夢飼い。【3】
- カテゴリ:自作小説
- 2012/12/01 18:30:07
Story - 1 / 3
独特の温さが、冷やされきった髪と頬を撫でた。
教室の後ろのドアから入ると、まだまだ人は少なかった。
私を入れて5、6人しかいないクラスメイトたちは、
扉をあけた私を景色の一部のようにスルーして各々の世界に閉じこもっている。
無論、私も同じに。
話せば人並みに気さくだと自負する私に、このクラスでの友人といえる友人は一人しか居ない。
しかも男子。
頼り甲斐がなくて、ちょっと押しが弱い。
個人的には少し、友達としては好きだった。
「――、」
窓際の一番後ろが私の席だった。
でも一階で、窓にはスモークがかけられたガラスから外をみることは出来ない。
つまらない席だった。
母親が編んでくれた白い毛糸のマフラーを外して、
悴みすぎて若干言うことを利かない手で
弁当とショールの詰め込まれたリュックサックに押し込む。
ひざ掛け代わりにしているショールを先に出しておけば良かったと小さな後悔をして、
肩パットの邪魔なジャケットを脱いだ。
椅子の背にそれを着せながら、ふと後ろのドアを見た。
頼り甲斐の無い男子が澄ましてドアの取っ手に手を掛けたところだった。
私は見なかったことにして椅子を引く。
辰巳由貴(たつみゆき)が、腰かけようとしている私ににこやかに挨拶してきた。
「おはよ、乾(いぬい)」
「……ん。はよ」
何の気も無かったフリを装って、気だるげに綿野乾(わたのいぬい)――私は呟いた。
分厚い眼鏡のレンズ越しに見る由貴は、いつもと変わらぬ笑顔を浮かべている。
子供っぽくて、妙に愛嬌のある笑顔。
……由貴がいつまで経っても私の机から離れようとしない。
「…………何だよ。荷物降ろしに行けよ」
私は不機嫌そうに長いショールを二つに折り畳んで膝に掛けながら由貴を見上げた。
……別に、不機嫌だったわけじゃない。
「乾、知らないの?」
「……何が?」
笑顔を消して、由貴はちょっと驚いたような顔をした。
人間関係には疎くても、乾は周囲の噂話には感の鋭い人だった。
私は本気で戸惑って小首を傾げた。
切るのをさぼって伸びてしまった、襟足を触っている前下がりの髪が少しだけ鬱陶しい。
由貴は肩にかけた通学鞄を私の机におきながら、
「――今朝、飛び降り自殺があったんだって」
事も無げにそう言った。
*****
補習3時間帰りで勉強する気が起きません/(^Q^)\
気分転換にまたまたうp。
いよいよ何かを匂わせてみました。
いつまで書くのを続けられるか自分でも見物です笑
引き続き、感想等いただければ幸いです。
ここまでお付き合いいただいた画面の向こうのあなたに、文章にしきれぬ感謝を。
-糾蝶-
! いつもいつも、ご精読感謝です……*
やっぱり、曖昧だとその場の雰囲気も薄れてしまうかなーと思って
意識的に仕草や見えているものの情景を描いてみました!
そんな日が来ると良いですね……まずは投稿してみないとw
そ、そそそんな<●><●>w
んー、やっぱそういうもんですかねー・・・。
考えすぎずに適度に・・・って感じが一番ですよね!
だから友達も浅く・・・とか((
相談に乗ってくれてありがとうございました!
ホント、糾蝶様様です!((
感謝しか言えませんry
1話ずつ読み終わって続きのページを開くときの待ち時間がイラッとしてしまうほどです((
やはりさすがの文章力ですね!糾蝶さん!(
細かいし、場の説明もクオリティ高すぎっすよ(`・ω・´)
ラノベにこの小説あってもおかしくないレベルですハイ^p^
なんか最近リアルで「小説」って聞くと糾蝶さん思い出すのは私だけですかねww