尼寺へ行け! デンマーク・クロンボー城探訪記 2
- カテゴリ:レジャー/旅行
- 2012/12/17 23:37:11
堀をいくつも渡り、
堀に沿って曲がりくねった道を歩き、
ようやく正方形の城の中庭へ。
まずはチケット売り場で入場券を購入。
地下牢と教会、そして城内とデンマークの海運博物館、
全部に入場できる90クローネのチケットにしました。
ここはケチらないで、全部を見て回った方がいいと思います。
さて、まず最初に地下牢へ入りましょう。
地下牢は、このお城の地下に張り巡らされている迷路のようなところ。
牢屋として使われていただけではなく、
兵士達が寝起きする場でもあったらしいのですが…、
… まっくら …
入場券売り場で
小さな懐中電灯を売っていたのは、このためだったか。
もちろん所々に、
ろうそくの明かり程度の道案内用電灯がついているので、
迷うことはないのですが、
しかし、低い天井、迷路のような通路…
入り口だけがあって奥には何の明かりもない部屋もあります。
ここには何があるんだろうと思って、
デジカメでフラッシュ撮影してみて、
はじめてこの部屋は行き止まりであることを確認する有り様。
…これは怖い…。
こんなところに閉じ込められていたら、
絶対、病気になるか気がふれるか…
明かり取り用の窓が少しはありますが、
兵士達もよくこんなところで寝起きしていたものです。
こんなところで暮らしていたら、
『指輪物語/ロード・オブ・ザ・リング』に登場する
卑屈で腹黒な生き物ゴラムのようになってしまう…
…ひょっとしたらゴラムの造形は、
作者トールキンの想像からではなく、
中世ヨーロッパに実際のモデルがあったのでは…。
ともかく、そんな地下通路を右へ左へとうねうねと辿り、
いったい自分は今、何処を何処に向かって歩いているのか、
さっぱり分からなくなった時…
あああ~! ジルさま!! ↓ ☆\(ーーメ 『風の谷のナウシカ』じゃないっちゅうの
http://4travel.jp/overseas/area/europe/denmark/helsingor/pict/20237009/
でも、これはジルさまの似姿では… ↓
http://www.geocities.co.jp/Playtown-Denei/6783/jiru.jpg
実は
地下牢の中には、
ついたり消えたりするライトに照らされて、
デンマークの英雄・ホルガー・ダンスクの像があるのでした。
ホルガー・ダンスクは、
デンマークが危機に瀕すると
その長い眠りから眼を覚まし、
救国のために立ち上がるんだそうです。
うう~ん、大魔神みたいだ… ☆\(ーーメ だから、ちゃうっちゅうの!
しかし、
ハムレットといい、
ホルガー・ダンスクといい、
デンマークを代表する有名人は、
こんな鬱々したところで、よーーーく我慢したもんです… ☆\(ーーメ
案内の明かりに導かれて、
わけもわからず暗闇を右左に辿って、
ようやく地下牢から外に出てみれば…、
あれま、正方形のお城へ入る入り口の脇に出てきました。
もう一度城内に戻って、次は教会に行きます。
教会は正方形の中庭を持つお城の真向かいです。
独立した教会の建物があるわけではなく、
城内の一室に教会が設えてあります。
城の中の一室なので、さほど大きな教会ではありません。
でも、装飾は見事です。
とはいえ、
この教会も人の気配がないので、
どことなく陰気な感じが漂っています。
そして、城内へ。
城内は、このお城の2・3階の各部屋を廻ります。
この城内の展示はなかなか凝っていて、
単に各部屋の王侯貴族達が使用した調度類を見て回るだけでなく、
この城が火災で燃えてしまった時の場景や、
北の海を行く船乗りの姿を映像で再現していたり、
北欧の城で最も大きいと言われる舞踏会や晩餐会用の大広間では、
ここで行われた舞踏会や食事の様子が3Dの映像で見られるようになっています。
…ですが、
この大広間の天井には何の装飾もなく、
無骨な梁が並ぶばかり。
室内は暖房が利いてますが、
大広間の窓の向こうは、北風の吹き荒ぶ海峡。
古い時代の窓ですから、ガラスが平らではなく、
外の風景や対岸のスウェーデンが少し歪んで見えます。
その窓ガラスに耳を近づけてみれば、
びゅーびゅーと吹き付けている海からの強風。
ああああ~♪ 津軽海峡冬景色~♪ ☆\(ーーメ ちゃう!
これはくら~い、
何処までも暗ーーーい、
とても陰気な感じのする城なのです。
でも、
冬の海峡に対峙して聳え立つ城の荘厳さ、
そんな城の中、
宿命を堪え忍びながら生きているかのような王族たちの重苦しさ。
この暗さは、
ヨーロッパ絶対王政期の、
バロックじゃあ~、ロココじゃあ~、
古典主義じゃあ~、ロマン主義じゃあ~
オスカルぅ~! アンドレ~!! ☆\(ーーメ そりゃ「ベルばら」
…といった豪華絢爛の貴族趣味とは何処までも無縁。
苦悩を引きずりながらも、用意周到。
運命に囚われながらも、常に内省的。
悲惨な最後を迎えながらも、
そうなることをどこかで願っていたかのような、
どこまでも救われることのないハムレットの世界そのものです。
それでも、
北の海に向かって聳え立つ孤高の城の姿!
海から吹き付ける強風に無言で堪えている王族たちの悲壮感!!
地下牢の中で眠り続ける伝説の英雄!!!
この薄暗きファンタジーの世界へ
一度足を踏み入れたいと思うのでしたら、
デンマークはヘルシンゴアのクロンボー城へ!!
ハムレットは、
叔父に嫁いだ母に「弱き者、汝の名は女…」
婚約者のオフェーリアには「尼寺へ行け!」
と言った名台詞(暴言)を吐きますが、
…へいへい…
言われなくても、
常日頃から罪深い生き方をしている安寿ゆえ、
私の流れ行き着く場所は
どうせ尼寺か墓場と決まっておりますよーーー。
でも、その前に、
凍てついた海風で冷えた身体を温めるべく、
駅前のカフェで、
シュナップス(穀物で作った蒸留酒)を、
ぐいっと一杯…
ハムレット 「 お前だけは絶対、尼寺へ行け!!!!」