赤ずきん~姫林檎original story~
- カテゴリ:自作小説
- 2013/02/28 08:27:01
ある村に、赤ずきんと呼ばれる可憐な少女がおりました。
その名のとおり、いつも赤い頭巾をかぶっています。
誰にでも愛らしい笑みを見せてくれる、優しい少女は村のアイドルの様な存在でもあり、
村の大人も子供もみんな赤ずきんの事が好きでした。
誰からも愛される少女、赤ずきん…
それは人間だけに留まることなく、少女は森の動物たちとも仲良くなりました。
よく森に入っては動物とお話をしたり、一緒にお茶を飲んだりして過ごしていました。
いつしか少女は、一日の大半を森で過ごすようになり、
同じ年頃の子どもたちからは動物と会話が出来る変わり者だと気味悪がられ、孤立し、
更に森の中へ籠るようになってしまいました。
そんな彼女の姿を周りの大人たちは心配もしましたが、出会えば以前と変わらず愛らしい微笑みを浮かべ、礼儀正しく挨拶もするので、特に咎める事もなく見守る事にしました。
学校にもきちんと通っていたし、母の手伝いも喜んでする姿も見られ、近所からの評判も良く、
気味悪がっていた子どもたちも、段々と赤ずきんを避ける事はなくなりましたが、それでも赤ずきんは
森の動物たちと過ごし、友達は作りませんでした。
やがて赤ずきんは18歳になり、とても美しく育ちました。
彼女の微笑みは幼かった頃の面影を残しつつ、さらに可憐に美しく、まるで花の蕾が綻ぶような、そんな柔らかな微笑みでした。
相変わらず森に行くのは辞めませんでした。
年頃の彼女に、求婚する男性は山のように居たのですが、赤ずきんはどの男性にも丁寧にお断りを入れ、誰にも靡く事はありませんでした。
ある日、彼女は母に、森に住まう事を許して欲しいと請い、
もちろん母はすぐさま反対しましたが、赤ずきんの気持ちは変わらず、折れる事無く母に請い続けました。
母だけでなく、森の向こうの別の村に住むおばあさまも、村の大人たちも誰もが反対をしたのですが、それでも諦めきれず、赤ずきんは夜遅く村を飛び出し、森の奥深くへと姿を消したのでした。
人生で初めての反抗でした。
村での求婚にはどれひとつ、頷く事は無かった赤ずきんですが、実はもう既に心に決めた愛する者が居ました。
その者は森の中に住む獣なので、当然の事ながら誰にも打ち明ける事はありませんでした。
森の中を探索していた時に見つけた古い小屋の中で、恐る恐る足を踏み入れた赤ずきんの足に何かが当たり、ふと見ると傷を負った銀の毛を持つ狼が横たわっていたのです。
すぐさま赤ずきんは手当てに取りかかり、その後も傷が癒えるまで、通い続け
出逢ってから5日が経った時、狼はその小屋から姿を消していました。
狼が居なくなった事により、赤ずきんの心の中にはぽっかりと穴が開いたように、寂しい様な満たされない様な気分になったのです。
最初はほんのささやかなもう一度逢えたらと言う気持ちだったのですが、逢えないと思えば思うほど想いは募り、狼の事を想うと胸の奥がチクチクと痛むのを覚えました。
美しい赤ずきん、どんな男性にも奪われなかった恋心、一頭の狼に奪われる…
元は狼は肉食の獣。次に会えば襲われるかもしれない危険があると言うのに、それでも赤ずきんはもう一度あの銀の毛を持つ狼に逢いたいと深く願いました。
夜行性の動物なので、赤ずきんがいつも森にやってくる時間帯には出逢えないのかもしれないと思い、母に内緒でこっそりと夜の森に出かけた事もありましたが、なかなか会う事が出来ませんでした。
森の中は広く、あの小屋で出逢えたのは本当に偶然だったのかもしれません。
仲良しの動物たちに協力をしてもらっても、目撃情報さえも掴めませんでした。
この頃、赤ずきんは動物と正確な会話を交わす事が出来るようになっていたのです。
今までは一方的に話しかけ、なんとなく返してくれる鳴き声に勝手な解釈を付けていただけだったのですが、動物も赤ずきんの事を信用し始めて、心を開いてくれるようになると、自分の妄想ではない、動物の声が聞こえてきたのでした。
そうなったら尚の事、あの銀の狼と話してみたいと思うのでした。
村で過ごす日常よりも、森で過ごす時間の方が赤ずきんにとって幸せでした。
いつも笑顔で誰から愛される優しい美しい赤ずきん、しかしそれは表の姿にしかすぎませんでした。実は心の中身はとても空虚で、美しいけれど浮世離れしているようでもあり、幼少期を知らない隣村の人や旅人は、赤ずきんを見て、幻の様な…生気のない妖精や天使の様だとも噂していました。
代わって森の中では、赤ずきんはとても自然で自由でした。
楽しかったり悲しかったり、驚いたり、時には怒りをぶつける事もあり、母でさえも見た事のない赤ずきんが森の中には居たのです。
森の中は危険もたくさんありましたが、村の中だって絶対に安全とは言い切れませんので、赤ずきんにとってみたら同じ事でした。
注意しなければならない事だけ気を配っておけば、大抵は安全でしたから。
そうして森の中で生活する決意をした赤ずきんは
銀色の狼を探す旅に出るのでした。
次回へつづく……
◇あとがき
久々の小説投稿ですね。いかがでしたでしょうか?
今回はかなり長くなると思います。(3話ぐらいで収めたいとは思っている)
結末はどうなるか、まだ自分にも分からないんですけど、まぁダークな感じにはなるとだけ言っておきますw
明日には続きを投稿出来たらいいんですけど、出来るかな?
そして何よりこんな駄文に長々とお付き合い頂きありがとうございます。
もっと読みやすく書けたらいいのですが、素人の書いてるものなので大目に見てやってください。
後半物凄くノリノリで書いてました。狼が出て来た辺りからw
まぁ何時だって自己満足ですので、完結したら自己満サイトに載せようと思います。
読んでくださってありがとうございます(*^_^*)
そうですね、パラレルワールドみたいな、感じだと思います。
みなさんが良く知ってる赤ずきんちゃんとは全然違いますが、楽しんでいただけたようで本当に嬉しく思います。
更新遅れてしまいましたが、先程2話目を投稿させて頂きましたので、お時間ありましたらまた見て頂けたらと思います
赤ずきんちゃんのお話のパラレルワールド的な感じがして、
どんどん読み進んじゃいました(〃▽〃)♡
あと2話あるのですね♪
次は赤ずきんちゃんの旅のお話でしょうか?
苦難の道にならないことを祈りたいのですが、それだとつまんないですよね^^;
せめて赤ずきんちゃんのこの先の人生の糧となることがありますように☆彡
せっかくコメント下さったのに、お返事遅くなっちゃいました~~><
ほわぁってなっちゃいますよね。あまりにも拙い文章に!
改めて自分で読み返したら「ました。」がくど過ぎてうざいなぁと思いながらも、もう手直ししたらわけわからなくなりそうだったので
こんな感じでした^^;
でも面白いと言って頂いて、さらに続きが楽しみだなんて…
感激です!ちょっと最近忙しいので、また時間出来たら続き投稿しますね^^
元の赤ずきんは狼→赤ずきんだけど、赤ずきん→狼って面白いですね!!
凄く続きが気になって仕方ないです!
いつでもいいので楽しみに待ってます♪(*´∀`*)