夢飼い。【24】
- カテゴリ:自作小説
- 2013/02/09 11:23:30
今までなんとなく信じてきたものを揺るがされて、地面に足が着かない感じ。
もしかしてそうかも、とずっと前から思っていたことを当人から度ストレートに投げつけられて、
言葉を失う感じ。
自らハッピーエンドを望んでいたくせに、特に進展を求めていたわけじゃない平穏だった日々。
安っぽい舞台。安っぽい台詞。
安っぽい、僕の笑顔。
呆気なく崩れ落ちて、僕らの足下に瓦礫となって高々積み上げられた現実は、
夢みたいに味気なくて濃厚だ。
鮮烈に飛び散る赤い華を見たわけじゃない。
そんな非日常じゃなくて、下手したら誰だって手に入る、日常的な非日常。
選択肢を一つ間違えただけの、誰が主人公かわからないゲーム。
どうせなら異世界にトリップしたかった。
そうしたら、誰かを恨めたかもしれないのに。
そうしたら、僕も武器を取り魔法を唱え、その恨みをぶつけられたのに。
どうして、こうなっちゃったかな。
*
僕が乾に貢ぎ物、もといお見舞いの本を買いにいったのは一昨日だ。
本当はその日に渡したかったんだけど、乾が暴れていたので一時保留にした。
結果的に損ねた機嫌を取り戻すことに成功したはずなのに、僕の気分は晴れないままだけど。
置いておこう。
「好きだけどー、嫌いなの」
「難しいね」
「わかろーとしないやつにはおしえなーい」
「馬路で?」
これは難解だ。
微分積分より難しいと思う。まだ習ってないけど。
好きだけど嫌いってことは両方ってことなんだと思うのが一番簡単なんだろう。
でもそんな単純で良いのかな。
「うん、宿題!」
「え、」
「んとねー明後日までにかいとーをかいてもってくるのだ!」
「1日分の猶予をありがとう」
「えへへー」
困ったな。けど口から出任せでなく猶予には素直に感謝したい。
学校から特に宿題も出てなかったし、それで家での無駄な時間の浪費を抑えよう。
本を読むのも楽しいけど、流石にそればっかりでは目が疲れてたまらない。
さておき、宿題に取り掛かるにあたって参考までに意見が欲しかった。
「じゃあさ、乾は僕のどこが嫌いなの?」
「平気で嘘吐くこと」
あれ、バレてた?そんなに?
「す、好きなところは?」
「別に」
ひでぇ。
「あ、うーん、優しいところ?」
「良いよ無理矢理つくってくれなくて……」
姫のご意見は大変参考になった。
今日帰ったらよくまとめておこう。
「ありがとう、じゃあ早速考えてみるね」
「帰るの?」
「うん」
「…………」
そんな潤んだ目で見ないで欲しい。
別に5時近くまで居たって構わないんだけど、僕としては虎崎さんに鉢合わせするのはご遠慮願いたかった。
その旨を伝えると多少頬を膨らませたがすぐに解放してくれた。
病室を出る瞬間、ちょっとだけ振り返る。
窓の外を、ずっと見ていた。
*
ところで別のサイトでも連載してみたいなーこれとか思い始めたは良いのですが
どこかに良いところはないものか。
それではここまでおつきあい頂いた画面の向こうのあなたに精一杯の感謝を。
− 糾蝶 −
そうなんですよねーorz
かといってフォレスト向きではないような気がしないでもないので、
私も割と悩んでます笑