Nicotto Town


シャチホコマスターへの道


翻訳家としてのねこの実力はどうなのか?


今月のアイテムの頭のせお墓にはRIPと書いてある。

これは英語で言うところの
Rest  IPeace  (安らかに眠れ)の頭文字を取ったもの。
墓碑銘ぐらい、省略しないで欲しいよね^^;

で、ここからが本題。
外国のお墓には、生前その人の経歴やモットー、好きだった言葉などが
刻まれてあることがあるそうな。これが墓碑銘。

でも外国人墓地は「場」が怖いので、実際に見たことはないです^^;

小説だけど銀英伝でラインハルトがキルヒアイスのお墓に
たった一言「わが友」とだけ刻んだってのもあったね。え、知らない?^^;

墓碑銘で思い出すのは
ジャック・フィニィというSF作家が書いた短編「The Love Leter」(あえて邦題は伏せておく)

フィニィはロマンチックな「時間ものSF」を得意とする作家。マイナーかも^^;
このお話、たぶん誰も知らないと思うので、
核心とラストだけ話すというスーパー浜村淳方式で説明すると、

主人公は古道具屋でアンティークの机を買う。
机の隠し引き出しを発見。一つを開けると80年ぐらい前の女性が書いた
架空の恋人への手紙を見つける。
返事を出す^^;
別の隠し引き出しを開けると主人公への返信が・・・
80年という時間の隔たりはあっても、手紙のやりとりを通じて恋に落ちていく・・・

この作家のすごいところは、アイテムの隠し引き出しに数の限りがあるという発想
つまり出せる手紙の数は決まっている。
これが最後ってわかってる手紙に何を書くか・・・

主人公は、最後の手紙はきっと長文だろうと思って封を開けると
中には女性の写真が1枚。そこには彼女の名前に添えて
I will never forget.  とたった一言だけ・・・

しばらくして、主人公は彼女が歳月を経ても彼に連絡を取る方法があったことに気づく。
そう、それが墓碑銘です。

苦労してやっと見つけたお墓には、生没の年号と変わらない名字、
そして、I NEVER FORGOT.  とたった一言の銘。

そして本文最後の1行は 
And neither will I.

どこかで聞いた話だな~と思う人はなかなか鋭い。

この短編をパクリ・・・いやいや、元ネタにしてアレンジした小説や映像作品は
たくさんあります。でもこのお話が原典なのです。

では、それほどの小説なのに、なぜマイナーなままなのか?
一つは翻訳の問題かなぁという気がする。

現在、この小説の和訳は2つ出ていて、
邦題は「愛の手紙」「机の中のラブレター」
両方ともなぜか手元にあるところがすごいでしょ^^;

「愛の手紙」の方はかなり昔の訳なので、言い回しとか翻訳独特の表現が
随所に見られる。「机の~」はごく最近出たもの。

読んでてだいぶ印象が違うので、原文がどうなっているのか気になって、
数年前、ネットで探したことがある。

全文掲載のサイトがあった^^;

そこからキーワードになってる3つの文を抜き出したのが、上の英語の部分。
① I will never forget.
② I NEVER FORGOT.
③ And neither will I. 

数日かけて原文を読んでみて、なるほどなぁと思った。
原文から受けるイメージと翻訳された文章では、微妙なニュアンスの違いを感じる。

「愛の手紙」の方では
①と②ともに「永遠の思い出のために」とあえて同じ訳にしてある。
意訳し過ぎか・・・とも思えるが、ある意味、対句になってるからそこにこだわったのか?

ただこの訳だと、彼女の決意みたいなものが伝わってこない。
永遠という時間が大きすぎて、また「思い出」という言葉からは、一種の終わっちゃった感すら感じる。
そして③は「そしてぼくも永遠に忘れはしない」
ここも「永遠って言葉を気安く使うんじゃねぇ」って思っちゃうのは私がスレれてる証拠か^^;

「鏡の中のラブレター」の方では、かなりシンプルです。
① 「けっして忘れません
② 「けっして忘れなかったわ
③ 「そして僕も、けっして忘れない」

①と③はこれでいいとしても、②が直訳すぎる・・・これでは彼女が長年持ち続けた「想い」
の重さ、暖かさ、切なさが伝わってこない。
逆に「忘れへんかったで!どや!えらいやろ^^」という印象すらある^^;

さて、あなたならこの①と②をどう訳しますか?


