すっきりんクロニクル第2章BARプッチーニ(2)
- カテゴリ:自作小説
- 2012/11/29 23:42:12
ほら。そこの写真。その写真の彼の横に立っている髪の短い女の子がKIRIだ。
可愛いだろ?
KENJIは顔も良かったしKIRIが言うにはTaakakurre Kenていう奴 に似ているらしい。さらにスーパースターだからね。本当にもてた。もてた。もー、あの隣に住んでいる伊達男Quatroのやつがうらやまむくらいもてたね。
あの女ったらしのQuatroがだぜ。
でも、KENJIにはKIRIだけだったんだ。それは誰が見てもすぐ分かった。
彼のやさしい視線の先には彼女がいつもいて、彼に話しかける他の女たちは、その視線に気付くとため息を残して離れていった。
なんていうかな。絆?ちがうかな。少し愛情とか運命が混ざった感じかな。とにかく二人の間には誰も入ることが出来ない何かがあったんだ。
彼がASローマに入ってから3ヶ月たったときだった。FIFAクラブワールドカップっていって、世界で一番のクラブチームが決まる大会があって。戦時中だったから世界といっても欧州と米国だけど。その年のドイツのブンデスリーガの優勝チームだったFC Schalke 04がやってきた。
前の晩に一人でKENJIはうちの店に来た。あんまりしゃべらなかったな。
彼は私に問いかけたんだ。
「人生って何だろう。最近、よく分からなくなる。」
私はそういう若い連中に対するいつも通りの答えをした。大体こう答えれば、彼らの暴走は踏みとどめられる。
「なんだか分からないっていうのなら、自分のいいと思う方向に向かって一歩一歩、歩くしかないんじゃないかな。」
彼は少し遠い悲しい目をした。
そういえば、彼がKIRIと一緒じゃなくて、一人でうちの店に来たのはその晩が初めてだった。
翌日、私とKIRIは店の仲間と一緒にスタディオ オリンピコっていうサッカー場にKENJIを応援しに行ったのさ。いや、もちろん応援すべきはASローマ。それは重々わかっている。
道すがら、お気に入りの赤いコートを着たKIRIは私に言ったんだ。
「いつもありがとう。あなたの作るタパス。とってもおいしい。」
「そうかい。うれしいね。」
「困ったことが一つあって、私たち、貴方の作るオリーブとサラミの入ったフリッタータのことを考えるとトラットリアに行く気がしなくなるの。」
「トラットリアで二人で優雅な夕食を楽しむのもいい時間と思うけどね。今日でも2人で行って来たら?」
少し沈黙があった。
「ううん。あなたの店が一番だった。」
私はとても嬉しかった。彼女の言葉はいつも素直だったからね。
でもサッカー場につくと、すぐに違う種類の興奮のるつぼに巻き込まれた。だって、世界の2強のチームが戦うんだぜ。観衆はみな立ち上がり、体を揺らし、歓声を送った。
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燐音さんは僕に似て、漫画とJazzが好きな坊主でしょうか。
いや、それはないですよね。
ただ僕の場合、カレーも好きです。
ただ、私の場合、私が猫のように気ままで、孤独が性に合ってて、コーヒーも好き・・・
勿論、猫も好きよ❤