Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


最後まで切れない赤い糸 #11

主な登場人物
・皆川亜美…すべて平凡な女の子。中学1年生の頃、猟牙と出会う。
・宮城猟牙…中学校の頃、亜美を引き寄せた男子。皆の人気者。
・高橋凪…スポーツ万能で、皆の人気者。一部の男子からはモテモテ。
・立花莉子…男子から人気のクラスのマドンナ。猟牙と仲がいい。
・新井真二…いきなり亜美に告白してきた男。人気のある男子。

第十一章 『”さよなら”が言えなくて...。』

「俺は君を絶対放さない....。」

「えっ.....?」

後ろから来た突然の温もりと、言葉....。
新井君の大きな腕が私を温かく包んでくれる....。

「新井君....ちょっ....と....。」

「............」

新井君は黙って私の体を抱きしめ続けた....。
そんな新井君を突き飛ばしたりできない私...いや、できなくなったんだ...。
今日の映画デートのせいだ。

「っ........」

気づけば私は目をつむって、新井君の優しさに黙って包まれていた...。
いつの間にか私はこの人に甘えていたんだ....。
そして、この人に恋してしまったんだ。

ごめんね....凪....この人だけは私も放すことができないよ....。
放すことが目的で来たけど....そんな事....できなくなっちゃった...。
さよならなんて言えないよ....。

「.............」

私の頬には一筋の涙がつたう.....。
それに気づいた新井君はパッと手を放して

「ごっ、ごめんっ....。」

と、言った。

「う...ううん....ありがとう、すごく安心した。」

と、私は初めて新井君の前で心底微笑めた....。
すると、新井君は私の頬に触れて、涙をぬぐってくれた。

そして、ニコッと微笑んで.....

「どういたしまして」

と、優しい声で言ってくれた....。
この人がいれば私は壊れずにやっていける....。

「ねぇ...新井君....私ね、前はいえなかったけど....」

「うん?」

「あなたのこと.....大好きだよ。」

私はニコッと微笑んだ。
すると、新井君はそっと顔を近づけて.....

「俺も大好きだよ。」

と、言ってキスをしてくれた....。
もちろんファーストキスではない....でも私の中ではなぜか
すごくファーストキスのように感じたんだ。

なんで?どうして?もしかしたらあの時から宮城君は私の事が好きじゃなくって
あの時のファーストキスは...気持ちがこもってなかったのかもしれない。
なんだったら、あの頃のファーストキスは忘れよう....。

「ファーストキス....ではないんだよね。」

悲しげな目をして呟いた新井君....。
でも私は首を横に振って、ニコッと微笑み....

「ファーストキスだよ」

と、言った....。

「えっ.....?」

驚いた表情を浮かべた新井君に私は

「ファーストキスと同じようなもんだよ....。」

と、呟いた....。
新井君は何かを察したかのように目をそらし、

「そっか」

と、一言呟いた....。
そこから、二人の時間は止まったように沈黙が続いた。

そして、数分後、新井君は私の手を握って

「帰ろうか」

と、微笑んだ。
そして私も手を握り返して

「うん」

と、微笑んだ。なんだかその時の新井君の
微笑みはまるですべて受け入れてくれたように感じた。

それは自分の都合のいい考えかもしれないけど....でも....
今はそう思いたい....いや、思わせてください。

「家まで送るよ。」

「えっ、いいよいいよっ!!!」

「彼女を送るのが彼氏の務めだろ....」

「ぇ....../////」


───皆川家到着。

「おっ...送ってくれてありがとうっ...////」

「ん?ああ、いいよいいよ。」

家の前に彼氏が来るってなんだか恥ずかしいなぁっ...///
数ヶ月前にも宮城君が来たけどあの時はなんだか....もう終わりかけって感じだったし。

「んじゃ、俺はここでー」

「あっ、うん、今日はありがとうっ!!」

「はいよ~」

といって、新井君は右手を振って帰っていった。
私はその背中が見えなくなるまでずっとみていた....。

───ガチャ。

「ふぅ......、ただいまぁ~....。」

「あらっ!!お帰りなさい~」

「たっ、ただいまっ....」

彼氏と別れてすぐに親を見るとなんだか気まずい....。

「遅かったわねぇ、もうパパも帰ってきてるわよ?」

「えぇっ!?パパもぉっ!?」

「おかえりなさい、亜美。」

リビングから出てきたパパ....。
私は顔を見ず、ただいまさえ言わずに部屋に猛ダッシュした。

「......どうしたんだ、亜美は。」

「年頃なのよっ、きっと♪」

「な、母さん、それはいったいどういう意味だっ!?」

「さぁ?うふふふっ♪」

ダッダッダッダッダッダッ…!!!
───ガチャ!!!!......バタンッ!!!!

「はぁ....はぁ....はぁ....。」

急ぎすぎて私は息切れしてしまっていた...。
家で息切れなんて遅刻しかけたとき以来だよっ....。

「はぁ....はぁ....はぁ.....。」

水が欲しいけど...下にいきにくなぁ....。

コンコン。

「うっひゃあっ!!!!!」

「なっ、何ビビってんの?」

「あっ...亜美香?」

部屋をノックしてきたのは妹の亜美香(あみか)

「入ってもいいでしょ~?」

「う、うん....。」

───ガチャ。

「どうしたのそんな息切れしちゃって...。」

「これは色々あったのよ....。」

「そ、そうなんだぁ....」

妹の亜美香は近所で美人と有名な妹。
一言で言えば自慢の妹なのだが....私は比べられて嫌だ。
しかも姉なのに妹より下って....恥ずかしすぎるでしょ...。

「何見てるの?」

「あんたって相変わらず足ほっそいわねー....。」

妹は私と違ってスタイルが抜群の妹なのだ。
私のスタイルといえば、平凡の一言でくくれる。
ったく、中3のくせにこんなの大人びやがって......。

「お姉ちゃんだって太ってるワケではないじゃん。
私とそんな変わってないし。」

妹はどうやら自分が桁外れの美人とは気づいていない。
そこもムカツク一つだ。

「ねえ亜美香、水取ってきてくれない?」

「え?自分でいきなよ....(汗)」

「お願い。」

「もぉ、しょうがないなぁ~....。」

亜美香はしぶしぶ取りに行ってくれた....。

ピルルルルルル.....♪

「ん?電話?」

誰だろ....新井君だったら嬉しいなっ♪

「............」

・・・・・・・・・・・!?

「おねーちゃーん、入れてきたよー....って.....」

ガシャンッ.....!!!!!

「ど、どうしたの...?お姉ちゃん....怖い顔して....スマホ落ちたけど...?」

「...................」

「電話鳴ったまんまだよ....?誰から───.....」

スマホの画面を見た瞬間、妹の体は凍りついた。

「っ..........!!お....、お姉ちゃん...コイツ.....」

画面には宮城君と載っていた。
静かな部屋にスマホの着信音が鳴り響き続いた...。

※実話ではありません。

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2013/04/28 18:46
続きめっちゃ気になります!



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