最後まで切れない赤い糸 #8
- カテゴリ:自作小説
- 2013/04/26 20:53:00
主な登場人物
・皆川亜美…すべて平凡な女の子。中学1年生の頃、猟牙と出会う。
・宮城猟牙…中学校の頃、亜美を引き寄せた男子。皆の人気者。
・高橋凪…スポーツ万能で、皆の人気者。一部の男子からはモテモテ。
・立花莉子…男子から人気のクラスのマドンナ。猟牙と仲がいい。
・新井真二…いきなり亜美に告白してきた男。人気のある男子。
第八章 『断ち切れない未練』
きっと立花さんは....前新井君と付き合ってたんだろう....。
予想だが、今の様子を見るとつじつまが合う。
「うっ......。」
立花さんは泣き崩れた...。
なんだかすごくこの時....共感できた....。
でも今「その気持ち、わかります」なんて言えない...いや、言えるわけない。
「た、立花さん...その...」
かといって何を言えばいいかわからない私...。
こんな時...宮城君だったらなんて声かけてくれるのかな...?
「大丈夫だーって!!」
といって、本当に大丈夫と思えるような無邪気な笑顔で言うんだろうな...。
でも....私は....私は.....
「立花さん....宮城君の所...行こう?」
という言葉しか頭に浮かばなかった....。
なんでか自分でもわからない...自然と出た言葉だ。
だはその言葉を立花さんに浴びせると、立花さんは
涙が少し引っ込み、少し顔を和らげて
「うん....」
と、うなずいたのだった...。
やっぱり立花さんは宮城君の事も好きなんだ...。
私は立花さんを、宮城君のところまで連れて行った。
ちょうど人気のない廊下の窓際で風にあたっていた。
「猟牙っ.....」
「えっ、莉子っ....!?」
宮城君は私に見向きもせず、まっさきに立花さんに駆け寄った...。
....まあ、当たり前だし、期待なんて...してなかったよ。
今の私が君に言える言葉....
君が私から聞く言葉は....
「さようなら。」
「えっ.....?」
今の君に伝えなきゃいけない言葉は...これだけだから。
「好き」とか「忘れられない」とかじゃなくて...。
君が聞きたかった言葉はこれでしょう....?
私は二人に背中を向け、人気のない廊下を歩いていった。
後ろ髪がひっぱられる気持ちじゃなかったというと嘘になる....。
でもその時....後ろから昔と同じ声が聞こえた....
「亜美っ」
──ドクンッ!!!!
大きく脈がなった。
ゆっくり後ろに振り向くと、あの頃とまったく変わらない笑顔で
「ありがとう!!」
と、私に微笑んで見せた....。
なんであの頃と変わらない笑顔でそんな事言うの...?
なんでまだ私にそんな顔を見せるの...?
早く忘れさせてよ........。
しかも君がお礼を言っている理由は...今の君の彼女にあるんでしょ?
君が私に笑顔を見せてる理由は今の彼女にあるんでしょ...?
なんだか複雑だよ。
でも...私はもうこうしかいえないんだ。
「どういたしましてっ!!」
私も昔と変わらない笑顔で言った。
今の君に向ける言葉、表情はこれだから。
「じゃあねっ」
こらえる涙と共に、私は新井君のいる屋上に向かった。
あの二人に背を向けて.....
───ガチャッ。
屋上のドアを開けると、そこには1人でたたずむ新井君の姿...
「新井君っ....」
新井君の顔はかすかだが、悲しそうにしていた。
そして、私のほうを見た瞬間、表情を変えて
「あっ、亜美ちゃん....り、莉子どうだった...?」
さっきはあんなに冷たい態度をとっていたのに.....
なんだかんだ言ってやっぱり気になるみたいだ。
どうしよう...?気になる理由...聞いたほうがいいのかな...?
「気にならないの?なんであんなんだったか...」
「えっ.....?」
逆に聞いてくれた....。
「き、気になる....。」
私は少し顔を赤くしながら言った。
すると、新井君は少し寂しげな表情を見せて
「元カノだよ。」
「えっ..............?も、元カノ....?」
「うん、そう、元カノ。」
だからさっきあんな事言ってたのか....
「なんであんな早く人を忘れることができるの!?」
「っ......」
あの立花さんの言葉が頭の中で何度もリピートする。
「別にどうでもいいって感じだよね。」
「えっ、いっ、いや....立花さんにはもう....カレシ...いるし...。」
「それが亜美ちゃんの元カレでしょ?」
「うっ....そ、そうだけど...。」
すると、新井君はニコッと笑って
「不思議な縁を感じるね。」
と、微笑んだ。
「う、うん...そう....だね....。」
その笑顔を見て、思ったことがある。
この人とならやっていける....、と。
※実話ではありません(続く)