小さな森の恋 #18
- カテゴリ:自作小説
- 2012/11/14 17:29:23
✿主な登場人物✿
・ティーナ…妖精の女の子。この物語の主人公。
・クリス…人間の男の人。妖精を信じて探し続けている。
・ヴァン…妖精の男の子。ティーナに想いを寄せる。
・マリー…人間の女の子。美しくて、可憐で、町一番の美人。
第十八章 『クリスは悪い人…??』
「本当なんですか…??ジルさん…」
ジルは”フンッ”と鼻笑いをして言った───
「こんなところで嘘ついてどうすんのよ」
ティーナはそれもそうだ、とあっさり納得してしまった。
でも、そう考えればすべてが合う、何もかもつじつまが合うのだ。
”ジルは仕事のためにティーナを連れて行った…”
殺すつもりも、苦しめるつもりも、なかった…だから助けた…。
スパイになった理由もしっかりとある────。
「さぁ、クリス…自白しなさいっ!!!!!」
「まっ、待ってくださいっ!!!だったら警察に任せたほうがいいんじゃないですかっ!?」
「え……??」
「えっ、いやっ、ほら、ジルさんが呼んで説明すれば…ねっ…!?」
「それもそうねぇ…じゃあ、警察を呼んでくるから、待っててね」
といって、ジルは警察に連絡するため、向かった....。
「あっ、あの、クリスさん!!あなたが妖精を殺すなんて私信じられませんっ!!!!」
「えっ・・・・・」
「私、あの時見ました…。妖精の粉を見た時の笑顔…。あれが妖精を殺すような人の
顔じゃなかった!!!!!!!!!私は、あなたをこのままつかまらすなんてできないっ!!!」
「……君」
ティーナの目は輝いていた───。
真剣なまなざしで、ティーナの蒼い目は”キラキラ”とまっすぐ前を見てた....。
「君…名前…は??」
「ティーナ…」
一瞬、クリスとティーナの空気が変わった....。
それをわかったマリーは、”ムッ”とした顔でクリスの腕を引っ張って
「クリスっ、私もあなたを信じてるわよ??クリス、だからこんな森から早く逃げましょ??」
クリスは パッ.... とマリーの手を払った───。
「ク…クリス…」
「悪いが、オレはこのままあの子に恨まれて生きるのは嫌だ。ちゃんと誤解と解く。」
「でもっ・・・!!!警察呼んじゃってるよ!?今逃げないと捕まって刑務所行きだわっ!!!!!」
「そうよ、クリス!!!!早く逃げましょう!?」
「嫌だ、俺はここにいる。」
「逃げて!!!!この世界の刑務所はすごく堅い人ばっかりで、犯人の話なんてまったく聞かないし、それで、冤罪の人だってたくさんいたのよ…それに…あなたは人間だし……。
この世界は人間が嫌いなの…。だから絶対に死刑にするわ、話も聞かずに…。」
「それでも…あの子にわかってもらいたいんだ、ティーナ。」
クリスの目からは”決意”が見られた────。
「勝手にしなさい、クリス!!私は知らないわ。」
といって、マリーはそっけない態度で帰っていってしまった───。
「マリー…」
帰っていくマリーを見る目は”切なさ”も感じられた.....。
でも、その裏側には何かの”決意ももう一つ”見られたのだった────。
「あの、彼女なんだよね…??いいの??」
「ああ、いいんだ…。それに…マリーとオレはもう…」
「・・・・・・??もう・・・・・??」
すると、クリスは黙ってしまった。
そして、とうとう──────。
「警察に電話したわ。あなた、逃げないでしょうね??」
「ああ、逃げない。」
「フンッ、度胸だけはあるのね。」
───と、鼻笑いをした。
「死刑なんて、オレはならない。」
「いいえ、あなたは死刑になるのよ、絶対に。」
今から…妖精と人間の戦いが始まるのだった。
※実話ではありません。