Nicotto Town


安寿の仮初めブログ


「猿楽談儀」による『卒塔婆小町』なんだそうな?


如月の晦日、
能を見てきました。

今日は『卒塔婆小町』。

でも、現行の舞い方ではなく、
世阿弥が残した「猿楽談儀」という書物に残されている
『卒塔婆小町』本来の姿を再現しようとした企画公演です。

とはいえ、
そういう能書きは、
能に慣れ親しんだ方には意義深いものかもしれませんが、
私のような一見の、単なる物見高い観客に過ぎない人間にしてみれば、
どんな演出であろうと、
私の心をギュッと鷲掴みしてくれたか否かがすべてです。

で、結果は?

  う~ん…

『卒塔婆小町』は、
若い時は才気煥発な絶世の美女であった小野小町の
齢九十九歳の姿を描くもの。

老いさらばえ、今は物乞いに身をやつした小野小町が、
都を離れ、今の大阪、阿倍野あたりを彷徨っている折のこと。

小野小町が、
仏体の化身である卒塔婆に腰掛けて暫し休んでいると、
高野山から都へ向かう僧がそれを見つけて、
「卒塔婆に腰掛けるとは、失礼じゃろう」と因縁をつけてくる。  ☆\(ーーメ) ヤクザじゃないちゅうに

それに対して、
老いたりと言えども、
元は才女の小野小町は、
僧と禅問答を交わして、相手を言い負かせてしまうのです。

このあたり、
言い負かしてしまう小野小町の、
博識が故に、ついつい見せてしまう我の強さ、プライドの高さが垣間見えて、
見事な問答ではあるのですが、
あああ~、
落ちぶれてもなお、
そんな才気をひけらかしてしまうだなんて、

  「あなた、どこまでも残念な人ね」

と思わず安寿は突っ込んでしまいたい。    ☆\(ーーメ) エラソーに

そして、老婆は僧に
自分は小野小町であると名乗り、
落ちぶれた我が身を嘆くのですが、
その時、小野小町の下に「百夜通い」した「深草の少将」の霊が、
老いさらばえた小野小町に憑依して…、

  いわゆる、物狂ひ…

つまり、『卒塔婆小町』とは、
すでに老境に達しているにもかかわらず、
華やかであった過去の栄華が忘れられなくて、
今なお、

  ♪~あの素晴らしい愛をもう一度~♪

なんて幻想の中に生きている哀れな女なんですよ。

「バブルの頃よ、もう一度、
 もう一回ジュリアナ東京の「お立ち台」に立って、
 若い男たちをブイブイ言わせたい」
と今でも内心思っているんだけど、
でも、もうどうしょうもないくらいに
薹(とう)が立ってしまったアラフィフ女なんだ、きっと!!  ☆\(ーーメ) なんかバブルに恨みがあるんか!

この能の最後は、
そんな老いてなお妄執に取り憑かれている小町が、

  「花を仏に手向けつつ、悟りの道に入ろうよ」

と仏の道へ向かっていくことで終わるのですが、
でも、それって
物質文明批判の単純な裏返しとして、
神秘主義やら精神世界へと向かっていった
1980~1990年代のオウム真理教を初めとしたカルト宗教の道じゃない?

  ふん!

私は、
そんなにあっさり
「悟りの道」に救済を見出せるほど、うぶな女じゃないわ。   ☆\(ーーメ) 開き直るな

  確かに、生死のことは仏まかせ、
  前世やあの世のことは人間の範疇の外だけど…

でも、この世のことは、
人間が作り出したことだから、
きっちり人間が決着をつけなくちゃいけない!

中世社会に生きていた小町は、
仏門という落としどころで許してあげてもいいけれど…。

でも、現代社会に生きている「小町」たちよ! 

通販やパック旅行やスピリチュアルで
お手軽に「癒やし」を求める前に、
「愛」も「癒やし」も「霊力」も
ワンクリックのクレジットカード一括払いで賄おうとする
あなたたちのその安易な煩悩をなんとかしたら。

  うわ~~、
  なんか『卒塔婆小町』から暴走して、
  言ってることが支離滅裂の八つ当たりだあ~  ☆\(ーーメ) 毎度のことじゃ

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2013/03/02 23:38
>あがたさん

『卒塔婆小町』以外にも
小野小町が登場する能はいくつかあるようです。

才気煥発で、恋多き女性である小野小町を描くものと、
その小町の落ちぶれた姿を描く『卒塔婆小町』のようなものと。

『卒塔婆小町』という能が名作なのかどうか
  (今回の企画公演の狙いでもありましたが、
   どうもこの作品は収まりの悪いところがあります)。
今回の公演の仕上がりはよかったのかどうか、
能については素人である安寿は皆目見当がつきません。

ただ、はっきり言えること。

  私は、小野小町みたいな人が嫌い。

ですから、独断と偏見に満ちた能見物の記録なのでした。

三島由紀夫の『近代能楽集』の「卒塔婆小町」は、
知り合いの芝居で見たことがあります。
たしか、その時は「卒塔婆小町」「葵上」「弱法師」だったような記憶が。

三島の能や歌舞伎は、
三島本人はもっと別な意図があったのでしょうが、
でも、原作を大胆に換骨奪胎し、
現代化した外連味が加えられていて、
それはそれで私は好きでした。

でも、能で描かれている小野小町、
才媛にして恋多き女という人物像は苦手。

勝間和代や阿川佐知子を思い浮かべてしまう… ☆\(ーーメ)
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2013/03/02 11:09
わたしは三島由紀夫の「近代能楽集」のなかの「卒塔婆小町」しか知りませんが哀れでした。
切ないというか、なんというか。
もし機会があったらもご覧ください。
感想変わるかしら?w



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