・・・と聞いても誰も答えてくれないと思うし、
第一、こんな長文のブログ、誰も読んでないだろう^^;

ということで、もし私が翻訳家だったらどうするか・・・をこっそり書いてみます。

①②については、あえて原文の英語のまま掲載する。
下手に和訳をつけるより、原文のままの方がニュアンスが伝わると思うから。

・・・でもこれじゃ、翻訳家としては負けた気がするので訳してみます。

①「けっして忘れません」
②「忘れたことはなかったわ。これからもずっと忘れません」
③「そして、僕もけっして忘れない」

・・・としておきますorz

②は、いろいろ考えたんだよ~;;
「想い出は今もここにある。これからもずっと」
と思いっきり意訳してみたり、
「ずっと忘れることができませんでした。だから幸せだったのよ」
と完了形の意味を持たせてみたり・・・

でも考えれば考えるほど、シンプルな方がいい、墓碑銘の意味は
彼にだけ分かればいいのでは?
銀英伝の墓碑銘も二人の間だけの言葉だったし・・・
それと対句としての表現も無視できない・・・
と、結局、「机の中のラブレター」の訳に近づいていったのです^^;

ということで、1文にこんなに悩むなら
翻訳家には絶対なれないことが分かりましたorz

しかし、海外小説って、翻訳家というフィルターを通すから、作者の真意を
理解するのってホントに難しい^^;

字数チェックすると2369文字・・・絶対誰も読まないな^^;

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2012/10/25 23:56
>☆タケさん☆
長文読破ありがとうございます。
たまにはこんな知的な遊びもいいですよね^^
サークル、楽しんで来てくださいね^^
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2012/10/25 20:48
きょうはサークル活動の日で、
時間が迫っているのに、
ブログが面白くて没頭してしまいました。^^;)
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2012/10/24 23:56
>ねここねこさん
イルマーレは確かそうだと思います。まだ見てませんが
ステキな結末が気になりますね^^
他にも図書館の本や長もち^^; 携帯電話とか色々とあるみたいです。
ぜひ本家本元も読んでみてくださいね。

>なぎささん
楽しんで頂けたみたいでよかったです^^
翻訳のお仕事ってホントに大変みたいですね。
その国の宗教観や人生観まで熟知してないと難しいかな。
原文で読むには確かにパワーが必要ですね^^;

>ケイト☆さん
長文読破お疲れ様でした。すみません^^;
私が詳しいのはSFだけですよ。他の分野はほとんど
読んでないから狭いです^^;

>あずさん
やっぱりか^^;
時間のあるときにでもゆっくり読んでみてくださいね。
勝ったのはちょっと良い気分♪
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2012/10/24 09:48
・・・日記の長さに負けました orz

今日はねこさんの勝ちね;
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2012/10/24 09:28
読んでますよー
だけどこの作品はしらなかった
私の読んでる範囲って狭いんだなー

訳は難しいですね
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2012/10/24 01:36
SF的なお話に 引き込まれてしまった
こういうの大スキ! 現実にはありえない世界でも
どこかで空間と時が交わっているのかもしれないね
ねこうさちゃんの解説もとてもいい
翻訳者は物語の深いところまで読み取れないと
適切な意味を与えられないから責任重大かも
翻訳者の人生経験 果ては人格も影響すると思うからねぇ
・・かといって言語で読もうなどと大それたことも思わないし
ここで楽しい時間を過ごしました  ありがとう^^v
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2012/10/24 00:39
全部読んじゃったwww

イルマーレって映画が好きです
もともと韓国映画で、ハリウッドリメイクもされていますが(ごぞんじかな)
過去と現在のある地点のふたりが郵便受けを通じて文通して交流しあうんだけど・・・って話ですが
モチーフはきっと、その小説なんでしょうね~

映画は、ちゃんと素敵な結末が用意されていたけれど
先になくなっている彼女も、彼を忘れなかったことできっと幸せな一生を送れたと思えますね^^
もしどこかでみかけたら、読んでみたいなぁ~
(でも「机の中のラブレター」というタイトルだと、誤解する人が多そうな気がするのは私だけ?ww)




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