君への忘れ物
- カテゴリ:自作小説
- 2009/07/15 18:28:47
願わくば、2人を包む愛の歌が決して鳴り止まぬように・・・。
彼の名はダン、非常に優秀な男であり、今は某所で研究員をしている。
彼女の名はマリー、彼女も優秀であり、ダンと同じところで、研究員をしている。
2人は同僚で、ライバルで、そして・・・。
「だから言ったろ!それじゃだめなんだ昔から君は・・・」
「そんなことないわ、このやり方でも答えはでるはずよ」
研究所でのいつもの光景、口を開けば喧嘩ばかりの2人。
それでもダンは昔から、対抗意識以外の感情を抱いていた。
それは、恋心。
ある日、喧騒にゆれる街を歩くダンの耳に、聞きなれた声が飛び込んでくる
「そんな古びた、髪型はやめないか?ボクが最新のモテ髪にしてあげるよ」
「おあいにくさま、私はずっとこの髪型で居るの!この髪型は、昔大好きな人に褒められたんだから」
ダンはビックリした。その髪型を褒めたのはダン、2人は相思相愛なのでは?そんな思いが駆け巡る。
それから数日後、稜線が夕日を食み、街を茜色に染める頃
帰路を急ぐマリーをとうとうダンは呼び止める。
「マリー君への忘れ物、届けに来たよ」
あなたの忘れ物を、待っている人がいるかもしれませんよ。
また古いところに辿り着きましたね。マリーちゃんはどんな犬なのでしょうか?
色々書いているので、良かったら読んでみてください。
この話は、実はハッピーエンドではありません。
最初に、書いたときは分量が20倍ほど、話の内容も「相思相愛なのに、なかなか進まない二人がほんのちょっと進んだのかな?」というものでした。
1行目を何度か繰り返して読むと、違和感が出てくると思います。
さて、その話を、何故ハッピーエンドっぽいものに変え、且つぶつ切りな状態で出したかというと、いくつか理由があります。
まず、もちろん長すぎるから。ブログという形である以上、制限はありますし読む人も長いものをよみたがらないでしょう。
次に、僕が、話を載せる際には、大概別の受け取り方を用意しています。今回は、その人だけにわかるギミックを乗せていて(簡単にいえば、主人公がスモモ姫とサクラ姫という双子なら、すぐに李桜さんには気づくでしょう)その為、どうしてもラストはハッピーエンドに改変する必要がありました。(ただ本人にはすごぶる評判は良くなかったんですけどね)
ですからブログという形では、これで終わりです。李桜さんの描くような、御伽噺のような終わり方でいいと思いますよ。
願わくば、李桜さんの無くしてしまった落し物が無事見つかり、届くことを祈って。
この2人は今から幸せな時間を共有していくのですよね。
私はいつもその幸せの続きを考えてしまいます。
願わくば、いつまでも幸せに暮らしましたとさ、という御伽噺のような終わりを迎えてほしいです。
現実に目を向ければ、昨今の殺伐とした関係ばかりが取り沙汰されていて。
親子の情愛とか、恋人同士とか。
日本人はいつの間にか、人を愛していとおしむということを忘れてしまったのでしょうか。
私もどこかに忘れ物をして、そのままにしておいているものがあるかもしれませんね。