猟牙と出会う。
・皆川亜美香…近所で美人と有名な亜美の妹。すべて亜美より上。
・宮城猟牙…中学校の頃、亜美を引き寄せた男子。皆の人気者。真二の幼馴染。
・高橋凪…スポーツ万能で、皆の人気者。一部の男子からはモテモテ。
・立花莉子…男子から人気のクラスのマドンナ。猟牙と仲がいい。
・新井真二…いきなり亜美に告白してきた男。人気のある男子。猟牙と幼馴染。
・横山秀司…真二の友達で、同級生。亜美香のことが好き。
際二十二章 『宮城君の本音』
「.........」
「おっ、何それ、懐かしいアルバム出して~」
「うっ、ううっ、うんっ...!!」
私は真二君と過ごした日々がつづられているアルバムを見ていた。
そこにはたくさんの写真や、手紙、言葉がつづられている。
「なんでいきなり?」
「へっ...、そ、それはぁ...ま、まあ、なりゆきで!!」
「な~るほど~、早くこっちこいよ、晩飯にしようぜ」
「うん、すぐ行くねっ」
そう告げると、真二君は部屋から出て行った。
私がいきなりこのアルバムを引っ張り出してきた理由は....
宮城君の言葉をきれいサッパリ洗い流すためだ。
「....よしっと」
心の準備ができた私は、真二君の元へ向かった。
アルバムを放置して───....
「真二くーんっ!!なんか手伝おうかっ?」
「いいの、今日は俺がやるって言ったでしょ?」
「初日から旦那に作ってもらうなんて悪いよぅ~...」
「いいのいいの!」
あぁ、なんだかいまめっちゃ幸せ...理想の夫婦って感じがする。
きっとこれは、真二君だからなんだ、きっとそうだ。
「ほら、奥さんは座っときなさい」
「わかった...、ありがと」
私は言われた通り、席についた。
すると、テーブルにおいていたスマホの光と共に....
ヴー、ヴー、ヴー…。
バイブがなった...。
「.....?」
私はスマホを手にとって、電話に出た。
名前は「凪」と書かれていた。
「なんだ、凪からか...」
「凪ちゃんから~?」
「うんっ、ちょっと出てくるねー!」
私は玄関から出て、電話に出た。
「もしもし?凪?どうしたの──」
「猟牙だけど...」
「!?」
私は体が動かなくなり、硬直した.....。
「な...んで...凪の携帯から...?」
「高橋に借りた、携帯。お前いくら鳴らしても出てくんないから」
「当たり前でしょ!?頭おかしいんじゃないのっ!?」
────ブチッ!!!!
勢いで切ってしまった...。さすがに今のは酷かった...?
いや、でもこれくらいしなきゃいけない。
もうこの幸せな家庭に首をつっこんできてほしくないから.....。
「亜美ちゃん...?大丈夫?怒鳴ってたけど...」
「大丈夫だよ」
「亜美ちゃん...?」
「大丈夫だって!ほら、ご飯、ご飯っ───」
「亜美ちゃん、こっち向いて」
素通りしようとした私を引き止めた真二君....
「向けない」
「なんで向けないの?」
「向く気分じゃないんだー....」
「いいから向いて」
と、言うと真二君は無理矢理向かせた。
「っ!?」
「やっぱ、泣いてるじゃん...どうしたの...?」
私は自然と涙がこぼれていたようだ...。
私の枯れた頬を潤す涙は、本当に残酷な物だった....
「なんっ...でもないっ...」
「なんでもないんならそこまで泣かないでしょ?」
「なんでもっ...ないっ、からっ....」
「......また猟牙?」
「────!?」
あたってるって確信してるワケではないんだよ....?
なのになんでだろう...?自分の体が勝手に動揺し始めた。
「なっ、何言ってるの!?真二君までそんな事言うの!?」
「だ、だって亜美ちゃんが泣いてる理由見たのいつも猟牙じゃん!」
「!!」
そうか...私はこんなところで傷つけまくってたんだ...。
真二君はそんな些細なところまで、見守ってくれていたんだ。
「....ごめんなさい、でも、大丈夫だから安心してほしい」
「わかった、気にしない。...ほら、風邪引くから早く入って」
「うん、ありがとう...」
私は真二君の温かさに包まれながら、家に入った。
そんな温かい時間でさえ...記憶と心の片隅にはいつも宮城君がいる...。
なんで?どうして?早く消えてよ....。
※実話ではありません(続く)