＝主な登場人物＝
・森咲莉華…美人で有名なカリスマモデル。真也と付き合う。
・河野真也…学校では王子と呼ばれるほどのイケメン。莉華の彼氏。
・桃宮菜々美…可愛らしい女の子で莉華の親友。スポーツ万能でバッサリ言う。
・村田敦…菜々美と莉華の幼馴染。イケメン。莉華が好き。

第十四章　『大事な話』

菜々美は私に背を向けて　スタスタ　と進んで行く.....。
ついた場所は体育館倉庫。

「ここなら誰も来ないから。」

と、冷たくつぶやいた。
私はその声を聞いた瞬間、すごく背筋がゾクッとした。

「なっ.....ななな.....菜々美.....。」

動揺する私を見つめて菜々美は　クスッ　と笑って

「本当に変わらないね、莉華っ」

と、あはははっと笑った。
ビックリした....　さっきの声とは大違い....。

菜々美は笑い終わった後、フゥ....　とため息をついて

「わがままだよねぇ..... 私......。」

とつぶやいた。

「え??なんで.......??」

私は不安になり、菜々美の顔を覗き込む。
菜々美の目には涙が上がってきていた........。

「大事な親友も欲しいし、大事な初恋も綺麗に残したいなんて.....欲張りすぎだよ.....」

と、一粒の涙を　ホロリ　と、まるでバラの葉が床に落ちるように落ちていった....。

「菜々美......」

「莉華は悪くないのに当たって....ごめんね、辛かったよね.....。　莉華は悪くないのに.....。
お互い.....ただ好きだっただけなのにね.....。」

と、悲しそうにつぶやく......。
今の私にできる事は.....

ギュッ────────........

「えっ......??」

菜々美は不思議そうに声を出した。
そりゃそうだ、私はいきなり抱きついたのだ。
今の私にできることなんてこんなことくらいしかない.....。

こんなことくらいしかないけど、菜々美と同じ気持ちなんだ.....。
菜々美は私の気持ちを受け取ってくれたのか、私の背中をギュッとつかんで

「ごめん.....　ごめん莉華......。」

と泣きじゃくった。
お互い、何もかも忘れるように.....　どこかへ飛ばすように.....。
涙が出なくなりそうなくらい泣いて、泣いて、泣いた.....。

そして、2人が泣きじゃくった後.....

「へへっ、なんか変だねっ.......」

と、涙を拭きながら笑う菜々美。

「ほんと、ほんとっ!!　私たちってばいつもこうだね」

と、親友との外されたカケラを二人で笑いあって、カケラを埋めた.....。
2人で今までの事、辛いこと、話し合った.....。
休み時間なんてとっくに終わってたが、2人は体操服のジャージを着たまま
目をはらし、笑い、話し合った。

次第に話は”あの件”へと進んでいった......。

「.......私さ、物心ついたときから敦が好きだったんだよね」

と、悲しい目でつぶやく。

「うん.....。」

「でも敦が莉華の事好きだったのはずっと知ってたし....　自分の気持ちは隠そうってずっと決めてた。・・・・でも、莉華は敦の気持ちには気付かず、敦を幼馴染としか見てなくてなんか....悔しくなっちゃって.....。」

と、悲しそうに笑った。

「ごめんね、菜々美....。」

「ううんっ、莉華は本当になにも悪くない。伝わらない気持ちにイライラしてたのは・・・・私だから・・・」

とつぶやいて2人同時に　ズビッ　と鼻水を吸った。
その瞬間、私達はあの頃のように笑いあった.....。

あの頃の絆がまた結ばれて本当に私は幸せだった.....。

「菜々美っ!私敦とくっつくように協力するよっ!!」

なんて無神経なこと言えるワケもなく、私達は体育館から出た。
外に出た後、菜々美は

「莉華.....このまま教室戻れる??」

と聞いてきた。

「えっ......それは.....」

戸惑う私の手を握って

「だったらサボろーよっ!!!」

と言って、私の手を引っ張って門の外へ出て行った。

その後、私達は昔のように笑い合い、話し合った......。
菜々美との絆は取り戻せた.....。

敦との絆は・・・・・・。


※実話ではありません（続く）