最後まで切れない赤い糸 #19
- カテゴリ:自作小説
- 2013/05/02 22:09:49
主な登場人物
・皆川亜美…すべて平凡な女の子。中学1年生の頃、猟牙と出会う。
・皆川亜美香…近所で美人と有名な亜美の妹。すべて亜美より上。
・宮城猟牙…中学校の頃、亜美を引き寄せた男子。皆の人気者。真二の幼馴染。
・高橋凪…スポーツ万能で、皆の人気者。一部の男子からはモテモテ。
・立花莉子…男子から人気のクラスのマドンナ。猟牙と仲がいい。
・新井真二…いきなり亜美に告白してきた男。人気のある男子。猟牙と幼馴染。
・横山秀司…真二の友達で、同級生。亜美香のことが好き。
第十九章 『衝撃の事実』
「宮城君っ....!!!」
寂しそうな背中にようやく追いついた....。
やっと追いついた場所は屋上だった。
「なんで追いかけてきたんだよ....、早く真二のとこもどれ」
少しふてくされたような声で呟く。
だが、私はいう事を聞かず、帰らなかった。
私は走って荒らした息を整えながら、宮城君を見て
「戻るわけないじゃない!!宮城君が心配で来たんだよっ!?」
と、少し怒鳴りつけるように言った。
「なっ...なんだよ、あんな事言っといて...!俺がこうなったの誰のせいだと──」
「私のせいでしょ!?わかってるよ、そんなことっ!!だから来たんでしょ!?」
このときは完全に怒鳴りつけるように言った。
宮城君は私の声を聞いてピタリと固まったのだ。
そして、小さく口を開きながら.....
「そ、そうだな....」
と、顔を人差し指でポリポリとかいた。
重い沈黙が私の体にのしかかってくる....。
なにか話さなきゃいけない.....
「「あのさぁ」」
二人とも同じ時に言葉を発した....。
「どっ、どうぞ...」
「いやいや、そっちがどーぞ」
譲りあてもしかたがない....私は深呼吸して
「いや、あのさぁ....莉子ちゃんの話って....あんましちゃいけない...?」
なんだこの質問が今出るんだ。
そんな自問自答をしている内に宮城君は口を開けて
「別に...」
と、小さく呟いたのだ。
「じゃっ....じゃあ、聞いてもいいかな...?」
私は苦笑いをしながら、宮城君に聞いた。
宮城君はドアにもたれかかって、深呼吸して話し始めた。
「実は莉子ちゃんと付き合うことになったのは....中3の寒い冬だった。」
「えっ....?」
中3の寒い冬でふと記憶が蘇った。
あの日、あの時...宮城君の口から出た二度と聞きたくない言葉....
別れを告げられた記憶.....。
「そう、今思い出したんだろ?俺が振ったあの日のことを....」
そう呟く宮城君に私はそっと小さく頷いた。
「だよな...、んで、俺がお前を振る数ヶ月前....告白されたんだ....」
「立花さんが告白したのっ....!?」
「うん...それで、俺振ったんだよ、莉子ちゃんのこと....そしたら莉子ちゃんが──」
そこかは聞いた話は驚きが隠せない内容だった。
その後、立花さんは大号泣し、泣き崩れて大きく叫んだらしい。
でも、宮城君は「彼女がいるから」って泣き崩れてる立花さんをほって
帰っていったらしいけど....その日から立花さんに言われたそうだ。
「私と付き合ってくれたら、亜美ちゃんを傷つけなくて済む」.....と。
それで付き合ったって話だったけど....
それって.....
「本当なの...?とてもあんな美人で優しそうな人が言う言葉とは──」
「お前、見かけにだまされちゃいけないぞ、マジで」
そう呟くと、宮城君は体を起こして屋上から去っていった。
衝撃が大きすぎて、私はその場から離れられなかった....いや、それだけじゃない。
教室には戻りたくない気分なんだ。
今は....、新井君に会いたくないから....。
PLLL.....♪
「っ.......!!」
いきなり鳴り響く着信音に肩をビクつかせてしまった。
画面を見ると、そこに書かれていた名前は
亜美香
と、書かれていた。
「亜美香....?」
私は[出る]のボタンを押して、
「もしもし....」
「お姉ちゃん!?何してるの!?」
電話から響いた亜美香の大きな声....。
「な.....、何が.....?」
「お姉ちゃん、前見てみっ!!!」
私は言われるがまま、まっすぐ前を見た...。
すると、そこには取り乱してスマホを片手にする亜美香の姿。
そうだった....中学校と近くて屋上が見えるんだった。
「おー、亜美香ー....」
「いやいや、”おー、亜美香ー”じゃないでしょ!!!何してるの!?」
「何って...座ってるの」
「何言ってるの!?もう授業始まってるよ!?」
そういう亜美香に私は少し呆れた声で
「亜美香...あんたのとこだって授業始まってるんじゃ....?」
と言った。すると亜美香はため息交じりの声で
「私は今日短縮授業っ...。もう放課後なのよ」
「えっ!?何それ、聞いてないっ!!!!」
「はいはい、黙って...、今はお姉ちゃんの話を....ってあっ!!新井君っ!」
「えっ...?」
クルッと振り返ると、ドアの前には新井君が立っていた...。
「新井君......!」
私はピクリとも動けず、そのまま新井君をみつめることしかできなかった...。
※実話ではありません。(続く)