君の好きだった雪降る夜
- カテゴリ:小説/詩
- 2013/01/17 19:13:10
カーテンの隙間から
音もなく 降り続く雪を見る。
去年の冬には、僕の隣ではしゃぐ君がいた。
「寒すぎるのもいいじゃない、あなたとこうして 寄り添い歩けるから」
そんな言葉も、今じゃ白い雪の下にすっかりと消えてしまったよ。
優しい言葉の裏側には、裏切りだけが隠されて、心も体も冷たくかじかんで
僕の知らない街で、君は誰かと愛を語り合っている?
雪は降り続く。
いつまでも、降り続く。
君が大好きだった雪降る夜・・・
都会の冷たい夜は、訳も無く淋しく凍り付く。
去年の冬には、僕の隣で笑う君がいた。
いつしか、君の笑顔が壊れた・・・
「あなたは、あなたの道を歩きなさい」と
アスファルトに響く靴音だけを残し・・・
君は、遠い世界へと旅立って行った。
優しい言葉の中には、裏切りだけが隠されていたと僕は思っていたけれど・・・
追いかける気は、もう無いさ。
僕の知らない世界で、君は幸せに生きている。
だから、僕も君とは違う世界で、生きるのさ。
雪は、降り続く。いつまでも、降り続く。
汚れた都会を・・・覆い尽くすかのように・・・
君が好きだった、雪降る夜だよ。
君が愛した、雪降る夜だよ。
わかっていたんだね、君の裏切りだと思った時・・・
「あなたの道を歩きなさい」と去って行った時・・・
今日という日まで、僕と同じ世界には、いられない事を・・・
静かに、雪の結晶となり・・・僕の前に、現れてくれたんだね。
この詩には、二つの意味を込めて書いてみました。
ひとつは、別々の道を選んでお互いに進んでいく。
そして、もうひとつは、悲しいけれど・・・本当の事を告げられずに去って行き、雪の結晶とでしか愛する彼のもとに行けなくなってしまった、女性の心・・・
先日は、雪で都会は大混乱してしまったけれど、雪は本当に風流ですね。
コメントありがとうございました。
なんとなく二人に共通している静かな雪のインパクト。
読んでいて記憶に残りました。