最後まで切れない赤い糸 #18
- カテゴリ:自作小説
- 2013/05/02 18:07:09
主な登場人物
・皆川亜美…すべて平凡な女の子。中学1年生の頃、猟牙と出会う。
・皆川亜美香…近所で美人と有名な亜美の妹。すべて亜美より上。
・宮城猟牙…中学校の頃、亜美を引き寄せた男子。皆の人気者。真二の幼馴染。
・高橋凪…スポーツ万能で、皆の人気者。一部の男子からはモテモテ。
・立花莉子…男子から人気のクラスのマドンナ。猟牙と仲がいい。
・新井真二…いきなり亜美に告白してきた男。人気のある男子。猟牙と幼馴染。
・横山秀司…真二の友達で、同級生。亜美香のことが好き。
第十八章 『あなたの隣にいてもいいですか...?』
「ぃっ.....!っててて.....」
保健室前にまで聞こえてくる宮城君の痛々しい声....
私はただただ保健室の前でたって聞いているしかできなかった....。
こんな事しても、意味はないのに....。
「はぁ......」
帰ろうとした瞬間、後ろからドアの開く音がした。
振り返ってみると、バンソウコだらけの顔をした宮城君の姿。
「宮城君っ.....!」
「おぉ、亜美~!!!!!」
宮城君はいつもと変わらない無邪気な笑顔を見せた。
そして、手を激しく振って駆け寄ってくる。
「だ...、大丈夫....?」
「んぁ?ああ、大丈夫大丈夫~♪」
そう元気な声で言った宮城君はVサインをした。
だが、どこからどうみても大丈夫には見えない......
「なんで....なんで来ちゃいけないって言ったのに来たの?」
つい口から出た質問.....
宮城君の無邪気な笑顔は優しい微笑みに変わり.....
「逃げたら卑怯じゃん」
と、言ったのだ。
「でっ、でもっ....ここまでされるんだよ!?逃げてもっ───」
「だって俺がアイツを振って傷つけたのは変わりねーもん」
「へっ.....?」
今の宮城君の発言に驚かされた。
宮城君から振ったのって本当だったんだ....。
「な...なんで振った....の....?」
そう聞くと、宮城君の口は動かなくなった。
「ごっ、ごめんっ...聞いちゃいけなかったっ?(汗)」
そう質問すると、宮城君はポケットに手をつっこんで
「うん、聞いちゃいけなかった」
と、サラリと涼しい顔で言ったのだ。
「ご....、ごめん....」
ただ一言、「ごめん」と謝った私は宮城君に背を向け、帰ろうとした。
だが────
─────パシッ。
「っ.....!」
腕がつかまれた....あの頃の記憶がいっきに蘇る。
ケンカして怒って帰ろうとする私を引き止めるあの大きな手とまったく同じ....
あの頃の温かい手と何も変わっていない...。
「み....やぎ君....?」
私は体が固まって動かない....
宮城君はずっと黙ったまま、何も行動に移さない。
「.............」
私も、何も言えなくなった。
こんな公の場でこんな姿見られたらっ───......
「亜美ちゃん....?」
───ドクンッ!!!!!!
後ろから聞こえた聞きなれた優しい声....
「新井....君....」
私の動かなかった体は小刻みに震えた....。
そして、目が大きく見開き、新井君のほうへ向いて動かない。
どうしよう...、否定しなきゃいけないのに....。
「あっ、新井くっ──」
「オイ、猟牙...何やってんだよ....」
───っ.....!!!!!
いつも優しくて温かい新井君の目は、豹変したように
鋭く...全身に突き刺さるような目で宮城君を睨んだ.......。
「何って....何も...?」
そういって、力強く握り締めていた宮城君の手は、
優しく私の腕を放した。
「あっ.....」
私は放された瞬間、反射的に新井君のほうへ走っていった。
そして、新井君の前に立って
「新井君っ.....」
なんか、言い訳しなきゃいけない.....、でも言い訳が出てこない。
「亜美ちゃん....」
「はっ、はいっ.....!?」
激しく返事をした私。
すると、新井君は優しく微笑んで頭を撫でた。
「え......?」
新井君の行動に私は不思議に思った...。
新井君は私から離れて、宮城君の前に立ち....
「どういうつもりだよ....」
と、一言質問を投げつけた。
そんな質問に宮城君は顔をしかめながら
「何がだよ?」
と、つぶやくように言った。
すると、新井君はいきなり宮城君の胸ぐらをつかんで
「どういうつもりで亜美ちゃんにあんな事したんだよ....」
と、顔をしかめ、今まで見たことのないような怖い顔で言った。
だが、そんな顔に動じるワケでもなく、宮城君は目をしっかり合わせて
「自然と体が動いたんだよ」
といった。
「へっ...../////」
ふいに顔が赤くなっていく私....
アホらしい、バカバカしい反応だとは分かりながら。
なんで今でもこんなに宮城君の一言で心が大きく揺れるの...?
「お前の自然な行動で亜美ちゃん困ってるだろっ?」
「そうだな、俺が困らしてきたよ...」
「っ.........!」
宮城君のその言葉に思わず反応してしまった。
「わかってるなら、二度と近づくな。」
そう怒って言う新井君....。
二度と近づくな、なんて....そんな.....でもここで否定したら....
また、新井君を傷つけて、悲しませてしまうだけだ。
宮城君とは終わったなかだし────......
「それは無理だ」
「はぁ?」
・・・・・・・・・・!?
「みっ、宮城君、別に私に近づかなくたっていいでしょ!?///」
「二度と近づくかないっていうのは無理」っていう言葉に動じてしまって....
いらない言葉が次々と口から出ていく.....
「そっ、それにさっ!!!私今新井君の彼女だから、そんな勘違いさせるような行動
とられたら困るよっ!!!!もうっ....わかんなくなるからやめてよっ....!!!」
あっ………。
私は慌てて口を両手で押さえた。
ゆっくり宮城君の顔を見ると、その時みた顔は....
「…………!?」
その時の宮城君の顔は悲しさしかない表情で....なんと言っていいか....
「み...、宮城君.....」
手を伸ばそうとしたその時...もう遅かった....
「そうだな、お前と俺はもう終わったんだったな...」
そう寂しく微笑むようにすると、宮城君は悲しげな背中を向けて
傷だらけの顔をうつむけて行ってしまった。
「っ.........」
追いかけたい気持ちなんてないよ?追いかけたい気持ちなんてないよ?
そう思い込み、必死に押し殺してたけど、やっぱりダメなんだ....
「ごめん、新井君....、待ってて」
私は宮城君のほうへ走ろうとした....だが、
───パシッ。
「どこいくの!?亜美ちゃん....もうチャイム鳴るよ....」
「わっ、わかってる!!すぐ戻るから先教室戻ってて!?」
「ダメだ、アイツのとこに行っちゃ......」
「っ!?」
怖くなった....新井君に何もかも見透かされてるようで怖くなった....。
私の心の奥底の気持ちまで気づかれていそうで....
「はっ、放してっ....!!!!」
私は守ってきてくれた大きくて温かい新井君の手を思いっきり
振り払ってしまった....。
「あっ.....亜美ちゃ.....」
「ごっ....ごめんなさい.....」
私は、目に涙を浮かべながら必死に宮城君を追いかけた。
もっと悲しい顔をしている人が後ろにいるとわかっていながら...。
※実話ではありません(続く)
続きがすごい気になります(>_<)