最後まで切れない赤い糸 #15
- カテゴリ:自作小説
- 2013/04/30 19:00:16
主な登場人物
・皆川亜美…すべて平凡な女の子。中学1年生の頃、猟牙と出会う。
・皆川亜美香…近所で美人と有名な亜美の妹。すべて亜美より上。
・宮城猟牙…中学校の頃、亜美を引き寄せた男子。皆の人気者。
・高橋凪…スポーツ万能で、皆の人気者。一部の男子からはモテモテ。
・立花莉子…男子から人気のクラスのマドンナ。猟牙と仲がいい。
・新井真二…いきなり亜美に告白してきた男。人気のある男子。
・横山秀司…真二の友達で、同級生。亜美香のことが好き。
第十五章 『純粋な恋心』
亜美香の視点。
「えっ......」
驚いた....。先輩は私の両肩を優しく押したのだ....
そう、唇を離れさすために....。
「な....んで....?」
拒絶されてショックだった....なんで?大して好きでもないじゃん....
ただ心が揺らいだからしようと思っただけだよ....?
なのになんでこんなに小刻みに体が震えるの───....?
「亜美香ちゃん....ダメだよこんな形でファーストキスしちゃ....」
「え.....?」
「ファーストキスは本当に好きな人としなきゃ....ダメだよ。」
「.......!!」
その時の先輩の顔は二度と忘れられないほどの悲しい表情....。
すごく辛そうな顔を浮かべている。
「.....先輩」
私はそれ以上何も言えなくなった。
「亜美香ちゃん、やっぱり帰りな?少し血迷ってるみたいだし──....」
私は気づいた。
「それにさ....」
この時....しっかり自分の想いがわかったんだ....。
「亜美香ちゃんは真二の事が───」
「好きです....先輩....」
好きなんだと。....この人のこと純粋に...好きになったんだ。
「え?いやいや....」
「血迷ったワケではありません、本気でっ!!」
「亜美香ちゃんっ!!!!!」
「っ!」
急にリビングに響く怒鳴り声....。
「先輩....」
「俺は....純粋に君が好きだ....。でも君はまだ真二のことが好きだろ?」
「そっ、そんなっ....!!」
「じゃあ、少しも想ってないって....言えるの...?」
「っ.......!」
その質問には....答えれなかった....。
すると、先輩はけして睨むワケでもなく優しく私の頭をなでて
「待ってるから...君の気持ちが固まるまで」
と、微笑んでくれた。
「せんっ....ぱいっ....」
そして、私はホロリと一粒の涙をこぼした...。
「ね?今日は帰りなさい、送ってあげるから」
「.....はい」
先輩にすごく助けられた....。
なんか落ち着いて家に帰れる気がする....。
───家に到着。
「じゃあ、俺はここで」
「あっ、あの...先輩っ....!!!」
「ん?」
私は少し照れながらも、まっすぐ先輩の目を見て
「ありがとうございました....あの言葉....忘れません」
と言った。
すると、先輩はニコッと微笑んで
「俺も忘れない」
と言ってくれた。
そして、大きな背中を向けて、帰っていった....。
「先輩....大好き....」
自然に呟いていた言葉....。
これが....きっと今の純粋な本当の気持ちだと思う...。
でも...でも....新井先輩が好きじゃないとは言い切れない私もいる。
このままじゃ先輩を傷つけて困らすだけだから....
待っててください....先輩...すぐにこの気持ち捨てるから。
───ガチャ。
「亜美香っ....!?」
「お姉ちゃん.....」
偶然にもお姉ちゃんが出てきた。
「亜美香っ....ごめんねっ...、私っ.....!!」
「お姉ちゃん、謝らないで....、お姉ちゃんのおかげで私....
この世の中で一番大事なもの....見つけたから」
「へっ?」
「じゃ、中はいるわ~!!」
驚く姉をほったらかして、家に入った。
お姉ちゃんを傷つけちゃうって思ってたけど...
私の本当の気持ちが先輩に向いたんだもん、もう誰も傷つけない。
きっと..............
※実話ではありません。(続く)