Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


最後まで切れない赤い糸 #9

主な登場人物
・皆川亜美…すべて平凡な女の子。中学1年生の頃、猟牙と出会う。
・宮城猟牙…中学校の頃、亜美を引き寄せた男子。皆の人気者。
・高橋凪…スポーツ万能で、皆の人気者。一部の男子からはモテモテ。
・立花莉子…男子から人気のクラスのマドンナ。猟牙と仲がいい。
・新井真二…いきなり亜美に告白してきた男。人気のある男子。

第九章 『突然の呼び名』

「亜美っ」

あの時に呼んだ宮城君の声が忘れられない。
しかもいきなり....「亜美」だなんて呼ぶんだもん。
この間までは「皆川」だったのに....なんでいきなり....?

謎が深まるばかりだった...。

「はぁ.....。」

「どーしたの?深いため息ついちゃってー...。」

「ん?ああ、ごめんごめん、なんでもない。」

「隠さないでよ。」

凪は少し怒った声で言った。
そんな声を無視できるワケがない。

「わ、私...その....新井君と付き合うことになった...。」

「へっ.....?」

それを聞いたときの凪の顔はこっちまでビックリする顔だった...。
悲しみ....?寂しさ...?いや、そんなものではなく、まさに
絶望の一言でくくってもいいほどの絶望した顔だった...。

「な、凪....?」

凪は数秒とまって、ハッと気づいた顔をした。

「あっ、あぁ....、ごめん....、ビックリしてさ...。」

「そ、そうだよね...ビックリするよね...。」

「だってさぁ...、あんた前泣いてたじゃん、宮城君のためにっ....!!
なのになんでいきなり新井君と付き合ってるのっ....!?」

凪の声はまさに怒鳴り声だった...。

「な...、凪...?なんか様子おかしいよ....?」

と、言ったら凪はまたハッとしたような顔をして、目をそらした。

「凪?どうしたの?」

「別になんでもない....。」

「凪....?」

凪の様子はいつもより絶対におかしい。
いつも冷静な凪の怒鳴り声....初めて聞いた...。
しかもこんな意外なことで怒鳴るなんて....ビックリだ。

ピルルルル....♪

「あっ、電話.....」

鳴ったのは私の携帯電話だった。

「ごめん、ちょっと出てくる。」

といって、私は凪の部屋から出た。

「.....えっ!?」

電話の相手でまた驚かされた....相手は宮城君だったのだ。

「っ....も...、もしもし....?」

『おっ、亜美~』

───ドキンッ!!!

また...まただ....あの頃に感じたトキメキ....。

「なっ、何っ....?」

『いや、何してるのかなぁ~って思ってさっ』

「.....そ、それだけ?」

『ああ、それだけだよっ。』

.....どうして?どうしてあなたはあの頃と変わらない声で....
あの頃と変わらない内容で私と話しているの....?
まるであの頃に戻ったみたい....。

でも.........ダメなんだよ.........。

「そっ...それだけで電話かけてこないでっ....!!!!」

───プツッ。
ツー、ツー、ツー、ツー....。

私は一方的に切った...。
最悪なことをしたのはわかってる。
でも....こうでもしなきゃ私の想いがつのるだけだよ....。

「っ........。」

涙が出そうになる....バカみたいに....。

ピロリロリンッ♪

次にきたのはメールだった....。

「..........?」

内容を開いてみると....

さっきはごめん、まさかそんな怒るなんて....。
俺も無神経だったみたいだ、ごめんな。
でも俺....また前みたいに戻りたいんだ....。

「えっ......?」

そして、メールの文章の下へいった....

カチカチカチ.....。

前みたいに、仲良かった友達にさ。

「っ.......!!!!!」

───ガシャンッ!!!!!

私はつい携帯を下に落としてしまった....。
期待なんかしちゃいけない、わかっていた。
でも....結果がこれだよ。

「ふっ....ふぇっ......」

こらえた涙が全部出てきちゃったよ....。
それはまるで必死に押さえ込んでいたボトルの栓を抜いたように....。

「うっ....ふっ....」

凪にバレないように、声を押し殺して泣いた...。
声を枯らして泣きたかった....泣きたかったんだよ....。

宮城君はいくら私を追い詰めれば気が済むの...........?


※実話ではありません(続く)




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