Nicotto Town



【小説】成田くんと久保寺さん 3

第三話(全三話)

今日で三日連続で雨が降っている。それでなくても寒いのに、更に寒さが増してくる。
『オマエらって付き合ってるのか?』
冬将軍が猛威を振るう1月の末に、水槽の温度管理をしていたボクの後ろからハムスターのリッチーに餌を与えていた小沢が言い出した。
付き合ってるって真理子クンの事?
『コーヘーがよく話す女子って他に誰がいるんだ?』
よく話すと言っても、昼休みに花壇の所で話す程度だし晴れの日限定だよ。雨の日は真理子クンが水やりしなくいて良いから花壇に用事がないんだよね。
『オマエらだけのルールなんて知るかよ。というか本当に付き合ってねえの?』
うーん。良くわからない。というか付き合うってどういう事?小沢と木村さんみたいに言い争う事?
『別に俺たちは言い争ってねえよ。ユリカが何かというと俺に文句を言んだよ。だいたい、この前もさぁ・・・って俺たちの事はどうでもいいよ』
基本的に小沢が余計な事を言うから木村さんに怒られてるだけじゃないの?どちらが正しいのかは知らないけど。

『あー、何?コーヘーまでそういう事を言う?なになに?ユリカの味方なわけ?酷い、酷いぞ親友!』
どちらの味方でもないよ。どちらも大事な友達だ。
『ほう、じゃぁ久保寺は?』
もちろん大事な友達。
『どう思ってるんだ?』
尊敬してる。
『なんだ?そりゃ?』
ボクからみて尊敬できる相手じゃないと友達とは言えないよ。だからもちろん小沢の事も尊敬してるよ。
『くすぐったくなるような事を真顔で言わないでくれ』
本当の事を言ってるだけなんだけどな。

小沢が続ける。
『あー、コーヘーにこういう聞き方したのが間違いだった。単純に聞かないとダメだな。つまりな、久保寺の事が好きなのか?ということだ』
好き・・・?
胸の奥で、何かがトクンと脈打つ。
『解ってると思うが友達として好きとかじゃないぞ?女の子として好きかどうかだ』
今まで、そんな風に考えたことも無かった。
彼女と話しているのは楽しいし、二人で空を見上げるのも心地よい。一緒にいると暖かい気持ちになってくる。
この感情は、いったい…。

『その話って花壇の君の事ですかぁ?』
突然、話に入り込んできたのは一つ後輩の加藤だ。
『なんだよ加藤、聞いてたのか。というかなんだその、花壇の君って』
『いやぁ、ボクのクラスからだとちょうど中庭の花壇がよく見える場所なんですよ。だから昼休みの成田先輩と一緒にいる久保寺先輩が良く見えるんです』
『へー、言われればオマエのクラスは二階だから良く見えるんだな』
『そうなんですよ。久保寺先輩って園芸部の部長になったあたりから、晴れの日の昼休みになると花に水やりしてたんですよね。で、ほらあの美貌じゃないですか。僕らのクラスの男子でアレは誰だって話になりましてね。誰かが冗談で言い出したんですよ。麗しの花壇の君にしようって』
『バカな奴らだなぁ。オマエは見たら直ぐ解っただろ?教えてやれば良かったのに』
『いや、言いましたよ?あの人の名前は久保寺先輩だって。でも、数名の友達が半分ノリで、彼女は花壇の君だーって』
なんだか、盛り上がってる姿が目に浮かぶ。

