主な登場人物
・森咲莉華…美人で有名なカリスマモデル。真也と付き合う。
・河野真也…学校では王子と呼ばれるほどのイケメン。莉華の彼氏。
・桃宮菜々美…可愛らしい女の子で莉華の親友。スポーツ万能でバッサリ言う。
・村田敦…菜々美と莉華の幼馴染。イケメン。莉華が好き。
・高田翼…莉華達の小学校の頃の同級生。イケメンで第三の王子。莉華の事が好き。
・高峰美穂…翼の彼女。美人でキャラをつくっていた。顔は可愛らしい。

第五十一章　『想ってはいけない相手』

────ガラッ。

「真也っ....。」

真也はチャイムがなってすぐ戻ってきた。

「おう、俺がいなくてたいくつしてたか??」

ニヤッと笑いながら問いかける...。

「べっ...べつにぃ??
真也がいなくても....」

「えー、何ー、目泳いでるけどー??」

ニヤニヤしながらちゃかしてくる....。

「もぉー!!!」

でもこんなやりとりも実は幸せ...。

菜々美としゃべてってもいつも
敦のほうみてすごく幸せそうだし...。

「はいはい、皆さん
ちゃんと席についてくださ～い」

「「「はぁ～い」」」

でも真也と今日も楽しく話せたから
今日も一日すごく幸せだっ...。


───１時間目終了。

───コンコン。

（んっ....??）

教室のドアのノックが聞こえた...。
ドアのほうを向くと

「あれっ...美穂....」

美穂が少し恥ずかしそうにドアの前で待っている...。

「あのぉ...すみません...」

と、小声で呟く...。

「なっ.....」

「あれっ、美穂ちゃん??」

（へっ.....??）

私よりまっさきに声をかけたのが真也だった...。

（なんで真也が....しかもなんで
美穂ちゃんなんて呼び方してるの...。）

少しムッとしてしまった...。

「あっ、真也君っ....
あのっ...そのっ...お礼したくて....」

美穂は恥ずかしそうに小声で呟く...。

「あぁ、アレ??
あれくらい別にいいよー」

と、私にいつも見せる無邪気な笑顔で言う...。

”アレ”って何なの....。
心がモヤモヤしてとまらない...。

「いやっ、でも...あれで元気
でたからやっぱりお礼させて!!」

「うーん....。」

少し戸惑う真也....。
私は心の片隅で”断って”と何度も呟く...。

「一緒にファミレス行かないっ!?
私がおごるからそれがお礼ってことで....」

えっ...２人きりで....??

「うーん...でも翼の彼女だし...
２人きりとかそーゆー誤解を招くような...」

「もう翼とは別れるからいいの。」

...........えっ??

あんなにこだわってた翼君と...
別れるってなんでそんなにあっさり言うの...??

「えっ、翼と別れんの...??」

「うん、だから一緒にっ....」

「でも俺...莉華がいるしなぁ。」

と、真也がいうと美穂は愕然とし、
ショックを受けた表情を浮かべている...。

そして、小さく震えながら

「そっ...そうだよね...。彼女いるのに
こんなんダメだよね...。ごめんなさい...。」

「うん...ごめんね....。」

「いや、私のほうこそ....。
ごめんなさい、それじゃ....」

振り返り、帰ろうとする寂しい後ろ姿....
真也はそんな肩に手を伸ばして

「やっぱり莉華に頼んでみるよっ!!」

と、言った...。

「へっ...いいの....??」

「あぁ、俺もお礼ほしいしっ」

「ありがとうっ!!じゃあまたあとで!!」

嬉しそうに微笑んで帰っていった...。

真也は優しいからああいうのほっとけないんだよね...。
でも莉華に頼むって言ってたって事は....

「なっ...なあ莉華...。」

やっぱり....。

真也は私に歩み寄ってきた...。
少し気まずそうに頭をポリポリとかきながら

「その...今日ちょっと...」

「う...うん...」

「友達とファミレスいってくるわ。」

「へっ.....」

そんな事しないと思ってたけど....
真也は今私に...嘘をついた....??

「とっ...友達と...??
それって女??男...??」

真也は目を泳がせながら

「男だよ。男。」

と、言った...。私は愕然とした...。
そして、出る言葉もなく、

ふいに出てしまった言葉が───....

「そっか...いってらっしゃい...。」

と、言ってしまった...。

すると真也は顔を明るくさせ、

「本当っ??ありがとー、莉華ぁ!!
また今度２人でいこーぜっ!!!」

と、ニコッと笑い、私のもとからはなれていった...。
離れていく真也の後姿を私はただただ見送るしかできなかった...。

手を伸ばすことすらできない自分がすごくアホらしい...。


※実話ではありません（続く）