Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


最後まで切れない赤い糸 #17

主な登場人物
・皆川亜美…すべて平凡な女の子。中学1年生の頃、猟牙と出会う。
・皆川亜美香…近所で美人と有名な亜美の妹。すべて亜美より上。
・宮城猟牙…中学校の頃、亜美を引き寄せた男子。皆の人気者。
・高橋凪…スポーツ万能で、皆の人気者。一部の男子からはモテモテ。
・立花莉子…男子から人気のクラスのマドンナ。猟牙と仲がいい。
・新井真二…いきなり亜美に告白してきた男。人気のある男子。
・横山秀司…真二の友達で、同級生。亜美香のことが好き。

第十七章 『揺れ動くマドンナ心』

あれから私達は教室に向かって歩いていた。
すると、廊下にはなんやら人込みが.....

「なんかあったのかな?」

私達はその人込みの中を覗き込んだ。
すると、そこにはうずくまってる一人の少女....
その丸まった背中には見覚えがあった...あの寂しそうな背中....

「もしかして....立花さん....?」

そうだ....あの日見た立花さんの寂しい背中....。
でもなんでこんな状態になってるの....?

「オイッ、宮城はどこなんだよ.....(怒)」

一人の男子が怒りを溜め込んだような声で言う。

「来ないんじゃね?ま、来たらボコボコにされるし~」

「えっ!?」

つい私は声を出してしまった。

「なんだよ、皆川...お前なんか知ってるのか?」

怒ってる男子達が私に問いただす。

「いや、何も知らないけどっ....、なんでボコボコにされるのかなって...」

「当たり前だろっ!?アイツは莉子ちゃんをフッたんだぞっ!?」

「はっ......?」

私は言葉も出なくなった....ふった...?なんで?意味分からない.....
「幸せになる」ってあんなに嬉しそうに言ってたのに.....

「そんなのありえないよっ....だって宮城君はっ───」

「へー、そーなんだー.....」

凪は割り込むように声をあげた。
そして、男子達の前に大きくたって.....

「でもさ、宮城君が振ったっていう証拠...あるの?」

「は?」

「もしかしたら莉子ちゃんが振って、振られた演技してるのかもよ?」

「なっ、凪っ!!!!」

いきなり意味分からないことを言い出す凪に戸惑う私。
でも男子達はただただ凪を睨んで

「んなワケねぇーだろ...?んでそんなバカなマネを....」

「あんたらのせいじゃないの?」

「はぁ?テメェさっきから意味わかんねーこと──」

「あんたらからの信頼とか守りたかったからこうやってる...とか?
ほら、自分から振ったってなったらなんか悲劇のヒロインじゃなくなるじゃん」

凪は涼しい顔をしてサラサラと自分の考えを説明していく.....
それがどんだけエグい事だとしてもだ。

「凪、いい加減にしなきゃ.....」

「おはよう」

生徒全員がその挨拶に振り向いた。
挨拶の主はもちろんこの人しかいないだろう.....

「み.....宮城君.....」

バカだな、こないでってメールしたのに....。
宮城君はいつもと同じような涼しい顔でこっちに近づいてきた。
そして、宮城君は

「何?何事....?」

と、怒ってる男子達に問いただすのだった。
だが、あの凪の説を聞いた後だったから少し疑いは減り....

「お前....本当に莉子ちゃんを振ったのか....?」

と、確認を取るように聞いた。
すると、宮城君は..

「え?あぁ、うん、別れたけど?」

と、平気な顔をして答えたのだ。

「えっ.....!?ちょっ、宮城く───......」

「やっぱり本当だったのか!!!オマエラッ、殴れ~!!!」

「はぁっ!?」

男子の声と共に男子達は宮城君を殴りにかかった。

「───めてよ....」

やめてよ....やめてよっ......
宮城君を殴らないでよっ.............

「や....めて....」

ボコッ、ドスッ、ボコッ───!!!!

「やめてよっ!!それ以上殴ったら死んじゃうよっ!!」

私は宮城君の前に立って必死にかばった。
だが男子達の怒りは収まることなく

「女子は引っ込んでろっ!!」

と、私は腕を引っ張られ、突き飛ばされた。

「ぃっ.......!!」

壁に腕が当たって痛かった。

「亜美ちゃんっ!!!!」

すぐに新井君が駆け寄ってきてくれて助かった...。

「新井君....、ありがとう.....」

ふっ....と顔を上にあげると新井君の目と目があった....。
瞬間的に私は目をそらしてしまった....。

つい体が反射的に出てしまった...まさか守りに行ってしまうなんて。
バカバカしい行動なのになんでだろう....?後悔なんかしていない。

「亜美ちゃん...、顔あげて、大丈夫だから」

「っ.....」

優しく浴びせられたその温かい声は私の罪悪感に突き刺さった。
こんな温かい人と一緒にいていいの...?いちゃいけない?

そんな自問自答を繰り返すだけでも、無駄なんだろうけど....。


※実話ではありません(続く)






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