お題の夏見たい映画なら、ウォレスとグルミットの新作、かな。
ストップモーション・アニメーションが割と好きなもんで。
VHSビデオで3作目までは持っているけど、そろそろDVDで買い直したほうがいいのかも。
TVでニック・パーク監督が“クレイアニメの巨匠”という煽りで紹介されていたけど、面白い作品を作る人、ワクワクする作品を作る人、でいいと思うのだけど。
何故やたら権威付けしたがるんだろう。


迂回して映画の話になるので、ちとお付き合いを。

最近、TVでSF・スペースオペラ物とおぼしいゲームの宣伝を見た。
今時珍しく正面切ってスペースオペラしていて、興味がでたり。
（もっとも、あまりゲームしないので手は出していないけど）

CMをぼぉーっと見ていると、
「そいつをタンホイザーに叩き込んでやれ!」
と聞こえた、ような気がした（正確かどうかは定かではない）。
画面では、異次元航行用とおぼしいゲートが宇宙に浮かんでいた。

タンホイザー?　……タンホイザー・ゲート?

引っかかるものを感じて、記憶を反芻してみた。
ああ、タンホイザー・ゲート!

どこから来た言葉か思い出して、ただもともとの出典が不安で、その後ツレの中でSF屋な人間に訊いてみた。
「タンホイザー・ゲートって何に出てきたか憶えてる?」
「『トップをねらえ』でしょ」
……トップにも出てたっけ?　エーテル宇宙だったのと、ウラシマ効果（ってか、相対論がというべきか）まともに出てきたの、で『オカエリナサイ』（鏡文字が使いたいな～）でうわぁ～となったこと（SF好きならお薦めです）、以外ほとんど忘れかかってた。
「いや、それより先に『ブレードランナー』で出てきたんだけど～」
忘れてた、と言われてびっくり。
確かに台詞だけだったけど、印象的だったけどな～

映画『ブレードランナー』で、ルドガー・ハウアー演じるロイ・バッティが終わりに近いシーンで口にする台詞に出てくる言葉だ。

「お前たち人間に、信じられないものを俺は見てきた……
　　　　　　/中略/
タンホイザーゲートのオーロラ……（後略）」

出てくる語句に出典あるのかな、と気になっていて、役者さんのアドリブから出た台詞らしい、と知って意外だった。
作品の締めとも言っていいシーンでの言葉だったので。

この映画の初視聴は、まだそんなにSFに填っていなかった頃、TVで、それも家庭内チャンネル権争奪戦に敗れてw頭の数十分を見られなかった。
それでも、そうであってさえ、あの、後に「サイバー・パンクの先駆け」と言われる都市や映像は鮮烈だったし、なんちゅうかその、テーマみたいなものは伝わってきた。

原作の『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』とは“アンドロイド”の有り様のベクトルが真逆だけど、要は「人間とは」「人の人たる定義」という点で同じテーマを描いていると思う。

デッカートの「狩り」をハラハラして追いかけながらも、強い印象を残したのは、やはりロイ・バッティだった。
バッティが動かなくなった自身の掌に釘を刺すシーンがある。
彼は一方でフランケンシュタインの怪物であると同時に、つまり象徴的に「そういう存在」なのだろう。

その後、深夜にTVで放送された時に録画して、何度も見た。
十数年前、ディレクターズカットが上映された時は映画館に突貫した。
BOXが出たときは涙を呑んで我慢したけど（金欠だった時期に値段がすごかった）、単品DVDが出たのでそろそろ手を出して、綺麗な画像で見てみたい。
VHSテープ、もう大概くたびれてるし、ね。