Nicotto Town


小説日記。


天邪鬼。【書き置き】




キミのことが、大好きでした。



× × ×



嫌いなものを嫌いと言って他人にわがままを言う自分が嫌いでした。
でも今更直す気もないし、あと一年だから。

そう、お別れまで。


「私、あの子のこと嫌いだよ」

部活のあと、二人きりの空間で私は言った。

「ヒトの話訊かないし、空気読めるフリして
  私の言ってること何一つわかってなかったり、
  冗談が通じなかったり、こっちが重い話すると
  返事しないで話勝手に逸らすし」

広い講堂に、遠慮なく声が響く。
キミは何も言わない。

「好きじゃない子に冷たい態度とっちゃうのは仕方ないよね。
  〝相棒〟だなんて言ってるけど、ほんとかどうかなんてわからないし」

ヒトとして最低なことを言っている自覚なんて割って余るほどあった。
でも本当のことだし。
隠したって、それこそしょうがないだろうし。

「私さ、同じこと二回言わせる子ってすっごい嫌いなんだ。
  それが本当に聞こえなかったんだとしてもね」

天井からスクリーンが垂れ下がる舞台に腰をかけて、私とキミは並んでいた。
何とも言えない微妙な距離が、心の生み出すものなのか身体が求めているものなのかわからない。

「 なんてね。〝嘘〟 」

―― っていう、〝嘘〟

私は舞台から飛び降りるように立ち上がった。

「さ、帰ろ」







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