雨がくれた贈り物 #29
- カテゴリ:自作小説
- 2013/01/21 17:04:41
✿主な登場人物✿
・山中 美優…心優しく、可愛らしい女の子。身長が小さく150cm。主人公
・山中 竜斗…すごくチャラ男。女遊びが激しい。すごくモテ男。
・北島 美咲…美優の幼稚園からの幼馴染で親友。
・大森 真…竜斗の親友。いつも竜斗といる。
・福田 秋…美咲と同じバスケ部。 頼りになる副キャプテン。
・ケミィ・マリー…モデル。 すごく怪しい…。
・山中 咲…美人な竜斗の姉。 竜斗とは雰囲気が違うが、似ている。
・高月 莉那…美人で足が長く、背も170cmを少し超えるくらい。人気読者モデル。
第二十九章 『真実の愛が産んだ結果』
「…美優、話ってなんだよ…?」
竜斗は美優に呼び出され、あのいつもの公園にいた。
美優はブランコに乗りながら竜斗を見つめ、
「……ストレートに言うね。」
美優はバッと竜斗の目を見つめ、何か決意したような瞳で・・・
「別れてほしいの。」
と言った。
不思議なことに、ちっとも涙を一粒も流さない、ちっとも悲しそうな顔をしない....
美優の目にはただただ、”決意”という言葉しか見えなかった......
そんな美優の両手をつかんで
「オイ!秋になにされたんだ!?言ってみろっ!!!」
と、必死に問いかける。
本当に、本当に、つらそうな顔を浮かべながら.......
そんな竜斗を冷静な表情で見つめ
「福田さんのせいじゃないの…。 自分で決めたの…。」
「嘘だろ…?嘘だといってくれよっ…!」
両手を握る力が強くなる。
「痛いっ・・・・」
と、美優がつぶやくと、あわてて
「あっ、ごめんっ!」
手を離した。
手を離した瞬間、竜斗の頭の中でよぎった決意.....
”もう二度と手を離さない”
思い出した竜斗は美優に勢いよく、抱きしめた。
「っ……!? 竜斗君!?」
「もう…お前だけは離さないって決めたんだ…」
抱きしめる力はだんだん強くなる。
まるで竜斗の悲しみを表していくように......
そんな両手をスッと離して
「やめてよ!もう…決めたの…。 あなたと私がつきあってたら皆悲しむだけだよ!」
と、冷たそうに言う美優だが、頬は涙でぬれていた。
乾いた地面に落ちる一粒、一粒の涙は、まるで美優が竜斗との記憶を
一つ、一つ消していっているように見えた。
「悲しいのか…?だったらなんで別れようなんてっ・・・・」
と言って、美優の腕を引っ張った。
「離してよっ! もうやめてよ…。 これが真実の愛が産んだ結果なんだから…。
逆らえないよ・・・・・・・。」
竜斗の右手をそっと両手で握って
そして、最後にそっと・・・ゆっくり、一粒の涙を竜斗の手にポタリと落として
そっと微笑んで
「さようなら…いままでありがとう…」
と、つぶやいた。
「約束してた花火大会もなかったことにする気か…?」
と、竜斗が震えた、鼻声でつぶやいた。
美優はスッと顔を上げて
「さようなら」
と、微笑み、公園の出口から出て行ってしまった......
竜斗はその場に崩れ落ちた。
すると、竜斗の頬に ポツリ と雨が落ちる。
「雨か・・・・・。 まるであの時は美しく見えたのにな。」
と、つぶやいて、雨にうたれ続けた......
そして、涙と一緒に雨は地面へと落ちていった..............
あの美優と出会った運命の大雨の日.....
あの日は美しく見え、最高の出会いをくれた雨は今、
最後の瞬間を送ったのだった。
※実話ではありません(続く)
本当にお上手ですね(*'▽')
美優ちゃんと、竜斗くんの切ない思いがすごく伝わってきました
解説の文章も素晴らしいです☆