【短編小説】晴れない空と心
- カテゴリ:小説/詩
- 2012/10/11 20:51:00
――「また、いつか会えるよね」
そんなことを言ってた、幼き頃の自分。
話しかけているのは、自分と兄が写っている写真。
でもそんなことは出来ない。
それに気がついたのは、今。
なんて気づくのが遅いんだろう。
そんな自分に苦笑しながら、ちらりと見えた写真立てを――おもむろにパタンと写真が見えないように伏せた。
「…今日も雨。梅雨でもないのに、変な話よね…」
私は、カーテンを開けて窓越しに雨が降る薄暗い空を見上げていた。
あの高い高い空には黒い雲がいっぱい。
それと同じように、私の心も、黒い雲でいっぱいなんだろう。
嫌な過去が一刻、また一刻と遠ざかっていく。
そのたびに、なんだかモヤモヤする。
分かっているのに、どうする事も出来ない。
――何故ならもう伝えることは出来ないのだから。
もう遅い、もう遅いと自己暗示をかけて無かったことにしようとする。
これが「逃げている」ということは分かっている。
だがそうでもしない限り、自分自身辛いのだ。
「…はぁ」
重い溜息を一つ吐く。
これで黒い雲が晴れたらな、と思ったがそれで晴れるなんて虫のいい話だ。
…もう考えないでいよう。
ますます過去に引きずり込まれてしまう。
でも―――…
と、不意にインターホンが鳴る。
「…?」
こんな雨の中誰だろうと思いながら扉を開ける。
するとそこには、びしょ濡れになってしまっている自分と頭一つ分小さい少女――玲がいた。
暫くじーっと見ていたが我に返って慌てた。
「れ、玲!?ビチャビチャじゃないの!タオル取ってくるから中に入って!」
玲を家に招きいれると、バタバタとタオルを取りに行った。
*
濡れていた服は乾かすため、私の服を着せている。
玲は頭に白いタオルを被ったまま床に座っている。
私はあまりにも唐突だった為、温かい飲み物を出そうと用意していた。
「ねえねえ塑羅」
私は振り向いて玲を見る。
それから、玲は戸棚の上の方へ指をさし言った。
「写真立て、何で伏せてあるの?」
「……」
それを見ていると過去を思い出すから、というのは言えない。
何も言い出せなくて黙っていると、玲は首をかしげてふにゃりと笑う。
「言い出せないなら言わなくていいよー」
そう言って被ってたタオルでわしゃわしゃと髪を乱すように拭きだした。
*
昨日の玲の一言で、私は何かに思い立った。
相変わらず振り続ける雨。心と共に晴れない雲。
私は電気もつけずに薄暗い部屋で、写真立てを手に取り窓に背を向けるように床に座る。
下を向くように、写真を見る。
シンとした部屋の中で、私は一筋の涙を流しながら写真に話しかけた。
―― 兄貴、あのね―――…
…これで空と心にかかった雲は晴れるのだろうか。
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時間かかったバロス((
玲の時よりやたら多い気がする^p^ まあいいか細かいこと((
塑羅の時の診断結果は、『雨言葉』でした。
思いを伝える相手は曲では好きな人だったんだけど、塑羅にはそもそもそういう相手いないし
「兄貴でいっか」とかいう軽い考えで(((
こういうの私が書くと重くなるな あーもー!((ゴロゴロ
「イメージ曲診断の結果を元に短編小説」は、多分もう書かない((
てか書ける気がしない((←