『ところがですね』と小林は続けた。
『去年の終わりあたりから、その花壇の君のそばにいつもいる男が現れたわけですよ。まぁ成田先輩なんですけど。それが毎日じゃないですか。花壇の君ファンの男子は憤慨するやら泣き崩れるやら』
『ウソつけ。このバカ』
『へへへ。まぁ大げさには言いましたが、確かに久保寺ファンはいるんです。そのファンのヤツらは最初は、なんだあの無個性の塊みたいな奴…いや言ったのは僕じゃないですよ?とまぁ成田先輩を卑下していたのですが、成田先輩と一緒の久保寺先輩の笑顔を見たら俺たちの出る幕は無いな…と、アレは完全に彼氏彼女の関係だな…と』
『そりゃ、毎日あれだけ逢引してればそういう結論にもなるわな。実際、ウチのクラスでも有名すぎて誰も何も言わん』
ちょっと、逢引って。ボク達は本当に付き合ってるとかそういうのじゃないよ。実際、ここ最近、雨が続いてるから昼休みにも会ってないし。
すると、加藤が不思議そうな顔をして言った。
『そうなんですか?おかしいな。でも、だからかな…』
何がおかしいんだい?
『いえ、久保寺先輩って晴れでも雨でも必ず花壇の所にいますよ?現に、ここ三日間ずっと雨でしたけど、昼休みはのチャイムが鳴るまでずっと一人でいましたよ』
え?この寒空に?
『ぽつーんと寂しそう…かどうかは解りません。ほら、久保寺先輩っていつでも姿勢が良いですから』
確かに。いつでも筋がピンとしてるというか、角がきっちりしてるというか。
『そんな訳で、先ほどの先輩方の話を聞いてると、結局どうなっているのかなぁって思いまして…』

その日はこれ以上に話は発展しなかったが、帰り際に小沢が
『うん、良く解らないが、やっぱり何にせよケジメを付けた方がいいと思う』
と言った。
ケジメ?ケジメってなんだ?
その晩ボクは布団の中で過去の出来事、小沢の言葉、加藤の言った事で頭の中がぐちゃぐちゃになっていた。
ボクが眠りについたのは空が白んできてからだったと思う。
次の日は久しぶりの快晴となった。寝不足のボクの目には眩しすぎる朝日だ。

結局、昨日の晩に考えていた事で何かしらの答えが出たわけでもなく、いつものように学校に向かった。
そして、昼休みになったらいつものように花壇に足が向かった。いつものように先に真理子クンが花壇にいて、いつものように姿勢の良い立ち姿で花に水をあげていた。
そして、ボクはいつものように彼女に話しかける。今日もイイ天気だねって。
ゆっくりとこちらを向き、花壇への水やりを止めた真理子クンはちょっとだけ首をかしげて『そうね』とほほ笑んだ。
いつもと同じ風景。そして、とても大切時間

あぁ、そうか。
なんだ、簡単な事じゃないか。あまりにも近すぎて気づかなかったなんて。
『どうしたの?成田くん』
にこやかに問いかける彼女。

うん。とても大事な話があるんだ。真理子クン、あのね………。


三日ぶりに晴れて久しぶりに暖かい日差しが降り注ぐ空にひこうき雲の白い筋が目に映る。たしか、前にもここで彼女とひこうき雲を見たことがあったっけ。
いけない昨日までは寒かったんだった。体調は崩していないか確かめないとね。

アバター
2012/10/26 12:18
クレーム  なんだよーレモンの実だけ浮かばせてー
レスカぐらいおごれよー
定番の映画見に行く約束ぐらいで終わらせろよォー
単なるおっさんにはこれは物足りなさすぎマース
アバター
2012/10/26 10:58
兎にも角にも、お疲れ様でした!
三話にわたって成田くんサイドを読ませて頂きましたので
成田くん(この場合、コーヘーと言った方が良いでしょうかw)を
立体的に想像できるようになりました。
そこで、真理子目線で書いた成田くんのセリフを一箇所、訂正いたしました。
(「すげー音」と言っていたのを「すごい音」に変えてみました)

小沢くんもいいですが、その前に・・・
『雨なのに花壇に足が向かってしまう真理子クンの乙女心』を
流暢に書きあげてみては如何でしょうか? どうです?w
アバター
2012/10/26 10:12
三話目UP~~。
ダラダラがそのまま終わりまで来てしまった。
起承転結?なにそれ?

そんなわけでここまでお読みになった方 お疲れ様でした。
すんません、盛り上がりに欠けるつまらんモノを上げてしまって。

うん
次は小沢で書こう。その方が何倍も楽だw(まだ スピンオフするのか?というのは棚上げ)

ちなみに ジーナは?(連載中の長編もの)という質問は
聞こえない事と致しますw
アバター
2012/10/26 10:12
ああああああああぁぁぁぁぁぁあぁ

朝から、爽やかな、、、、文を読んでしまった〜〜〜〜〜ヽ(^。^)ノ

青春ですな(;´∀`)




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