ほぼほぼ治りましたが，先週からひどい風邪を引いていました。

ひどい風邪を引くと，昔の苦い出来事を思い出します。

あ，今回の話は，えーと，その・・・，ハートウォーミング路線ではないので，
読んで「そういう分野は嫌い」という方は，途中でも直ちに読むのをやめてくださいね。


まだ２１歳か２２歳で，かなり痩せていて，
髪型も，美容院でジャニーズのアイドルのようにしてくれなどと平気で言っていた頃（今思うと非常に恥ずかしいです。），
新橋辺りでしこたま飲んで，帰りの電車で寝過ごして，終点で降りました。

家までタクシーで帰れるほどお金を持っていなくて，
カプセルホテルでもないかなと駅前通りを歩いていくと，
交差点で３０代半ばぐらいのそこそこ美人から，
「お兄さん。遊んで行かない？」と誘われました。
「あははは。お金無いんですよ～」と断ってホテルを探しましたが，
どこも高くて，安いホテルが見付かりません。

冬で寒かったのですが，「どこかのベンチで朝を待つ以外ないか～」と，
駅の方へ引き返していくと，さっきの交差点でまたさっきの女性が近付いてきました。

「あははは。お金無いってば」
「ううん。終電行っちゃって，もう誰も来ないから，今日は諦めたの。
仕事抜きで，お金はいいから一緒に泊まりに行かない？
あ，でも，ホテル代だけは持ってね」
「あいや～，そのホテル代がね～，５千円しか持ってなくて」
「顔が利くホテルがあるから，５千円にまけてもらうから大丈夫よ」
「ホント？！　でも，それ以上は，払いたくてもホントに払えないですよ」
「ホントにそれだけでいいわよ。今日はもう仕事でっていうつもりないから」

付き合っている彼女がいるわけでもないし，
寒い思いしないで寝られるなら，ま，いっかな・・・
と思いながらホテルに付いて行き，部屋に入ると，
いきなり激しくキスされました。

んん？　なんか・・・，んん？
小さくて可憐で柔らかい唇と，花びらのように頼りない舌・・・じゃないぞ。
今までキスした女性と違うなあ。
なんか，身が詰まってるような弾力と，分厚さと，大きさ。
なんか・・・，さつま揚げみたいだなあ。

思わず顔を離して女性の顔を見直すと，女性は
「最初から分かっていたんでしょ。はぁ，はぁ」
と言って再びキスし，私の手を自分の股間に導きました。
そこには，私のモノなんかよりよっぽど御立派なモノがもっさり・・・。

あああああ！　ややややや！　ちちちちち！　違うんです！
最初から分かってなんかいませんでした。
あなたが結構綺麗だったので，本当に女性だと思ったんです。
すすすす，すいません。　はははは，放してください。
やややや，やめてください。　なななな，何するんですか。
ちょちょちょちょ，脱がすのうまいですね。
ああああ，あなた，ええええ，マジですか。
女装していたのに，おおおお男役やるんですか？！
そそそそ，そこは無理です。　やややや，ホント無理です。
だだだだ，駄目ですってば。　痛いたいたいたいたい！
ほほほほ，ホント無理ですってば！

それから，一所懸命，一所懸命，誠心誠意，誠心誠意，謝りました。
『女性』は，怒ることなく，「朝までゆっくり寝てらっしゃい」と言って去っていきました。
怖かったよう。怖かったよう。

でも，その『女性』，かなり悪いタイプの風邪を引いていたようで，
私はそれから１週間，初めて経験するようなひどい症状の風邪に苦しみました。

ひどい風邪を引くたびに，さつま揚げの感触を思い出すんですよねえ・・・。


この話をカミサンにしたら，
「ああ！　だからお父さんは，テレビにニューハーフが出ると
『紛らわしいんだよ！　ハッキリしろよ！』って怒るんだね！　納得！」
と言っていました。