星と闇と、終わりの物語。【2】
- カテゴリ:自作小説
- 2012/10/31 22:38:26
――走って、走って、走った。
「ッはぁ、はぁッ、はぁッ、はぁッ!」
もつれる脚を必死に動かして、走った。
煌めく小川は蒸発し、黒炭と化した草原は、進むごとに火の粉の残滓を散らした。
濃くなっていく黒煙を吸い込まないように袖で口許を押さえても、やはり少しは
吸ってしまって、チリチリと焼けるような痛みがのどと肺を蝕んでいった。
痛い。苦しい。でも止まらない。止まれない。
しかしそのとき、ぱんっ、と根元から焼き倒された黒焦げの木が、
少年がまたいで通った直後、"計ったかのよう"に勢いよく爆ぜた。
ぶわっと広がった火の粉。
耳をつんざく音は、木の悲鳴だったようにも聴こえた。
少年の背中を紅蓮の舌がぺろりと嘗める。
まぬけな悲鳴が零れた。
「――ひぁ……ッ?!」
途端、鼻を突き抜ける焦げ臭さ。
驚きのあまり口から袖を離してしまって、思い切り吸い込んだ黒煙に息が詰まった。
足元がぐらつく。
たたっ、と危なっかしく二歩進んでは膝から崩れ落ち、思い出したようにむせ返る。
視界の隅でもうもうと上がる煙が目をも刺して視界が歪む。
しばしばして目が開けていられない。じわりと、嫌な涙が目に溜まった。
走ったせいであがった呼吸を整える暇さえなくて、
咳と呼吸を何度も苦しげに繰り返し、徐々に頭が現状に追いついてくる。
ふと霞んだ視界を前に向けると、眼前に火が迫っていた。
「ッあ、?!」
無意識に声をあげてしまって、たわしで擦られたようにのどが痛んだ。
思わずのど元を押さえつけながら、目に溜まった涙を乱暴に袖で拭う。
素早く辺りを見回すと、その異様な光景に言葉を失った。
――業火が、少年だけを囲んで一際激しく燃え上がっている。
時節弾ける火の粉が少年のローブを、髪を、肌を焦がしていく。
なんで。違う。なに。なにこれ。なんだよ。熱い、熱い熱い熱い焼かれる、……こわい
つぅ――……、と額から頬を伝う汗が、ぽたりと芝生だった灰に落ちた。
熱い。そう思ってしまった瞬間から、汗でぐっしょりになったローブを
ようやくなまりにように重く感じた。
こわい。そう思ってしまった瞬間から、目に溜まった涙は追い出されて次々に頬を伝った。
……なんだろう。もう死ぬのかな。
ぼんやりと思う、その間にも炎は迫っている。
ああ。やっぱり無意味だったのかもしれない。
無謀すぎたのかもしれない。
こんなに走らなくたって、もっと勉強していれば、違う方法でサーヤを助けにいけたのに。
……助けに、いけたのに。
助けに?
サーヤだってこの世界の人間なんだから「まじない師」じゃないか。
今頃もしかして、なにか「まじない」を使って自分なりに戦っているかもしれない。
自分の手なんかいらないかもしれない。
……でも、せめて力になりたい。
――だって君は、僕の、はじめての……
*****
ごめんなさい眠くて短いです/(^Q^)\グヘア
でも少しでも書きたかった!
呼んでくださっている読者様へ、感謝を。
また、私の背中を押すと思って、コメントをいただければ幸いです。
そして、ここまで目を通してくださった、私の文章を初めて読む方へ、感謝を。
批評のコメントをいただければ幸いです。
では。
ありがとう´`!
今回は「感じること」に重点を置いて深めに描いてみました。
まだ自分では気づいてない「好き」が憎い!
サーヤああああryry
実は少年はサーヤを好き設定おいしく頂きますもぐもぐ((
そしてサーヤry
ありがとうございます……(゜´`゜)!
心労でつい弱気に……
少しくらい自信満々で図太いほうが良いかもしれないですね!
そうだと嬉しいですね……お気に入りも少し増えたし素直に喜んでいいのかな、なんて
コメントありがとうございました!元気でました!
冷やかし半分なら、わざわざ見には来ないと思いますよ。