最後まで切れない赤い糸 #6
- カテゴリ:自作小説
- 2013/04/25 18:57:17
主な登場人物
・皆川亜美…すべて平凡な女の子。中学1年生の頃、猟牙と出会う。
・宮城猟牙…中学校の頃、亜美を引き寄せた男子。皆の人気者。
・高橋凪…スポーツ万能で、皆の人気者。一部の男子からはモテモテ。
・立花莉子…男子から人気のクラスのマドンナ。猟牙と仲がいい。
・新井真二…いきなり亜美に告白してきた男。人気のある男子。
第六章 『第二の赤い糸』
「えっ...すっ...好きって....」
私は戸惑った...。
あまりしゃべったことのない人に告白されたから...
いや、その前にこんな人気な人に告白されるなんて...
「ごめん...いきなりすぎたよね。」
新井君は顔を赤くして、頭をかく。
「いっ、いえっ!!あのっ、そのっ.....
たっ、ただっ...なんで私なのかなって....」
すると、新井君はそっと微笑んで
「君だからだよ。」
と、優しく何かを包むかのようにいった...。
そう....私はこの言葉に宮城君と別れた傷が優しく包まれたんだ...。
「っ......」
ふいに涙がこみ上げる...。
「えっ、あっ、ごっ、ごめんっ!!!」
あせって駆け寄ってくれた新井君....。
そして、そっと肩に触れた大きな手.....。
私はこの手に...この人に...甘えてもいいですか....??
「っ.........」
私はギュッっと、新井君の袖をつかんで
「よっ、よろしくお願いします...////」
と、少し鼻声で言った。
すると新井君はさっきより少し無邪気な笑顔を見せて
「うんっ...よろしくっ....」
と、言った。
そして、今日私達は結ばれた...。
よく相手のことを知らないけど...この人なら....
きっと忘れさせてくれるから───....。
「じゃあ帰ろう?教室に。」
「はっ、はいっ。」
「ハハッ、なんで敬語なのー?」
「あっ、ごっ、ごめん....」
なんだかぎこちない感じだけど....
この人の隣で歩いてると、安心できる...。
もしかしたらこれが本当に恋ってことなのかもしれない。
「どうしたの?」
「ううん、なんでもないよっ。
早く教室戻ろう!!」
「う、うん。」
こうして、私達は教室に戻った....。
────ガラッ。
ドアを開けると、いつも通りのあの光景が目に飛びつく...。
立花さんと、宮城君が仲よさそうに笑い合っている光景......
そして、教室に響く笑い声。
───ズキンッ!!!
「っ........。」
やっぱりまだ心が痛む....。
もう忘れるって決めたのに....。
「あっ....」
「えっ.....??」
ドアの前で立ち止まっていると、立花さんと目が合った...。
立花さんはニコニコしながら、私に近づいてきて....
「もうチャイム鳴っちゃうよ?早く座って?」
と、言ってきた。
「あ、うん、ごめん。」
私は黙って席につきに行った。
「じゃあね、猟牙~」
───ドクンッ!!!!
「っ.........!」
つい立花さんのほうを向いてしまった...。
「猟牙」.....私だって呼んだことのない呼び方だった...。
やっぱり二人が付き合ってるって...本当だったんだ....。
「..............。」
確信してたはずなのに...すごく心が痛い。
バカみたい、もう私には...宮城君とは別の人がいるのに...。
「皆川」
ビクッ......!!!
「皆川」という言葉につい肩をビクつかせてしまった...。
しかも相手が....宮城君だから....。
「な、なんでしょうか.....?」
私は目線をそらしながら、返答した。
すると、宮城君はいつも通りの声で
「俺、莉子と付き合うことになったんだ。」
と、言った....。
「は.....?」
つい「は?」という声が出てしまった。
なんでわざわざ元カノにそんな事伝えるの....?
そんな事すでに分かってるけど...?
それでさっきさんざん泣きはらしたんですけど.....?
しかも「莉子」ってなに.....
もう彼女じゃないから「亜美」って呼びたくないわけ...?
バカバカしい....。
「そ、そんな事言われなくたって...知ってる...し....そっ....それに....」
ダメ.....これ以上言ったら...自分が....
「宮城君なんかもう好きじゃないから。」
惨めになるだけなのに....。
「そうか、知ってたんだ。もう噂広まってんのか。」
と、普通に返答した。
いつも通り、あの頃と何一つ変わらない声のトーンで....
そして、ふいに出た言葉が
「.....お幸せに。」
だった....思ってもないのに....。
え...?思ってない...?
なんで...?どうして....?
もう忘れた人なんだから思っても不思議じゃないのに...。
いや、もうだって私には相手がいる....新しい赤い糸の相手がいる...。
そんな自問自答してる自分がいた。
でも、宮城君は何も考えず、無邪気に笑って
「ああ、幸せになるよ」
と、言った。
あの頃とまったく変わらない無邪気な笑顔で....。
もうやめて....これ以上私を引き止めないで....。
もう....完全に忘れさせてよ....。
※実話ではありません(続く)
続き気になります!