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■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義(25)

■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|三 (6)


さて以上の如きルソー。ワーヅワース等が自然主義は、同時にまたロマンチシズムである。ルソーがフランス革命乃至ユーゴー等のロマンチシズムに根本の刺戟を與へたことは言ふまでも無く、今日フランスのロマンチシズムを説くものは必ず其の淵源を此の人に置く。ワーヅワースの場合また之れと同じく、イギリスの十九世紀文學はロマンチシズムで幕を開らく、而して其の第一登場者はワーヅワースに外ならぬ。ルソー。ワーヅワースの自然主義はロマンチシズムの根本である。ロマンチシズムの中には初めから自然主義を含蓄してゐた。但し之れはロマンチシズムの主要なる一面に過ぎずして、ロマンチシズムそのものには他の要素も結合してゐる。



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*註1:説く
「説」の旧字体。「言」+「兌」。

*註2:十九世紀文學
「紀」の俗字体(か?)。旁の「己」が「已」。
「文」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/bun_aya.jpg

*註3:登場者
「者」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/mono.jpg

*註4:ルソー。ワーヅワースの自然主義
原本では「ルソー、ワーヅワース」となっていたが、抱月の表記原則では人名並記の場合、読点ではなく句点を用いているので、その原則に沿って改めた。

*註5:根本である。ロマンチシズムの中には
原本では「根本であるロマンチシズムの中には」とあるが、句点なしでは意味が通じないので改めた。

*註6:主要・要素
「要」の俗字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/you.jpg

*註7:過ぎず
「過」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。

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■抱月『近代文藝之研究』を註記なしに通しで読みたいかたは、こちらをどうぞ。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/kbk_tobira.html
■このテキストの原本は国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」収録の「近代文芸之研究 / 島村抱月(滝太郎)著 早稲田大学出版部, 明42.6」の画像データに依っています。
http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/871630/1
(2015/01/29/初校)




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