Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


最後まで切れない赤い糸 #5

主な登場人物
・皆川亜美…すべて平凡な女の子。中学1年生の頃、猟牙と出会う。
・宮城猟牙…中学校の頃、亜美を引き寄せた男子。皆の人気者。
・高橋凪…スポーツ万能で、皆の人気者。一部の男子からはモテモテ。
・立花莉子…男子から人気のクラスのマドンナ。猟牙と仲がいい。

第五章 『遠のく存在』

立花莉子と、宮城猟牙が付き合ってる....??
そんなワケないでしょ、だって宮城君は今日転入してきたばかりで....
今日再会したばっかりなのになんでっ.....

「──みっ...亜美っ...!?」

「ハッ.....」

私はいつの間にか凪の声さえ聞こえていないくらい考えていた...。

「ご、ごめん。」

「ううん、それより、大丈夫??
もう...出て来れそう...??」

「うん」

私はこもっていたトイレの個室から出た。
あけた瞬間、初めに目にしたのは凪の不安げな表情。
そして

「大丈夫...??」

と、尋ねる優しい声。
私は大きくうなずきながら

「うん、大丈夫だよ。」

と、返答した。
凪はホッとした表情で

「よかったっ。」

と、笑った。

「じゃあ、そろそろ戻ろうか。」

「うん、戻ろう。」

私達は教室に戻っていった。
ドアを開けるのに勇気がすごくいる....。
こんなの初めてだ、ドアを開けるのに勇気がいるなんて...。

「っ........。」

私は目を力強くつぶって、ドアを開けた。

────ガラッ。

そこに広がっていた世界はやっぱり前と同じ...。
現実はそう甘くはなかった。

「キャハハハッ!!」

立花さんの高くて可愛らしい笑い声は教室中に舞い、
そして、教室中を魅了する...,。

あの噂を聞いて二人を改めてみると...やっぱり前とは違う
雰囲気が二人を包んでいるように見えた。

....やっぱり二人は付き合ってるんだなぁ。

「凪、早く座ろう。」

「う、うん..。」

凪は少し気まずそうに席に戻っていった。
私も...自分の席に戻りたくなんかない。
だって二人が親しそうに話している場所は私の席の隣だから。

「はぁ.....。」

こんな事ではいけない、しっかり授業に集中しなきゃ。
授業にしっかり集中しとけば、きっといつか宮城君の事も...忘れる。

(よしっ)

私は心の中でそうつぶやき、勉強道具を出した、だが....

「んっ....??」

鞄を探っても探っても見つからない国語セット達....。

「うっ....嘘.....」

そして、思い出した....昨日は時間割をせず寝てしまったことを....
昨日はつかれきってたからすぐにバタリと倒れこんだのだった...。

(どうしよっ....。)

そう悩んでいると、机の上に何か置かれていた。

「..........え」

そう....国語の教科書と、ノートの1ページ分を切り取った紙だった。
ノートの破り目はすごく荒っぽくて、どう考えても女子がやったとは考えれない...
もしかしてこれって....これって....

────ガラッ。

「はぁ~いっ、じゃあ授業始めるわよ~!!」

国語の先生が入ってきた。

(授業が終わってからお礼言おうっと...。)

おかしいけど、お礼を言うのがすごく楽しみだった...。
こんな事してくれるなんて...まだ期待してもいいのかな....??

「はーい、じゃあ忘れ物検査するよー。
教科書、ノート等忘れた人は手を挙げてくださ~い」

貸してくれたから、忘れ物にはならないっと♪
ありがとう、宮城君っ....。

「はい、俺忘れましたぁ~。」

「あっ、宮城君!!まあ、今日転入してきたばかりでしょうがないけど...」

あっ、そうか...私に貸してるから宮城君が忘れ物になるんだっ...
じゃあすぐに返さなきゃ.....

「違うんです、先生。」

「え??何が違うのよ。」

「教科書じゃなくって、ノート忘れたんですよ。」

・・・・・・・・・・え?

「.......??」

思わず私は右を向いてしまった。
宮城君の机の上を見るとそこにはしっかり教科書が置かれていた...。
名前の欄にも[ 宮城 猟牙 ]と、しっかり書かれている。

「っ.......!?」

これはいったいどういう事なの....??
このノートの破り目を見ると、絶対凪じゃないしっ....。
しかもあの短時間で私に貸せたんだよ...?? 隣の宮城君以外誰がっ...

「はい、先生....」

教室中に響き渡った低いカッコイイ声....男子だ。
ゆっくり振り返ると

「えぇ??新井君、忘れたの~??」

「はい、ちょっとドジっちゃいました。」

「もぉ、しっかりしなさいねぇ~」

「「ハハハハハハ」」

・・・・・・これって・・・どういうこと・・・?
あのモテ男の新井君が私に教科書を貸したの...??
慌ててノートの一ページを破って渡したのっ...??
どういうこと.......??

かしてもらった教科書の名前の欄を見るとそこには
[ 新井 真二 ]と、書かれていた。

「ぇっ........!?」

新井君が貸してくれたと確信を持った私は、
思わず口から驚きの言葉がこぼれた。

振り返って新井君の顔を見ても、新井君は涼しい顔をしている。
まったく何事もなかったかのように、本当に冷静な顔だ。

「..............っ。」

そして、1時間が経過し、授業は終わった....。
私は教科書を持ってすぐに教室から出て行った新井君を追いかけた。

「新井君っ....!!!」

大きな声で呼びかけた。

「んっ??」

「あっ、新井君っ...あの、これ....」

私は教科書を差し出した。

「あぁ、わざわざありがとう。」

「い、いえ....こちらこそ、ありがとう...。」

「どういたしまして、じゃあね。」

新井君は私に背を向けた。

「まっ、待って!!!!」

なぜか呼び止めてしまった私....。

「.........?」

当たり前だが、振り向いた新井君....。
私は今一番気になってることを問うことにした。

「....なんで貸してくれたの??」

新井君は少し止まってから、答えた。

「君が困っていたから。」

「えっ.......」

新井君は透き通った瞳で私を見つめる...。

「なっ、なんで私が困ってたら助けるのっ!?
私なんかたすけたって意味ないじゃないっ!!!!」

「そんなことないよ。」

新井君はそっと微笑んだ。
そして、ゆっくりと口を開き........

「だって僕は君の事が好きだから。」

と、つぶやいた。

「えっ?」

夕焼けにおおわれた人気のない廊下で私は告白された...。
新井真二という...第二の赤い糸の人に。


※実話ではありません(続く)


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2013/04/23 23:05
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお


なんかカッコイイ告白・・・!!

続き気になります



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