☆立ち切れ線香
- カテゴリ:お笑い
- 2013/02/17 00:06:43
別名に「たちきり」「たちぎれ」などもありますが、この落語は上方では珍しい人情噺です。とにかく上方の落語は笑わせることを中心に考えていたらしく、東京の「粋」を追求したものとは対照的なものでした。現在でも、上方と東京の落語では細かなところにその違いが見られますが、これは数少ない上方落語の人情噺としては傑作ではないでしょうか?
また、落ちが分からないといけないので少々解説しますと、今と違って時計の普及していない昔のお茶屋では、時間を計るのに線香を使ったそうです。
【スジ】
お茶屋遊びの過ぎる若旦那がいました。店では若旦那を改心させようということで親族会議が開かれ、その結果100日間の蔵住まいという謹慎処分を決定。しかし、この若旦那と恋仲のミナミの芸者・小糸は事情を知らないので、ばったり現れなくなった若旦那に毎日手紙を出す。ところが、店の番頭は謹慎処分中ということで、手紙を見せなかった。
そして、返事が来ないので小糸からの手紙は80日目には途絶えてしまうが、待ちに待った100日が過ぎる。番頭は若旦那が改心したものと思い、小糸から最後に来た手紙を見せると、そこには「今夜、来てくれねば、この世の別れになろうかもしれない」と書いてある。
驚いた若旦那は小糸に会いに行くが、既に手紙の通りであった。そして、おかみは仏壇の位牌を見せ、若旦那が来ないのを案じて病になり、若旦那にこしらえて貰った三味線を弾きながら息を引き取ったと説明する。
話を聞いた若旦那は落胆した。ところが、線香をあげ、酒を飲んでいるうちに仏壇に供えてあった三味線がひとりでに鳴り始め、小糸の唄も聞こえてくる。
若旦那は聞き入っていたが、途中でぴたりと止まってしまう。糸でも切れたのかと仏壇の三味線を見たおかみさん。
「若旦那、もうこの妓は三味線を弾きませんよ」
「なんでや」
「ちょうど線香がたち切れでございます」
初めて知った!!