小さな森の恋 #38
- カテゴリ:自作小説
- 2012/12/08 13:37:05
✿主な登場人物✿
・ティーナ…妖精の女の子。この物語の主人公。
・クリス…人間の男の人。ティーナの恋人。
・ヴァン・レナード…妖精の男の子。ティーナに想いを寄せる。
・マリー…人間の女の子。美しくて、可憐で、町一番の美人。
・ジル・マティ…本名はジル・マティだが、仮名を使っており、仮名、アリス・コニー
第三十八章 『命』
「リズさん…ニーナさん…」
ティーナは2人の手を握り続けた…。
救急車が来るまで、ずっと握っていようと誓って。
「ティーナ…!!」
「クリスっ!?」
クリスは息を切らしている。
「どうしたの…?なんでここに…」
「いや、なんか…適当に来たらここについた。」
「・・・・そう・・・なんだ・・・。」
クリスは頭がよく、医者の腕も少しだが持っている。
「ティーナ、オレが応急処置をする。 完全にはできないが…。」
クリスは応急処置を始めた───
「・・・・すごい器用だね。」
ティーナは関心したような目でクリスを見た。
「ああ、医者の知恵も少し蓄えてたしな。父に鍛えられてたんだよ。昔。」
父という言葉を発したクリスは少し、寂しげな顔をした。
「クリス・・・?」
「よし、ティーナ、止血はできたから少しお前は休め。」
「えっ、でも…」
「大丈夫だよ。しかしよかったよ…妖精も同じ人間と体のつくりが一緒で。」
「あっ、そっか」
ティーナはすっかり忘れていた。
クリスが人間で自分は妖精だっていう事を────
「ティーナ?」
「あ、うん。休ませてもらうねっ!」
「ああ、そうしろ。」
クリスは温かい笑顔を見せた。
ティーナはさっきまで寝てたベッドへと移った。
そして、すぐ、救急車が来た。
「早く乗せろ、重体だー!」
救急隊員は急いでニーナを車に乗せた。
「この女の子は3発も撃たれてます!もう無理かもしれません!!」
「大丈夫だ、まだ間に合う。止血してくれてるから。」
「分かりました、乗せます。」
2人は救急車に乗せられて運ばれていった。
「…ありがとう、止血してくれてなかったら死んでたよ。」
隊員の一人が笑顔で言った。
「はい、どういたしまして。」
クリスが同席して病院へ向かっていった───
ティーナはそれから10分後に目を覚ました。
「ハッ───!寝すぎた…!クリス!?」
誰もいない。クリスも、ニーナも、リズもいないのだ。
「…え?なんで誰もいないの…?なんで…私を置いていったの…?」
ティーナは拳を握り締めて険悪な顔をしつぶやいた。
「許さないぃぃぃぃい!!!!」
ティーナは思い切り、走って病院へ向かっていった。
ティーナの頑張りが通じたのか、一発で運ばれた病院へついた。
「ちょ、ニーナ・アニーと、リズ・マティの病室はどこですか!?」
受付の人にすごい険悪な顔を向けて、問いかけた。
受付の人は顔が引きつってしまってる。
「あっ…あちら…です…」
指した方向へティーナは走っていった。
「リズさんっ、ニーナさん!」
2人は呼吸器をつけていて、意識不明の状態だった。
「止血して助かる確率は増えたんだが…。それでもこの様だ。」
「そん・・・なぁ・・・」
「もうちょっとオレが早く止血してれば…助かったんだと。」
クリスは悔しそうに唇をかみ締めた。
「クリス、そんな顔しなくても大丈夫。助かるって」
「なんでもっと早く来なかったんだろう…。なんで気付いてやれなかったんだろう…」
クリスは病室を出て行ってしまった。
「クリ…ス…」
ティーナは後を追うことはできなかった───。
そして、夜が来た。
「ティーナ、オレ今日とまっていくわ。」
「え?それだったら私が…」
「ああ、ティーナ”も”泊まっていけよ?」
「え、あ、えぇ?うん。」
ティーナは頭がこんがらがったが、そんなの気にしてる場合ではない。
早く…早く治れと願うことしかできないが・・・。そばにいてあげなきゃいけない。
「じゃあ、オレ、リズの荷物とってくるよ。待ってろよ。」
「ありがとう!」
クリスは行った。
「のどかわいたなぁ…。飲み物買ってこようかな。」
ティーナもその場から離れてしまった。
すると、窓からなんやらかの影…誰かが侵入した。
「皆甘いわねぇ…。私がなんて呼ばれてるかわかってんのかしら?」
ジルだった─────!
「狙った獲物は逃がさない豹だって言われてるのよ?」
ジルは銃を構えて、ニーナのほうへ向けた。
※実話ではありません。