Nicotto Town


うみきょんの どこにもあってここにいない


異国という、新鮮さ


なにかをはじめて食べた時って、たいていなにかしらの
驚きにみちた感動があると思う。
とくに印象深かったのは、ふたつ。
ほぼ同時期にたべているから、若さゆえの感受性のするどさ
とかもあるのだろうけれど。
(その四五年後にたべたはじめての食べ物では
もはやそれほど、感動はおぼえなかったから…)

ひとつは、インド料理店でのカレーとナン。
素朴なパンのようなナンにも驚いたけれど、
サグ・パニール、あるいはパラク・パニール、
ホウレンソウとチーズのカレーには驚いた。
みためが緑色。四角いチーズっぽいものが
なかにういてる。
あの緑色におどろいたのかもしれない。
しかもおいしい。肉料理も基本好きなのだけれど
肉の感じのしない、濃厚なホウレンソウのソースが
さらさらと、体にやさしそうにのどにはいってゆく感じがいい。
以来、今でも基本的にはインド料理店にゆくと
これを頼む。
あと、びっくりしただけでなく、お店の雰囲気も
なんだかエキゾチックで、ひかれたことを思い出す。
なぜか、どこか、禁断の香りがするようで。
お香のせいかもしれない。ふしぎなインドの曲が流れていたからかもしれない。
内装も、金色が多様につかわれていて、豪華だった。
そこは、今も店の名前としては、存在しているようだけれど、
当時いった店はない。そのすぐ近くでデリバリー専門店はみかけた。

つぎは、ロシア料理の店でたべた、壺焼き。
マグカップみたいな容器の上がパンでふさがれている。
パンをやぶくと、なかにクリーム状のスープが。
これもやっぱり驚いた。しかもおいしかった。
きのこがたっぷりはいっていたと思う。
これは、セットになっていて、あとはピロシキとボルシチだったかしら。
紅茶にジャムがはいった飲み物もついていた。
デパートの上のロシア料理店だったので、
値段もそんなにはしなかった。
けれど、こちらもなんとなく、エキゾチックで。

どちらの店も、男につれてってもらったものだ。
いろんなことに期待をしていた。
世界はまだ新鮮だった。

今がそうじゃない、というわけでは…。
新鮮さは、たぶん幻想のなかにある。






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