[読み切り小説]人という字は....
- カテゴリ:自作小説
- 2013/03/04 23:43:30
昔先生に習った漢字....。
今までは普通の読み方をしてたけど
この年になって、やっと本当の意味に気付けました....。
読み切り小説 「人という字は.....」
あれはある入道雲が良く見える晴れた
夏の日....私は夏休みだと言うのに
プールの掃除当番を任されていた。
「あ゙ぁ~、うっぜぇ~....。
なんでアタシが掃除当番なワケ??」
入道雲が見えるとか見えないとかどーでもいいほど
蒸し暑いこの夏休み。本当は遊びほうけていたいけど
なぜか掃除当番を任されて、夏休みはほぼ掃除当番。
「あ゙ぁぁぁあ、マジあん時
勉強しときゃよかったなぁ~....。」
今となっては遅い....。
それもそのはず、実は─────.....。
───とある7月の日
「おい、誰も掃除当番なってくれないのか??
一人くらいいるだろー??」
この日はプールの掃除当番を決める日で
私はかったるくて寝ていた。
「......先生、赤点取った人が
掃除当番って言うのはどうでしょう??」
友達から聞いた話によるとほかの女子が
意味わからんことを言い出して....
「おお、それいいなぁ~!!!
ちょうど寝てる奴の刺激にもなるだろっ!!」
と、先生が嫌味を言った後そう決まったらしい....。
私は友達からその話を聞いて
「あははっ、どーせ城山(担任)が言ったこでしょ??
気にすることねぇ~ってぇ~!!!」
と、笑い飛ばしていたのだが.....。
いざ、テストの答え返却の日.....。
「じゃ、いよいよ運命のテスト返却だっ。
コレで赤点だったら掃除当番だぞ~。」
「「「はぁ~い」」」
私は自分で自分の首を絞めたような物。
勉強はしなかったから案の定赤点(点数はあえて言わない。)
そして、今この状況だ。
「あ゙ぁ゙~~~!!!めんどくせぇぇ!!!」
私は空に向かって叫んだ。
「何がそんなにめんどくさいの??」
「んだよ、城山かよ。」
その日プールサイドに来たのは城山。
ニコニコ笑いながらコンビニの紙袋を持っている。
「ちゃんとやってるかと思えば
本当にお前って奴は~....。」
「ふん、めんどくせーもん。
それよりさ、それ....差し入れ??」
「頑張ってるんだったらあげるつもりだったけど
頑張ってないからあげなーい。」
「んだよ、ケチ。」
「じゃ、ガンバレよー。」
なんだ、ただの冷やかしか??
それとも暇つぶし??
アイツのせいでまたイライラがたまる。
今日は掃除が終わったらクラブに行こう。
大丈夫、親にはバレない。
私は予定通り、掃除を終わらせ、その日の夜....
派手にメイクをして近場のクラブへ向かった。
「よぉ、莉梨香。」
「よー、いつものちょーだい。」
私はなれたようにカウンター席に座って
一杯のジュースを貰った。
私は睨んで
「んだよ、コレ....。」
と言った。男は
「子どもはそれくらいにしとけよ。
未成年なんだから飲むな。」
私がいつも頼んでいるお酒...。
いつもは出してくれるくせにこの日は出さなかった。
私はフンッと鼻で笑って
「まあ、いいわ。
ほかの仲間達は??」
「あっちの席にいる。」
男が指を指した方向へ私は歩いていった。
すると、女子達は皆気付いて
「あっ、莉梨香ぁ~!!!」
と、駆け寄ってきた。
私は皆と笑い、踊り、飲んだ....。
その日はすっかり疲れてしまい、クラブからの朝帰り....。
ゆっくり鍵を開けて玄関を見ると
「.......靴はある。」
靴があることを確認。
リビングのドアを開けると
「......いない...か。」
そして両親の部屋へ行った。
すると
グゥゥゥゥゥ.....グゥゥゥゥ.....
うるさいほどのいびき....。
私は一つ、ため息をついて
「電話の一つもなしっと。」
私はホッとした反面、少し辛かった....。
この時いつも思う...私はいらない人間なのかと。
そして、来る日も来る日も掃除当番を終え、
クラブへ行き、朝帰りを繰り返した。
こんな事をするのは初めてだが、罪悪感がない。
この行動にさすがに気付いたのか、ある夏休みの下旬の日....
いつも通り朝帰りをすると、リビングに電気がついていた。
気になっていって見ると....
両親が腕を抱えて座っていた。
私は普通にドアをあけて
「ただいまー。」
と、ただ一言、そう言った。
すると、父が急に立ち上がり
────パチンッ!!!!!!
「いっ....てぇなぁっ!!!!」
私の頬を殴った....。
父が私の頬を殴るなんて初めてだった。
父は今まで見せたことのないような顔をして
「いままで何してた」
と、たずねてきた。
私はにらんで
「別に??アンタに言う義務はねーよ。」
そういうと、父はまた私にビンタをした。
「それが父親に向ける態度かっ!?」
この言葉にイラッと来た.....
父親に向ける態度───??
「じゃあそれならアンタらの行動はどうなる??」
「なんだと....??」
「娘に背を向けたかのように
私が何度も何度も何度も朝帰りしても.....
アンタらは電話の一つもせずにグウグウ寝てた。
そんな状況で私はお前らにどんな態度をしろって───.....」
────パチンッ!!!!!!
また叩かれた....。
でもさっきより力は弱い....。
スゥ....と目を向けると
「お母....さん....??」
母は涙目で殴った手を握り締めている....。
私は悔しくなった、辛くなった....。
私を苦しめてたのはアンタ達じゃないかって.....。
昨日で掃除当番は終わりだったが、
私はプールサイドに走っていった....。
なんだかんだ言って、一番落ち着いていた場所だった....。
私はプールサイドに座り込んで、しゃがみ込んで、
泣きじゃくった.....。声が枯れるくらいに....。
すると、後ろから叩かれた優しい手。
「桜井??」
振り返ると
「じっ....城山っ....!?」
城山が立っていた。
私はあわてて涙を拭いた。
「なっ....なんだよ急に
ビックリするじゃねーか!!!」
涙を懸命にふいてる私の手を握って
「なんかあったのか??」
と、たずねてきた。
私はなぜかその時、無償に城山に頼りたくなった....。
私はコクリ、コクリと2回うなずいた....。
城山は優しく頭をなでて
「よしよし、じゃあ話をきこーか。」
と、言って、私の隣に座ってくれた....。
私は夏休みにあった事情を話した。すると城山は
「そーかぁ....じゃあな、桜井。
お前に一つ質問したい。」
「何??」
「”人”って言う字についてだ。」
城山は紙とペンを出して、”人”という字を書いた。
そして、スッと差し出して
「これ、なんて読むかわかるか??」
「え??人(ヒト)でしょ??これくらい.....」
「違う。」
城山は真剣な目をして
「これは”支える”という読むんだ。」
と言った。
「えっ....??」
「人と言う字は、人と人が支えあってできてるんだ。
つまりお前はいらない人間じゃない。たとえいらない人間でも
今支えがいない人の支えになればいい。
その支えになる事で、お前は成長するんじゃないか??」
私は城山の言葉に感動した....。
「ありがとう....先生...」
「えっ??今なんと??」
「もういわねーよ!!!!」
先生、ありがとう.....。
私は今でもあの言葉を胸に、生きてます。
モデルの脚本
もちろん金パチ先生。ですwww