Nicotto Town



黒猫目日記27

いささか気がめいっておったので気分転換に街に出てみた。街は華やかで賑わい、きらきら光る飾りや、にぎやかな音曲が暗い気持ちを和らげてくれる気がする。
ふっ、拙者のおっちょこちょいは今さら始まったことではない。こんなことぐらいで落ち込んでいてどうする。拙者には姫をお守りする使命がある。これよりは一層の努力をもって邁進するのみじゃ!
・・・・しかし、今だ姫とはすれ違い、お会いすることが出来てはおらぬ。うう、これでは出発点にも立てておらぬでは無かろうか。某はつくづく運が悪い。

おや?あれは何じゃ。全身赤い服を着て顔をひげで覆った怪しげな者が大黒様のような大きな袋を背負ってあの屋敷より出てまいったぞ!うむむ、怪しいもしや盗人ではないのか。
これはほおってはおけぬ!

そこな者、しばし待たれよ。その荷物は何じゃ!検分させていただく。


                                                 《黒猫目日記28につづく》





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