金狼の重圧 『エデン編』…4
- カテゴリ:自作小説
- 2013/04/27 16:12:42
ケンは金色のEMがウルフだと言う事が分かり満足したのか、それとも髪を切り終えた事に満足したのか、支払いへと向かう。
支払いを終え、美容室を出る。ユウジも見送りのために一緒に外へ出た。
ケンは最後に諭すように優しい声を絞り出す。
「ユウジ…今回の事はあくまでも偶然だ。俺は別にウルフを探していたわけじゃない。ただ今回のこの偶然はありがたい事だと思っている」
2人は美容室の前の道路の方を訳もなく見つめたままだった。
「俺はEM乗りでもなけりゃ、ウルフと因縁があるわけでも無い、ただのギャラリーだ。そんな俺でも、ウルフと言う存在は特別に感じている。実際レースをしてたおまえたちは俺たち以上に感じているはずだ…その憧れたウルフを、このまま独りぼっちにしていていいのか?その事で心を乱されたままでいいのか?」
ユウジは納得しているように頷いていたが、すぐに眉間に皺を溜めた。
「…それは…」
その強張った顔をほぐすように、優しくも強い口調でケンは言う。
「時が止まっている……おまえたちの心の時間が4年前のあの日から止まっている。俺には分かるんだよ、それが。ユウジ…もう時を進めてもいい時期なんじゃないのか?俺はもう一度おまえたちが楽しくEMに乗っている姿を見たいんだ。レースをしてくれなんて言わない…ただ、おまえたちの青春を後味の悪いものだと、このままずっと思っていて欲しくないんだよ」
時間が正午近くなり、今まで日陰だったところも明るく日が当たる。時間にして数分だったが、2人はもう何時間もそこで話しているようだった。
「ユウジ…おまえの手でウルフを探してくれ、今回の偶然はそう言うことなんだと思う」
「ウルフがそっとしておいて欲しと思っていたら?」
「いや、ウルフは見つけてくれるのを待っているような気がするんだよ」
目を瞑り下を向くユウジ。それを見たケンは言い過ぎてしまったのを感じたのか、その場の空気をかき消すが如く美容室の駐車スペースに停めてあった車に乗り込んだ。
エンジンをかけ、窓ガラスを開けた。
「分かったような事を言ってすまん…」
「ありがとう、ケン…」
「…またな」
「ああ」
ユウジは友情の有り難味を噛み締めていた。
そう、ケンの言う通りだ。自分たちの時間はあの日から止まってしまっている。その時間を進めるのは、ウルフが復活したかもしれない今なのだろう。
ある決意をし、ユウジは仕事へと戻って行った。
ユウジーーー!!!
さあ、これからどんな展開が待っているんでしょう。
あんな豪華な物もらってもいいんですか!?
もぉ、とっても嬉しかったです!
あたしは、あんなしけた物しかあげてないのに...
なんか、すみません...