最後まで切れない赤い糸 #20
- カテゴリ:自作小説
- 2013/05/03 16:15:56
主な登場人物
・皆川亜美…すべて平凡な女の子。中学1年生の頃、猟牙と出会う。
・皆川亜美香…近所で美人と有名な亜美の妹。すべて亜美より上。
・宮城猟牙…中学校の頃、亜美を引き寄せた男子。皆の人気者。真二の幼馴染。
・高橋凪…スポーツ万能で、皆の人気者。一部の男子からはモテモテ。
・立花莉子…男子から人気のクラスのマドンナ。猟牙と仲がいい。
・新井真二…いきなり亜美に告白してきた男。人気のある男子。猟牙と幼馴染。
・横山秀司…真二の友達で、同級生。亜美香のことが好き
第二十章 『別れを告げた時』
ただただ静かにたたずむ新井君と私...
屋上の冷たい風が私の体に突き刺さる....。
「..........」
何も言えないし、何も言わない...。
今新井君にかけれる言葉なんて見つからない。
「亜美ちゃん...」
「はいっ....」
・・・・・・・・・・・・!?
あんな酷いことをしたのに新井君は優しく微笑んで私の名前を呼んだ。
「新井君....」
いやな予感がした....いつか聞くことになるって思っていた言葉.....
「もう別れようか....」
わっかてたよ....私のせいで聞くことになるって...わかってたけど....
「.........っ」
止まんないよ。
「亜美ちゃん....ゴメン....」
私の乾いた頬につたう涙を見て、
辛そうにうつむく新井君....私は激しく首を横に振った。
「新井君は悪くない...散々傷つけたのは私だよ....」
そう呟いた私は、一筋の涙にそっと触れて
「ゴメン.....」
と、呟いた。
うつむくと、ポタリと落ちてきた雫.....。
きっと新井君は私なんか以上に辛いんだ.....
ほら...、今だって新井君の頬には私以上の涙が濡れている。
「ごめんなさいっ....」
私は涙が出る...もう...、止まらない。
こんな涙なんかいらない....こんな卑怯な涙なんていらないよ。
新井君の心をズタズタにするだけの涙なんて...流したくないよ....。
最後くらい....、最高の笑顔にしてあげなくちゃいけなかったのになんで私は今...
こんなの新井君を泣かしているの....?
「亜美ちゃん...、君の気持ちは最初からわかってたつもりなのに....」
必死に涙をぬぐいながら、そう悲しそうに呟いた。
私だって、新井君の気持ちをわかってたはずなのに.....
なんで何も変えられなかったんだろうね....?
すべて私が悪いのは、わかっているよ。
もう、何も言わない...、いや、いえないよ...いえるわけないじゃん....。
「亜美ちゃんとは赤い糸の相手じゃなかったのにね....」
「っ.....!!!」
新井君は悲しげに、うつむき、涙を落としてく....。
歯を食いしばり、唇をかみ締め、声を押し殺すように泣く....。
「赤い糸とか関係なく....、私は楽しかったよ...」
そういうと、新井君はニコッと微笑んだ。
だがその微笑からは喜びや、楽しさが感じられるものではなく、
寂しさの一言しか伝わってこなかった...。
「俺も楽しかったよ...。でも...、これでさよならだ...」
しっかりと耳にした「さよなら」..。
その時、今まで溜め込んでいたのか、涙が一気に多く出た。
その涙はまるで、滝だった...。
「うっ....うっ....」
うつみて泣いていると、新井君はそっと私の頭を撫でて
「最後なんだから、笑ってよ」
と、微笑んだ。
「うんっ......」
もちろん、作り笑いだが私はニコッと笑った。
最後くらい....笑って、見送らなきゃいけない...私の彼氏じゃなくなる人を──...。
「これで終わりなんだね....」
そうつぶやくと、新井君は優しく微笑んで
「そうだね、これで終わりだ」
と、つぶやき、最後に私を抱きしめてくれた。
その温もりは今まで過ごした新井君との記憶を蘇らせた。
「っ..........」
泣かない...泣かない...泣いたらダメだよ...。
これで、終わりなんだから、ないてなんかいられない。
「じゃあね」
私を優しく放し、微笑んだ新井君の体にはもう....
触れることさえ許されないようになってしまうんだろう...
「うん....」
私はそれが名残惜しいのか、ずっと服の袖をつかんで放さなかった。
.....だが、ずっとこうしてなんかいられない。
「さようなら」
新井君は温かい手で、袖をつかんでいた手をそっと放した。
ふいに見せられた大きな背中はもう私のものなんかじゃないんだ....。
「新井君っ....!!!」
私はギュッ...と新井君の背中に抱きついてしまった。
このままさよならなんて...いやだ....。
「亜美ちゃん....?」
「このままさよならなんて...やだよ....」
そうつぶやいて、私は強く抱きしめた。
新井君の大きな背中に顔をピタリと貼り付けて....。
「亜美ちゃん...ダメなんだ、だって亜美ちゃんはっ──」
「私、宮城君のこと好きなんかじゃないよっ!!!」
「えっ!?」
そう大きく叫ぶと、新井君は勢いよく振り返って
「で、でもあの時追いかけたし....」
「あの時は自殺しちゃわないか心配だっただけっ!!!」
笑ってごまかす...いや、嘘をつく。
だが、新井君はパァッと笑顔になって、
「そうだったんだ...じゃあ別れなくてもいいんだ....」
と、言った。
私は大きくうなずいて、
「そうだよ」
と、微笑んだ。
これでよかったのか...?名残惜しいから引き止めただけじゃないの?
もう一人の自分がそう問いかけるが、そんなの気にしなかった。
今は新井君の笑顔を見てれるだけで、こっちまで笑顔になるから。
※実話ではありません(続く)
続きとっても気になります!