最後まで切れない赤い糸 #7
- カテゴリ:自作小説
- 2013/04/26 17:12:59
主な登場人物
・皆川亜美…すべて平凡な女の子。中学1年生の頃、猟牙と出会う。
・宮城猟牙…中学校の頃、亜美を引き寄せた男子。皆の人気者。
・高橋凪…スポーツ万能で、皆の人気者。一部の男子からはモテモテ。
・立花莉子…男子から人気のクラスのマドンナ。猟牙と仲がいい。
・新井真二…いきなり亜美に告白してきた男。人気のある男子。
第七章 『引き止める存在と、引っ張る存在』
「っ.......」
さっきのあの笑顔がまだ心に残ったままだった...。
何時間終えても、終えても、終えても...私の心には宮城君がいる。
「忘れるって...決めたんだもん...。」
そう一人ぼっちの寂しい廊下で呟いた...。
もちろん、誰にも聞かれていないと思っていた。
.....だが
「誰を忘れるの?」
「へっ...?」
後ろから現れたのは、新井君だった。
「あっ、新井君っ....。」
私はつい目をそらしてしまった...。
今の話聞かれてたんならどう顔をあげればいいか.....
「猟牙のこと?」
「えっ.........?」
新井君はいつもと何一つ変わらない声で言った....
「猟牙のこと?」.....と。
なんで下の名前で読んでるの....?
いや、それよりなんで...それを知っているの...?
「なんで......」
「俺と猟牙って幼馴染なんだよねっ」
「えっ?」
ビックリした....。
新井君と宮城君は繋がっていたんだ....。
私はまた似たような人を....好きになってしまったの...?
だったら結末は同じ。
「..........新井君も...莉子ちゃんのこと...好きなんでしょ?」
「えっ?」
新井君は驚いた表情を見せた。
もし私のことが好きだというのが本当なら...傷つけてしまう。
でも...それでも....やっぱり信じられない...こんな人が私を....
「大事な幼馴染が...自分と同じ人を好きになったから....譲ってあげたんでしょ?
そして、莉子ちゃんを忘れるために....私と付き合った。....ち、違う?」
そう尋ねると、新井君はいきなり私を抱きしめた。
「え....、あ....あらいく....」
「そんなワケないだろ.....?」
「っ........!!」
新井君の声はさっきと違って少し鼻声になっていた。
きっと私は今の言葉で...傷つけてしまったんだ...。
新井君の抱きしめる力は強くなっていくばかり...........
「ぃっ....痛いっ....」
「あっ、ごめん」
新井君はハッと何かを気づいたかのように、私の体を放した。
そして、お互い顔を見れかった...。
私はただただ
「ご、ごめんなさい....。」
と、つぶやくしかできなかった。
「う、ううん、俺こそ......」
新井君もきっと目をそらして顔を赤くしてたんだろう....
私がそうだから。
「新井君って....本当に私のこと想ってくれてるんだね。」
私は少し微笑めた....あの宮城君の言葉を聞いてからできなかったことが、
新井君のおかげでできたのだ。
「あ、当たり前だろ...!?おっ、俺はっ.....」
何かを言いかけて、止まった....。
「新井君....?」
新井君の顔と体は何かにしっかりと固定されたかのように固まっていた...。
新井君の視線の先を見るとそこに立っていたのは....
「二人とも何してるの?」
立花さんだった....。
立花さんは絶望したかのように、ボーッとした顔で尋ねた。
「ねえ、真二....何....してるの....?」
そして、立花さんの大きな瞳は次第に涙がにじんでいた。
「!?」
ビックリした....そりゃそうだ。
だって立花さんは宮城君と付き合っているから、
新井君がどうなったってどうでもいい話のはずなのだ。
「莉子....」
だが....二人の雰囲気はなんだか妙だった....。
鈍い私でさえ、わかるほど妙な雰囲気だ。
「ど....どういう事...?二人付き合ってる...の...?」
立花さんは体を小刻みに震えさせながら言った。
だが、新井君はそんなのおかまいなしで、
「ああ、そうだ。俺が告白した。」
と、言った....。
「っ..........!!」
それを聞いた立花さんは両手で口を押さえて走っていった....。
「たっ、立花さんっ....!!!」
私は状況がつかめないまま、必死に追いかけていった...。
やがて、立花さんがたどり着いたのは屋上だった。
立花さんは、屋上のど真ん中に立っていた...。
「立花さん....」
私は少し気まずそうに声をかけた。
すると、立花さんの顔は涙でクシャクシャになっていた。
「うっ.....なんっ...でっ...?なんでそんなにっ....早いの...?」
「えっ.........?」
そう立花さんは意味深な言葉を発した。
そして、私の服の袖をつかみながら
「なんで人を忘れるのがそんなに早くできるのよっ....!?」
と、大きな声で叫んだ....。
「!?」
この言葉の意味はなんだか少し理解できたような気がした...。
きっと立花さんは.....立花さんは....
※実話ではありません。(続く)
続き気になります!