true love #64
- カテゴリ:自作小説
- 2013/04/16 18:15:29
主な登場人物
・森咲莉華…美人で有名なカリスマモデル。真也と付き合う。
・河野真也…学校では王子と呼ばれるほどのイケメン。莉華の彼氏。
・桃宮菜々美…可愛らしい女の子で莉華の親友。スポーツ万能でバッサリ言う。
・村田敦…菜々美と莉華の幼馴染。イケメン。莉華が好き。
・高田翼…莉華達の小学校の頃の同級生。イケメンで第三の王子。莉華の事が好き。
・高峰美穂…翼の彼女。美人でキャラをつくっていた。顔は可愛らしい。
第六十四章 『治る傷と治らない傷。』
真也に別れを告げた後....数日たった。
私はつらくて、しんどくて、なんか熱も出て....
私はその数日間、学校にも行かず休んでいた。
学校には事情を細かくママが説明してくれたそうだ。
にしても..今日も体がだるい。
スズメが「朝だよ、おきて」というかのように「チュンチュン」と鳴く...。
だが、私はそんなの見向きもせず、布団にうずくまった。
マネージャーから電話は5件ほど着てたが、それも無視している状態。
私の代わりなんていっぱいいるんだし...いいよね。
そして、私は今日少し息を吸って声を発してみた。
「.......あ」
私はビックリした。
「こっ....声が出たっ....!?」
私の声はよみがえり、再び声を取り戻した。
....だが大きな大きな心の傷は...まだ治っていない...。
いや、永遠に治ることはないだろう。
「声....戻ったんだし...いいや。」
一人寂しい部屋でポツリと呟いた....。
そして、次の瞬間.....
PLLLL♪
スマホが鳴り響いた。
私はゆっくり手を伸ばし、とった。
「はい、もしもし....」
『あんたなにやってるの!?』
マネージャーからの電話だった。
この声の様子だと、そうとうカンカンの様子。
「すみません、今日のスケジュール教えてください。
今日から頑張って働きますからっ....。」
『ふざけないでよ。アナタ...自分の存在わかってるの??
そんな「今日から行きますから」で済ませると思わないで!!!』
久々に聞いたマネージャーの怒鳴り声...。
いや、ここまでの怒鳴り声は初めてだ。
「いや....私の代わりなんて何人でもいるかなって...。」
私は些細な言い訳をした。
『.....莉華ちゃん、あなたの代わりなんていないの。
わからない??あなたは今のモデル界、芸能界にいる存在なの!!
立場をわきまえなさい』
「はい....すみません...。」
『反省したなら結構。
じゃあ今日のスケジュールは.....』
マネージャーの声はいつも通りになり、ペラペラとスケジュールをよんでいく...。
耳と頭が追いつかないほど、早く、多くだ。
「あっ、あのっ、マネージャー.....」
『───....で、以上よ!! じゃあ早く事務所来てね~』
「あ、あの....」
プツッ、ツー、ツー、ツー。
切れた....すごく強引に切れた....。
私は重い体をあげて、事務所に向かった。
フラフラッ....と向かわせた。
そして、事務所の楽屋についた。
「ああ、まだ時間あるから待ってて。」
と、言い残した後、マネージャーは出て行った。
私は楽屋で一人、雑誌をペラペラと読んでいた。
雑誌に写ってるのは私と、次世代のモデルたち.....。
いつ追い越されるかわからないこの世界で私はいつまでやってけるんだろう...。
プツッ……。
「へっ....!?」
色々考えてるうちにいきなり電気が消えた。
ビックリした....停電か....??
外の鍵を開けようとするが、ここはなぜか自動ロック製のため、
ロックされたままあかなくなってしまった。
「っ!?」
怖くなった。電話通じる...??
私はふいにスマホに手を伸ばした。
そして、まっさきに開けたページが....
「っ........」
真也のいる「さ行」のページだった.....。
「バカらし.....。」
また一人の真っ暗な部屋でポツリと呟いた。
アホくさい...自分ってどんだけバカなんだろう....。
自分から別れようって言ったのに....??
自分から離れたいと願ったのに...??
なんでこんなに未練があるのっ.....。
「うっ.....」
ふいに涙が出そうになった。
私は必死にこらえる。本当に必死に....。
ここで泣いたら卑怯だから...すごく卑怯だから....。
パッ……。
「ほぇっ.....??」
私がうずくまった瞬間....電気がついた。
そして大勢の足音....
パタパタパタパタ!!!!!!!!
「ドッキリ大成功~!!!!」
スタッフたちが大きな「ドッキリ大成功」と書かれた看板を抱えて
私を見て笑っている....。
「.......え??」
まだハッキリ状況が理解できない...。
ドッキリ....??こんな時に私はドッキリに...かからされた...??
「莉華ちゃん??大丈夫...??」
「大丈夫なわけないじゃないですか。」
ふいに出た言葉。
慌てて口を押さえるが、もう遅い。
「えっ.....」
スタッフ達は目を大きくさせて驚いている。
もちろん、そこに付き添ってきたマネージャーもだ。
「莉華??どうしたの??」
マネージャーが不安気な顔をして尋ねてきた。
「別に...なんでもないです...。
すみません、今日は帰らせて...。」
と、呟いた後、私はかばんを抱えて帰っていった。
バカバカしいドッキリにかかった私...バカな私...。
でもそんなバカバカしいドッキリに思い出さされたことが一つ。
やっぱり私は真也が好きだ。真也以外.....いない。
今更こんな事に気づくなんて....。
もう声なんか捨てて、真也を信じ続ければよかった....。
今更後悔しても.....遅い....けどね....。
ポツッ…ポツッ…ザァァァァァァァアッ!!!!!!!
また大雨だ....最近よく降るなぁ....。
私はクイッと首を上に向ける....そして、顔に雨をうたせる....。
そうやって流してくれればいい....涙を....
この惨めで卑怯な涙を流してください...お願い...。
「うっ.....くぅっ.....」
唇をかみ締めて泣いたってもう真也は────......
サッ……。
「.......??」
急に雨がかからなくなった。
目をそっと開けると私の上にあったのはビニール傘...。
そして......
「莉華....」
聞き覚えのある温かい声.....すべてを包んでくれる声....。
私はもう誰かわかった。だが、うつむいて私は振り返らないようにした...。
そして、ポツリと呟いた。
「さようなら。」
その一言はまるで、雨の一粒のような声の大きさだった。
だが、私にとってはこの言葉は大きな針で刺されたように痛い言葉だ。
「っ.........」
私の体はつい震えてしまう。
寒さもあるが、それよりも、悲しみのほうで....。
涙が出て、悲しくて悲しくてたまらない
悲しさが体に出るなんて....なんだか情けない。
すると、次の瞬間───.....
「っ........!」
※実話ではありません。
次で最終回ですよね...。
緊張します...。
どうか、皆が幸せになれますように...。