Nicotto Town


安寿の仮初めブログ


ライディーン!! じゃなくて雷神。


安寿の能・狂言道楽も、今日が最終日。

今までは、能・狂言を知るために、
あれもこれもと選り好みせず見ていましたが、
これからしばらくは、
良い演目があれば見に行くことにしたいと思います。

で、今日見てきたのは、
イエロー・マジック・オーケストラの『ライディーン』   ☆\(ーーメ) どこが能じゃ!
     ↓
  http://www.youtube.com/watch?v=xWLv8q7qjag

ではなくて、『雷神』

菅原道真の霊が、
雷神となって京の内裏に現れ、
讒言によって自分を陥れた者に復讐するというお話。

激しく、素早い切り返しの続く舞いがあって、
安寿好みの能です。

ところが、菅原道真の霊は、
いきなり内裏に現れるのではなくて、
まず自分の親代わりであり、師である
比叡山延暦寺の僧正さまのところに現れるのでした。

そして、僧正さまが自分に手向けてくれた弔いに対して
「どうもありがとう」と礼を述べたり、
「尊きは師弟の約」と互いの関係を懐かしんだり…

  ずいぶんと律儀な幽霊です。

そして、
「これから自分は雷となって内裏に行って、
 怨みある者を殺そうと思うが、
 僧正さまは、内裏から悪霊の私を退散させるように依頼されても、
 決して内裏に行ったりなどはせず、
 そこで加持祈祷をすることがないように」
と念を押すのでした。

  ずいぶんと用意周到と言うか、細かいことに気がつく幽霊です。

でも、僧正さまは、一二度呼ばれたぐらいでは行かないが、
三度呼び出されれば、私もこの国に住む者だから、行かなくてはならないと答えます。

その答えを聞くや、道真の表情がさっと変わり…

…と言っても能面ですから、
表情の変化はないのですが、
それまでの旧交を温め合うような場の空気が、
ぴりぴりと怒気を含んだものへと、
瞬間湯沸かし器のように変わります。

  ずいぶんとこらえ性のない幽霊です。

  でも、気に入らないことがあると、
  すぐ雷を落としてしまうからこそ『雷神』なんでしょう。

そして、仏壇に置いてあった石榴をかみ砕き、吐き散らせば、
石榴の実はたちまち火焔となって燃え上がるのでした。

  ずいぶんと行儀の悪い幽霊です。

このような幽霊ですので、
『雷神』は能の持つ幽玄さとか儚さ、
ものの哀れという趣きに欠けるきらいがあります。

その点で言えば、前回見た『安達原』(別名『黒塚』)の方が能らしい味わいがあります。


さて、後半。
僧正が内裏の中で加持祈祷を行っていると…

一転俄に掻き曇り、逆巻く黒雲が空を覆い尽くしたかと思うと…、

出た~! 出ました!!
打ち掛けを被った物の怪の姿が、
橋懸かりの奥にどんよりと!

ゆっくりと橋懸かりの中ほどまで進んで、
おもむろに被った打ち掛けをとれば、
そこには真っ赤な髪を振り乱した鬼の形相!!

まるで歌舞伎のように、
「いよっ、待ってました!」と声を掛けたくなってしまうような派手な登場です。

なにせ、橋懸かりの欄干に足なんかかけて、
外連味たっぷりに凄んでくれますから。

   ずいぶんとサービス精神旺盛な幽霊です。

そこから先は、道真の霊と僧正さまの一騎打ち。

あちらと思えば、またこちら。
内裏の中の建物をあちこちに駆け廻り、追い掛けながらの神通力合戦。

  
  まるで超能力者の対決を描いたSFアニメや映画のようです。
  (例えば、古くは『バビル二世』、最近では『Xメン』のように)。

最後は帝が道真の霊に天神様の称号を与え、
この計らいによって道真の霊は満足し、
黒雲に乗って去って行ったのでした。

とまあ、派手だけど、能としては、たわいのないお話。

…なんて悪口を書くと、雷に打たれちゃうかも…。

  ビリッ! おっと、早くも静電気   ☆\(ーーメ) 怒りの雷じゃ!
 

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2013/03/31 01:05
>うとうとさん

YMOの三人、もうおじさんではなくて、おじいちゃんですよね。
アバター
2013/03/30 21:37
おお!静電気・・かわいい雷だぁ^^
ライディーン・・みんな年取ったね^^;



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